Story
ストーリー
最終回
朝山家の人々





映画『夜山家の人々』は無事クランクアップを迎える。晴太(嶋田鉄太)の転校も完了し、ようやくひと段落ついた朝山家に、成瀬(土佐和成)が訪ねてくる。
中野(松尾諭)の話になると察していた賢太(小澤征悦)は、成瀬を前に居心地の悪さを感じてしまう。中野の実家まで線香をあげに行き、知り合いに声をかけ葬儀も行うという成瀬とは対照的に、中野のために何もしようとしない賢太は、「人を大切にする人だと思っていた」と失望を口にされ、返す言葉もない…。
そんな中で迎えた映画の公開初日。朝子(中村アン)のある衝撃的な告白に賢太は動揺したまま、舞台挨拶に臨む…。
第7話
短い挨拶と知らない番号





賢太(小澤征悦)がいかに残念な夫で、朝子(中村アン)がいかにしてキレてしまうのか、リアルな朝山夫妻の認知が現場に浸透するに連れ、映画の撮影は軌道に乗り始める。吉浦亮(丸山智己)が演じる余計なことばかり言う劇中の夫は、まるで普段の賢太そのもの。そこまで酷くないと反論する賢太ですら、内心では自身の姿と重なり複雑な心境になる。
そんな中、中野(松尾諭)との連絡が途絶える。携帯電話は不通。中野に貸す約束でポストに入れておいた金も取りに来ていない。前夜、借金癖のある中野から立て続けに金を無心され、イラだち紛れに役者を辞めて実家に帰れとトゲある言葉を吐いていた賢太は、中野の状況が気になるものの、自身の生活も待ったなしの中、なんとなく後回しに…。
晴太(嶋田鉄太)の転校は、具体的な下調べの段階に入る。晴太は、転校さえできればこの世は天国とばかりに前のめりだが、それに伴う各種手続きで朝子の苦労は増すばかり。通級指導を受けていた晴太には転校によるデメリットもあり、晴太本人の過度の期待も心配材料だ。
そうして迎えたお試し登校の朝、賢太の携帯電話に見覚えのない番号から着信があり…。
第7話がもっと楽しめる用語集
- 段取り
- 映画やドラマの撮影の前に、役者の芝居の動きを確認すること。ここで監督から演技の指導が入ることも多い。段取りの役者の動きにあわせて、各部署が機材の準備を進める。
- 通級
- 通常の授業のほかに一部の授業を別の教室で受ける制度。
障害による学習や生活で困難がある子どもたちが対象で、困りごとに合わせた指導が行われる。
- スクールカウンセラー
- 心理についての専門性を持ち、学校において、児童・生徒が抱えるさまざまな課題について解決のための助言や指導などをおこなう者のこと。
扱う課題は、いじめ、暴力や不登校のほか、発達の課題や精神科領域の課題、家庭環境や親子関係の課題など、多岐にわたる。
第6話
最後の手段とオヤゴコロ





