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2011年1月23日(前編)・30日(後編)放送

バケツのお風呂に入る家 -第2章-

この家が抱える問題

  • ■台所が狭く、小さなオーブントースターの置き場にも困るほどで、たった3畳しかない
  • ■台所には窓がひとつもなく、昼間でも真っ暗
  • ■風通しが悪いにも関わらず、換気扇さえ無い
  • ■電気の容量が15アンペアしかなく、学習机用の電気スタンドを台所の照明として使っている
  • ■ガスコンロのすぐ上には電気スタンドをつないでいるコンセントがあり、熱や油によるコードの劣化を防ごうとアルミホイルを巻いているが、危険防止の効果は無い
  • ■台所の床の傾きは酷く、構造面について非常に不安がある
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この家、実はこの人の実家なんです!

写真:依頼主の顔写真

Wエンジン えとう窓口

先日浴室をリフォームしていただいたウチの実家…
一番の悩みは………実は台所でして!
危険な状態のままでは怖いので、お願いしたいのですが…
 

リフォーム相談に乗ってくれたのは、この「匠」

写真:「匠」の顔写真

モダニズムの継承者 柴田達志

…いや、なんとなくあそこ通ったから分かるけど…
でも、最低限の対応でも50万〜60万円はかかると思いますよ?

現場検証 問題解決のために必要なリフォームは…?

「匠」へのお礼が、何故か相談に

画像:バケツのお風呂に入る家

それは、実家の浴室リフォームのお礼にと、Wエンジンの二人が「匠」の元を訪れたときのことでした。和やかな挨拶のあと、えとう窓口さんが「今言うのもなんですけども…」と口にしたのは、なんと一番の悩みは浴室ではなく台所だということ!
聞いた相方のチャンカワイさんと「匠」は、大爆笑。でも、えとう窓口さんの表情は真剣です。

画像:バケツのお風呂に入る家

実は、浴室リフォームでお邪魔したときに「匠」も気になっていたようです。しかし、ざっと見積もっただけでも50万〜60万円はかかると判断。金額を聞いて「無理でしょ」と言うチャンカワイさんを遮るように、えとう窓口さんは「秋の学園祭シーズンで頑張ります!」と営業で資金を貯める意気込みを見せました。

画像:バケツのお風呂に入る家

リフォーム費用を捻出するために精力的に学園祭やお笑いライブに出演し、目標額に達したWエンジンは、二度目のリフォームを正式に依頼。
現場検証に訪れると、えとう窓口さんのお母さんと弟さんが待っていました。リフォームした浴室の使い心地の良さを語るお母さん。弟さんは勤め先で反響があったと嬉しそうです。

ガムテープ信者

画像:バケツのお風呂に入る家

台所を検証する前に、居間の様子を見ることに。
普段の食事の様子を聞くと、お母さんは膝が悪く、椅子に座って食事しているとのこと。
しかし、その椅子、よく見ると浴室で使う椅子ではありませんか。ツッコむと、お母さんから怒った口調での反論が出て、少し焦るチャンカワイさん。

画像:バケツのお風呂に入る家

ふと、チャンカワイさんが、部屋の出入口の桟にテープが貼ってあることに気づきました。お母さんによると、釘などを打った痕が指に刺さるのを嫌がって貼ったものとのこと。同様に台所の柱に貼ってあるガムテープを、「違和感無いでしょ?」と力説する えとう窓口さんに、「そんなの聞いたことない!」とチャンカワイさん。

画像:バケツのお風呂に入る家

ガムテープは、隙間に貼って すきま風を抑えるのにも役立つと、天井を見上げるお母さん。
チャンカワイさんは、リフォーム前の浴槽代わりに使われていたポリバケツにも、ガムテープが保温と滑り止めの役目ということで貼られていたことを思い出しました。どうやらガムテープは、えとう窓口さんの実家では重要な お役立ちアイテムのようです。

想像を絶する台所

画像:バケツのお風呂に入る家

いよいよ問題の台所の検証です。先ずは、窓が無いことによる暗さの確認から。撮影スタッフが照明を消すと、ほとんど見えない状態に。「電気を点ければ大丈夫ですよ」とお母さんがスイッチを入れたのは、なんと机に置くような電気スタンド!台所を照らす明るさに足りているとは、言えません。

画像:バケツのお風呂に入る家

続いて気になったのは、床の傾き。以前は気になっていなかったお母さんも、前回のリフォームで指摘されてから気持ち悪く感じているようです。どの程度の傾きか試すため、ゴルフボールを床に置くと…
あっという間に加速して、流し台の下にぶつかって止まるまで転がりました。これを見て、お母さんも傾き具合の酷さを改めて納得。

画像:バケツのお風呂に入る家

他にも、お母さんが不便に思っていることを聞くと、狭くて調理スペースが確保できないということでした。狭さ故に不便なことはそれだけではありません。炊飯器や電子レンジなどの場所を確認していくと…なんとトースターが床に置かれているではありませんか。チャンカワイさんが驚いていると、置き場所が無いから しょうがない、とお母さん。

