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2011年9月25日放送

廊下で必ず転ぶ家

この物件が抱える問題

  • ■12年前に閉めた寿司屋の店舗がそのままの状態の家で、一家が暮らしている
  • ■玄関から続く飛び石と玉砂利が敷かれた廊下は、足元が不安定で、小さな子どもはもちろん、大人もつまづいたり滑ったりと、非常に危険
  • ■料理は、かつての厨房を利用しているが、土間のため冷たく、特に冬は冷え込む。また、水はけを重視しているため、傾斜がついている
  • ■冷蔵庫が厨房に無く、元店舗のカウンターの下にある業務用を使用しているため、取り出しにくい
  • ■おばあちゃんの寝室が、家族の食卓としても使っているかつての宴会場で、広すぎるため冬場は寒く、部屋を出ると玉砂利の廊下への段差があり、夜中にトイレに行くのもためらう
  • ■生活時間帯が違うご主人は、おばあちゃんが寝ているお座敷を避け、薄暗い厨房から洗面脱衣所を通って夫婦の部屋がある2階へとあがっている
  • ■2階への階段は手すりが無く、次男を抱えた奥さんや幼い長男が上り下りするには、傾斜もきつく危険
  • ■1階が店舗のため、2階の納戸にタンスや家財が押し込まれており、衣類を取り出すにも、窮屈な空間の中で身を屈めて選ばなければならない
  • 写真:サムネイル
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この問題を抱えた物件に、立ち上がった「匠」とその技

写真:「匠」の顔写真

和とモダンの融合者 川口とし子

床レベルの問題が一番大きい。お店だった頃なら非常に凝ったしつらえと言えるが、生活空間となると、もうすぐ歩きだすお子さんがいることを考えても非常に危険。 また、水まわりの不便さ、家事動線、まだまだ小さいお子さん達…そういう点を考慮しながら楽しく暮らせる家にしていくかを検討する。

全ての問題を解決したそのビフォーアフターをご覧ください!!

赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます

家族の幸せを願った「匠」からのアイデア

子ども達が遊べる庭
以前はスペースがありながら、一面が砂利だった為、子供たちが遊ぶことが出来なかった家の前は、広く立派な庭に整備され、のびのびと遊べるようになりました。

段違いの棚に並ぶ和の趣ある鉢は、かつて、お店で使っていた寿司桶を再利用したもの。鎖を通し、吊り下げても様になります。

その庭を臨むリビングとバリアフリーでつながるウッドデッキも設置されました。日当たりがいいので物干し場にも最適。大きな庇があり、少々の雨なら洗濯物を干しておけます。

ウッドデッキの周りには、幼い長男が何度も転んでいた1階の砂利敷きの廊下にあった飛び石を移しました。滑りやすかったのは、つやを出す為に樹脂が塗られていたため。その樹脂塗装を綺麗に剥がして配置された飛び石が、風情ある庭へと導きます。
画像: 匠のアイデア
見えない工夫
かつてのお店の玄関とは趣が一変した、新しい玄関。大きな引き戸の先、印象的な赤松の木材の上り框は、以前の座敷席へ上がるものを削って再利用。

玄関のたたきには、お客さんを座敷へ導いてきた飛び石が埋め込まれ、上り框は楽に上がれる高さに。

その玄関ロビーは、吹き抜けにしたことで、家に入った瞬間、開放感に包まれます。

玄関に新たに設置されたシューズインクローゼット。天井から床まで、たっぷりと収納でき、ベビーカーを畳まずに置くこともできます。子ども達が成長すれば、三輪車などの遊具置き場にも。
画像: 匠のアイデア
待望のキッチン
かつてお父さんが寿司を握ったお店の象徴、立派なカウンターをリメイクした新しいキッチン。軒ひさし、飾り障子といった、こだわりの装飾もすべて再利用。

リビングの子供たちから目を離さずに料理できる対面式キッチンになったので、まだまだ幼い兄弟を持つお母さんは大助かり。

あえてそのまま使った、家族の思い入れのあるカウンターは、忙しい朝、手軽に食事をとるのに打ってつけです。その裏は、最新の機能を備えたシステムキッチン。お嫁さんと並んで料理を楽しみたい──そんなおばあちゃんの夢も叶うゆとりの広さです。

大切な収納も大容量。家族5人分の食器はもちろん、色々な調理器具までたっぷり仕舞えます。

以前はカウンターで塞がれていた一角に引き戸を取り付け、玄関からキッチンへ直接入れる新たな動線を作ったことで、買い物帰りに便利になりました。
画像: 匠のアイデア
お寿司屋さんの思い出
高級感ある天井の下、畳敷きの和の空間とフローリングにソファを置いた洋の空間が並んだ24畳の広々としたリビング。

その畳敷きのスペースには家族5人でゆったり食事ができる、掘ごたつが。かつての廊下の飛び石を薄くスライスして足元に並べ、夏はひんやり、冬は蓄熱効果で暖かく過ごせます。

魚偏の漢字が並ぶこだわりの畳のヘリも、かつてと同じデザイン。お寿司屋さんだった頃の座敷の様子を忍ばせます。

明かり取りのハイサイドサッシの下には、かつて、カウンターで寿司を握るお父さんが背負っていた店の名前が描かれた壁が。その中央には、漆喰の浮き文字で書かれた亡きお父さんを含めた家族6人の名前が。この作業を行ったのは、ご主人と従兄弟の左官職人さん。日々、この壁を見る度に、カウンターに立っていたお父さんの威勢のいい姿が思い出されることでしょう。

お寿司屋さんの頃の思い出は、こんなところにも。新しく作られたおばあちゃんの寝室の壁に、かつて厨房の水槽にいる魚をお客さんに見せるために壁にしつらえていたひょうたん型の窓枠と、3つのさかずきのユニークな装飾を施しました。
画像: 匠のアイデア
2階に溢れる「匠」のアイデア
2階の東側に作られたおよそ9畳のフリースペース。壁際には、ご主人が趣味のDJを楽しめるコーナーを用意。さらに、もうひとつの壁際も、ご主人のコーナー。これまで集めた大量のレコードを収める専用のラックを作りました。さすがにこれなら、およそ700枚あるというコレクションもすべて収まるはずです。

また、収納の端に収めた壁は、レールに沿って引き出すことができ、3枚すべて引き出すと、簡単に、部屋を2つに間仕切ることができます。今は小さな兄弟が、将来、個室を持ちたがった時に、きっと役に立つはず。

2階には新たにロフトを作り、地震の揺れを抑える制震装置が取り付けられました。大学教授の顔を持つ「匠」が同僚の専門家の知恵を借りて取り付けた制震装置。それ自体を、棚としても利用できるように作られています。

西側の部屋は、6枚の畳敷の和室。この畳、置き畳になっているため、取り外しも簡単。手軽にフローリングに変更できます。2人の子供たちが独立したら夫婦の寝室にするなど、その時々の家族の形に合わせた、多目的な使い道が考えられそうです。
画像: 匠のアイデア
今回お手伝いいただいた工務店の皆さん
写真:工務店の皆さん
東京都中野区 関口工務店
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