晴太(嶋田鉄太)が突如、転校したいと言い出す。朝子(中村アン)は、今までになく強い意思を示す晴太に戸惑いを感じ、晴太の担当医に相談。だが、返ってくる答えはいつもと同じ「様子を見ましょう」だ。病院でも学校でも先生たちは親身になってくれるが、最後はこの一言で終わるのが常。小学校卒業までも残り3カ月となり中学校選びも待ったなしの状況で、一体いつまで様子を見ればいいのか…尽きることない悩みの連鎖に、朝子の気持ちは晴れない。
当の晴太は、この日も学校を休み撮影現場へ。人見知りをしない晴太は、大日方香(河井青葉)らとすっかり打ち解け、上機嫌だ。
一方、野球を辞めた蝶子(渡邉心結)はオンラインゲームに夢中。撮影を終え深夜に帰宅した賢太(小澤征悦)は、家族といる時と違って楽しそうな蝶子に、つい相手は誰かと口出ししてキレられる。翌朝には、朝子に止められたにもかかわらず、修学旅行に行くよう晴太を説得し始めた賢太は、晴太の拒絶を誘発。さらに、この時まで晴太の転校話を聞いていなかった賢太は、朝子に八つ当たりを始め、「俺のデビュー作をぶち壊しにきてる」と被害者ムーブを発動!
第6話がもっと楽しめる用語集
- ワーキングメモリ
- 作業や動作に必要な情報を一時的に記憶し処理する能力。
- ヨリ
- 被写体にカメラを近づけて、アップで撮影すること。
逆に被写体を遠くから捉えることは「ヒキ」という。
- 遮蔽
- 屋内で夜のシーンを撮影する際に、建物を暗幕(黒い布等)で覆い、室内を暗くすること。
これにより、日中でも夜のシーンを撮影することができる。
- 公認心理士
- 心理学に関する専門的知識及び技術をもつことを証明する国家資格。
- フリースクール
- 何らかの理由で学校に行くことができない児童・生徒たちに、学習機会を提供する民間運営の学校。
- 支援学校
- 特別支援学校のこと。
心身に障害のある子どもの自立や社会参加に向けて、自分自身で考えて行動を選択できるようにしたり、生活や学習で困る場面を解決できるよう、指導・支援する学校。
第5話
わかってくれるのはお前だけ





賢太(小澤征悦)が初監督を務める映画『夜山家の人々』は、蝶子(渡邉心結)の問題が解決しないまま、なし崩しに撮影初日を迎える。朝子(中村アン)が見守る中、緊張気味にメガホンを握る賢太。だが、現場の主導権は、古参カメラマンの武藤(坂田聡)やベテラン女優の大日方香(河井青葉)にあっという間に取られてしまう。その成り行きをニタニタと眺めている吉浦亮(丸山智己)は、まるで二人目の賢太のようだ。
いきなりの試練に頭を抱え込む賢太。だが、朝子は「悩んでいるふり」と看破。実際、若い記録の小向佐知(工藤遥)に気にかけてもらい、賢太はまんざらでもない…。
撮影は夜も続き、現場を離れられない朝子は、折り合いの悪い蝶子(渡邉心結)と晴太(嶋田鉄太)が家で二人きりになるのを避けるため、助っ人に中野(松尾諭)を呼ぶ。親の都合を押し付けられ不服な蝶子は部屋から出てこないが、中野に懐いている晴太は、朝子たちにも話さない学校での悩みを打ち明ける。修学旅行が目前に迫り気持ちが不安定な様子の晴太に、中野はある秘策を授ける…。
第5話がもっと楽しめる用語集
- 俳優部
- 映画やドラマの現場で、キャストたちのことを俳優部と呼ぶ。
他にも、監督・助監督は演出部、音響関係は録音部、照明関係は照明部、プロデューサーはP部と、役割ごとに部署名がつく。
- バレる
- 撮影カメラのフレーム内に、映ってはいけないモノや人が入っていること。
- どんでん
- カメラのアングルが180度変わること。
- WISC(ウィスク)
- 子どもの知能を測定するための検査の一つ。
子どもの得意なことと苦手なことを把握し、子どもに合った関わり方やより伸ばすと良いポイントを知ることを目的としている。
- ナメ
- 人物やモノ越しに被写体をとらえること。
- カサンドラ症候群
- パートナーあるいは家族など身近にいる人が自閉スペクトラム症(ASD)のため、適切な意思疎通や関係性を築けない心的ストレスから、不安障害や抑うつ状態といった症状が起きている状態を指す言葉。
第4話
やめたいをやめさせたい