画像:バケツのお風呂に入る家

最後に、最大の問題点のコンロ周りをチェック。
効果があるどころか危険と「匠」に指摘されたのは、アルミホイルで保護したつもりになっている電気スタンドのコードやコンセント。
さらに、換気扇が無いことによる問題点を確認するため、お肉を焼いて実験してみると… あっという間に熱がこもりチャンカワイさんは汗だくに。間もなく、室内は火事が起こったかのように煙が充満しました。慌てて家中の窓を開け、煙を逃がして検証は終了。問題だらけの台所、はたしてリフォームは上手くいくのでしょうか…

掘り起こされた思い出と問題点

画像:バケツのお風呂に入る家

いよいよリフォーム開始。先ずは、台所と居間の荷物を寝室へ移します。引越屋のアルバイト経験があるWエンジンの二人には、お手のもの。そこに訪れた「匠」も手伝いに加わりました。途中、お母さんが出してきたのは、えとう窓口さんが家を離れてからお母さんに送り続けていた手紙。芸人になる意気込みと、幼い弟を育てる母への気遣いが書かれた手紙を読み上げると、皆の頬に涙が伝います。

画像:バケツのお風呂に入る家

台所と居間から全ての荷物が運びだされると、居間の畳を上げて、外に運び出しました。湿気を含んで予想以上の重さになった畳に驚くWエンジンの二人。床板がむき出しになったところで、高さを計測する道具を持ち込み、部屋の傾き具合を確認します。すると、2mの間で5cmの差があることが分かりました。これは、体感できるレベルの傾きです。

画像:バケツのお風呂に入る家

続いて流し台を取り外し、その下に位置した床板を剥がしてみると、そこには腐った“掛け”と呼ばれる木枠が現れました。これでは床が傾くのも無理ありません。さらに床板を外していくと、間隔が広すぎるうえに、太さも足りていない“大引”という骨組みが。それらを支える“束”は、数が足りていないだけでなく、完全に宙に浮いて役目を果たしていませんでした。

画像:バケツのお風呂に入る家

台所の床の骨組みを作り直す為、全て取り払った「匠」が続いて指示を出したのは、台所と居間の間に合った壁を無くしてしまうこと。勢い良く壁を壊し始めた「匠」とチャンカワイさんに、えとう窓口さんはオロオロするばかり。こうしてひとつの空間になった居間と台所に開放感を感じた後は、廃材の運び出し。コストを抑えるため、「出来ることはすべて自分達で」。Wエンジンの2人が冬だというのに汗だくになりながら、日が暮れるまで運び続けました。

コストを抑える数々の手段

画像:バケツのお風呂に入る家

新しく作る床の材料に選ばれた杉に感動する、えとう兄弟。チャンカワイさんも加わって、その杉材をどんどん家へと運び入れます。その頃、外ではブロックの穴にモルタルを詰めている職人さんの姿が。これは土台を支える“束”。コストを抑えつつ強度を保つため、この手法がとられました。コストを意識したチャンカワイさんが早速交代して、“自分で”やります。

画像:バケツのお風呂に入る家

滴る汗をぬぐいながら、作った全ての“束”を設置すると、続いては、運びだした古い畳を25cm幅で切り出す作業を、皆で手伝います。幾つもの細長い畳を家に運びこむと、先ほどの杉材で床に作られた“根太”の間にはめ込んでいきます。なんと「匠」は、廃棄すると費用がかかる古い畳を断熱材として再利用したのです。

画像:バケツのお風呂に入る家

床のリフォームが進む中、Wエンジンの二人と「匠」は、車に乗って大分から一路福岡へ。2時間半かけて辿り着いたのは、中古の業務用厨房機器の専門店。そこで、新しく生まれ変わる台所の為に、業務用の2槽式の流し台とステンレス製の棚を格安価格で購入しました。

画像:バケツのお風呂に入る家

3人が流し台を選んでいる間も、家の作業は進んでいました。老朽化していた壁の漆喰の塗り直しだけは、プロにしかできない職人技が必要です。
えとう窓口さんの弟さんが、仕事帰りに手伝いに駆けつけました。毎日作業を手伝う弟さんは、この日は大工さんと一緒に耐久性の高い床を作り上げました。骨組みを作り、今までの家には無かった断熱材を設置すると、杉の床材を張り、床の作業は完了です。

職人Wエンジン!

