冬の静寂

まだ闇が明けるまで、もうしばらく時間があった。
いつもの場所へ向かう途中で降り始めた雪は、ライトに反射しながら、地面をゆっくりと白く染めようとしていた。
しばらく、そんな中、車を走らせ、間もなくその場所へ到着という頃になって、いよいよ空が白み始めた。
それまでの黒い世界が、東の空だけでなく、足元からも明けてくるような、そんなちょっとした不思議な光景が目の前に広がりだした。
まったくの静寂。
凛と張りつめた冷たさ。
心の奥までストレートにやってくる透き通った空気。
いつもとは違う。
そんな期待と共に、風景がゆるやかに変化していく。
雪が小降りになったと同時に、今日最初のシャッターを切る。

 
琵琶湖
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Photo&Essay:Shuji Enmando