賢太(小澤征悦)の初監督映画『夜山家の人々』の製作が決まり、朝山家の日常はさらに慌ただしさを増す。クランクインは一週間後。緊張の中、賢太は役者陣との本読みへ。一方の朝子(中村アン)は、自宅を夜山家の撮影セットに使うという賢太のわがままなプランのせいで、仮住まいへの引越しを余儀なくされ大忙し。荷運びのバイトに売れない所属俳優の中野(松尾諭)、成瀬(土佐和成)、畠山(佐野弘樹)を呼んだはいいものの、映画に出させてほしいとまとわり付かれ、野球の練習に行く蝶子(渡邉心結)を送り出し、翌月の修学旅行に早くも拒否反応を示す晴太(嶋田鉄太)のケアをしてと、まさに息つく暇もない。そのうえ、蝶子が朝子たちに嘘をついていることまで発覚し…。
第4話がもっと楽しめる用語集
- 本読み
- 撮影がはじまる前にキャストが集まって、台本の読み合わせをすること。キャラクターについて監督と話し合ったり、演技を試したりすることも多い。
- イン
- 撮影開始(クランクイン)のこと。「アップ」は撮影終了(クランクアップ)。
- カット割り
- 映画やドラマのカットの構図や、数を決める作業。カット割りで監督の特徴が出ることも多い。これをもとに、各スタッフが機材等の段取りをする。
- 商業映画
- 制作会社や配給会社が資金を出し、劇場公開を前提に制作・興行される映画。
- ロケハン
- ロケーションハンティング。映画やドラマの撮影場所を選ぶために、現地に赴くこと。電源の場所や周囲の音・明るさのコンディションなど、実際に行ってみないと分からないことも多いため、監督と各スタッフがその場ですり合わせをし、情報収集することが大事。
- スクリプター
- 別名、記録。映画やテレビの制作現場で、撮影した内容を記録・管理する役割。カットの内容や、いつ何が撮影されたかを事細かく記録する。「繋がり」と呼ばれる、シーンやカットをまたいでの整合性のチェックもすることが多い。
- 抜け
- カメラを向ける方向の景色のこと。フレーム内の物や背景を整えることを「抜けを整理する」などと言ったりする。
第3話
一言多いのに話は聞いてくれない





朝山家をモデルにした賢太(小澤征悦)の映画企画はキャスティングに難航。賢太はなけなしの自信をさらに失っていく。一緒に落ち込むわけにいかない朝子(中村アン)は、夫役に人気にかげりはあるものの賢太と似てウジウジした印象のある吉浦亮(丸山智己)を、妻役には歯に衣着せぬベテラン女優の大日方香(河井青葉)を候補として提案。賢太は、吉浦は落ち目だとか大日方は怖いとか、相も変わらず後ろ向きの反応を示すが、朝子は構うことなく、則元桐子(さとうほなみ)とセッティングした交渉の場へと、賢太を連れ出すが…
打ち合わせを終えた朝子と賢太は、晴太(嶋田鉄太)が通う療育センター『ソーラー』で、中川(小島健)のペアレントトレーニングを受ける。さまざまな特性のある晴太だけでなく、両親が晴太を特別扱いしていると感じている蝶子(渡邉心結)のためにも、家庭内は穏やかにとの指導を受ける二人。しかし、余計なひと言が多い賢太への朝子のイラ立ちが消えることはなく、その夜の食卓でも、賢太がこだわる蝶子の野球の話を皮切りに家族全員の鬱憤が噴出!収拾不能なカオスと化す!?
第3話がもっと楽しめる用語集
- フリー
- 事務所に所属していないタレントのこと。仕事の依頼受付やスケジュール管理まで、全て本人が行うケースも多い。
- 初稿
- 映画やドラマの脚本の、一番最初のバージョン。ここから本打ち(脚本・監督・プロデューサーらが集まって行う脚本の打ち合わせ)を経て、改稿を繰り返し、脚本が出来上がる。なお、最終版は「決定稿」と呼ぶ。
- ペアレントトレーニング
- 子どもとの関わり方を親が学ぶプログラム。
保護者の心理的ストレスの軽減も目的とされる。
療育施設の「ソーラー」で陸先生が朝山夫妻に、定期的に行っている。
- 多弁
- 言葉数の多いこと。ここでは、晴太が自分の好きなことについて喋りだすと止まらなくなる様子を表現している。
- あみあみ
- 晴太と賢太がよく行くホビーショップ。2人でマンガやフィギュアをよく物色している。
第2話
うまくいかないことばかり