画像:バケツのお風呂に入る家

購入してきた中古の流し台がリビングと向きあう形でセットされました。2つあるシンクをどうするのか?と疑問に思ったWエンジンの2人に、「匠」は片方のシンクにぴったり収まる、穴が沢山あけられたステンレスの蓋を見せました。これをセットすると、食器の水切りや、流れ出た食材の汁や血合を洗い流せる調理台としてなど、多様な使い方ができるようになります。

画像:バケツのお風呂に入る家

壁側に置かれたコンロ台。位置は以前と変わりませんが、横の壁に新たに換気扇が設置されました。小さなサイズですが、取り付け位置をあえて低くすることで、部屋に煙が広がる前に十分吸い出すことが出来るのです。また、レンジフード代わりに、中古のステンレス製の棚を逆さまにして取り付けました。もちろん本来の棚としての役割も果たせます。

画像:バケツのお風呂に入る家

コンロ台が設置された台所に、職人さんとチャンカワイさんが箱を持って現れました。実は、前回のリフォームで浴室のタイル貼りのセンスを買われたチャンカワイさんが、職人さんに代わって今回もタイル貼りをすることになったのです。箱から取り出されたのは、前回の作業で余ったタイル。ここでもコストを考えての再々利用です。

画像:バケツのお風呂に入る家

チャンカワイさんがタイルを貼っている間に、えとう窓口さんが、古びて汚れて見える天井を白く塗り直すことに。先ずは、新たに塗り替えられた漆喰や窓を汚さないように、大きなビニールで覆います。そして脚立に登ると、職人さんにアドバイスを受けながら、慣れない手つきで一所懸命に塗り始めます。えとうさん、人生初となるペンキ塗り。終わったときには、服も顔も白い塗料だらけでした。

芸人から職人の顔へ

画像:バケツのお風呂に入る家

江藤家のリフォームもいよいよ佳境。「匠」が運んできたのは、えとう窓口さんの家で使わなくなっていた勉強机やテーブルに板を付けるなど少し加工したもの。えとう兄弟とチャンカワイさんに任された仕事は、その塗装。透明の塗料を塗り、乾いたら紙やすりを掛けて表面の毛羽を削り、削ったらまた塗料を塗って… 職人さんが7回繰り返すというこの根気のいる作業。完成品を使うお母さんのために、10時間以上かけて丁寧に仕上げます。出来ることは何でも自力で行う低コストリフォーム。Wエンジンの二人も、すっかり職人の顔です。

画像:バケツのお風呂に入る家

その磨きあげた仕上がりに「匠」も感嘆の声を漏らしたテーブルと勉強机は、組み合わされてひとつのダイニングテーブルとして生まれ変わりました。普段はお母さんと弟さんの2人で使うダイニングテーブル。かつてのテーブル部分を引き出すことで、えとう窓口さんやお姉さんが遊びに帰ってきたときでも、余裕を持って座れる大きさになるのです。

画像:バケツのお風呂に入る家

リフォームも完成間近。「匠」はWエンジンと共に地元の看板屋へ。縦長に切断したアクリル板に、専用のドリルで細長い穴を開けます。チャンカワイさんが「ティシュカバーの上の部分みたい」といった、加工されたアクリル板。果たして何に使うのでしょうか?

画像:バケツのお風呂に入る家

蛍光灯が、あのダイニングテーブルの真上にあたる位置に取り付けられました。そしてその蛍光灯が開けた穴から見えるような形で、先ほど加工してきたアクリル板が設置されました。この板によって、間接照明のように反射した明かりが天井を照らしつつ、スリットを通して直接明かりをダイニングテーブルに落とすことができるのです。照らされた天井によって部屋全体が柔らかい光に包まれました。

親孝行のお披露目

画像:バケツのお風呂に入る家

全ての作業が終了した、親孝行リフォーム。
苦労してきた母を喜ばせたい!そんな えとう窓口さんの気持ちを汲んだ「匠」と相方チャンカワイさん、そして弟さんの協力で見事成し遂げました。
居間とつながり、日差したっぷりの広く明るいダイニングキッチンに生まれ変わった「問題だらけだった台所」が、リフォームの完成を待ちわびていたお母さんを出迎えます。

画像:バケツのお風呂に入る家

「匠」のアイデアが特に印象的な、調理スペースの広いアイランド型のキッチンに、待望の換気扇が取り付けられたコンロ台。懐かしい家財で作られた可変式のダイニングテーブル。そして、ガラス戸を再利用した食器棚。リフォームされたひとつひとつの箇所に感動するお母さん。笑顔でほころんだままです。

画像:バケツのお風呂に入る家

歓喜の声をあげていると、「匠」が訪れてきました。「みんな、どうすればお母さんが喜んでくれるかばかり考えて頑張ってくれた。いい人生が待っているから、これからも元気に健康でいてくれることを祈っています。」 「匠」からの言葉に、お母さんは深々と頭を下げて、お礼を繰り返します。

画像:バケツのお風呂に入る家

お母さんが喜んだのは、リフォームの完成だけではありませんでした。「夏のお風呂のリフォーム、そして今回のリフォームで、長い間会うことが出来なかった えとう窓口さんと、ずっといることが出来た。そして、弟が幼い頃にえとう窓口さんが家を離れて以来、なかなか会えなかった兄弟が一緒に過ごせた」とリフォームを通じて家族が集まれたことへの感謝の言葉が。
えとう窓口さんからは、「匠」や職人さん、相方のチャンカワイさんが、朝から晩まで無理をしてくれたおかげでリフォームが成功したと、お礼が伝えられ、「匠」もチャンカワイさんも涙を拭うのでした。

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