新・企業史博物館

11月16日(水)放送

株式会社マンダム
【 第3夜 】 トップダウン型から全員参画型へ

社長のトップダウンによって実現したチャールズ・ブロンソンのCM起用。当時のコマーシャルの常識を覆すこの奇策による大成功は、業績回復とそれに続く大躍進の原動力となった。しかし、トップダウン型経営は時として大きなリスクも伴う。

1978年、直販制への移行。それまで代理店を経由して各販売店へ届けていた商品を、直接販売店に卸すことで流通を合理化、コストを抑えようという戦略であった。このトップダウンは、しかし、裏目に出た。全国各地に自社の営業所を抱え、自社で商品運送の手配をし、一つ一つの取引先販売店に納品してまわらなければならない。合理化どころか、人件費と流通コストは増えるばかり。ついには深刻な経営危機に陥り、わずか2年で元の代理店経由の販売に戻さざるを得なくなったのである。

この危機を乗り越えるべく一新された経営陣ではあったが、その平均年齢は一気に17歳も若返り、会社再建には知識も経験も十分とは言えなかった。そこでとられた方策、それは社員たちにカードを配り意見を吸い上げるということ。提出されたカードの数、1万枚。そこには過去の経営陣が今まで気づかなかった「現場の声」「現場の思い」が詰まっていた。こうしてマンダムは、トップダウン型経営から全員参画型の企業へと大きく舵を切ることになったのである。

マンダム