とある土曜日。朝山家にイライラ最高潮の朝が訪れる。その日、晴太(嶋田鉄太)には朝子(中村アン)と一緒に中学の体験会へ行く約束が、蝶子(渡邉心結)には野球の練習試合に出かける予定が入っていた。しかし、晴太は例の如く起きられず、焦る朝子の様子に危機を察した賢太(小澤征悦)は、エゴサを中断し晴太起こしに加勢。すると今度は、朝子と賢太が晴太にかかりきりになり、自分のお弁当が鞄に入れられてなかったことが気に入らない蝶子のワガママが発動。野球に行かないと言い出す。思い通りにならずイライラする朝子と蝶子。賢太はそんな二人から当たられ、沸々と湧いてくる怒りの感情を抑えるのに精一杯だ。
結局、布団から出てこない晴太を置いて、朝子は一人で体験会へ。蝶子も賢太にお弁当を押し付けられ、悪態をつきながらどうにか家を出ていく。だが、出かけた先で二人はそれぞれ、さらに気が滅入る出来事に遭遇してしまい…。
そんな中、賢太の映画企画に人気俳優の深山新之助(竹財輝之助)が興味を示しているとの朗報が飛び込んでくる!
第2話がもっと楽しめる用語集
- 街録ch
- ディレクターの三谷三四郎がひたすら街頭インタビューするYouTubeの人気チャンネル。朝子が大ファン。
- 愛友中学
- 晴太の進学先候補の中学校。自由な校風で、生徒と保護者向けに体験会を実施している。
- ソーラー
- 晴太が通っている療育センター
- LD
- 学習障害(Learning Disabilitie)のこと。読み書きや計算など学習における技能に困難さがみられる発達障害の一つ。
- ペアレントトレーニング
- 子どもとの関わり方を親が学ぶプログラム。保護者の心理的ストレスの軽減も目的とされる。
- インクルーシブ
- インクルーシブ教育のこと。障害の有無や個々の様々な違いに関わらず、すべての子どもが同じ環境で学び、多様性を認め合うことを目指す。
- 生オーディオコメンタリー
- 映画やドラマを、出演者や制作者がリアルタイムで解説しながら上映すること。
第1話
朝山家の長くて短い1日





朝山家は、脚本家として売れている夫の賢太(小澤征悦)、夫のために事務所を設立し社長を務める妻の朝子(中村アン)、高校1年の長女・蝶子(渡邉心結)と小学6年の長男・晴太(嶋田鉄太)の4人家族。
そんな朝山家のある朝。賢太はソワソワしながらその日を迎える。執筆した朝の国民的ドラマ、通称・国ドラの『ムキムキ』がいよいよ放送になるのだ。記念すべき初回を家族に見せたい!その欲求のまま、賢太は一緒に観ようアピールを家中で繰り広げる。しかし、時間になっても居間には賢太の姿しかない。発達障がいの特性から朝が弱い晴太はぐずって起きてこず、朝子はそんな晴太の世話と家事、仕事に出かける準備で大忙し。反抗期的不機嫌さがデフォルトの蝶子に至っては、父の仕事も国ドラも興味の対象外だ。そして何より、賢太のジコチュウさに家族みんながイライラ。結局、賢太は一世一代の朝をさみしく過ごす。それは一見、気の毒なようだが、朝子にとっては、夫が日がなエゴサーチに明け暮れる、悪夢のような一日の幕開けだった!
第1話がもっと楽しめる用語集
- 国ドラ
- 平日の朝に放送されている国民的ドラマの通称。
注目度は高く、放送後はSNSでの「#反省会」が話題に。
- ドラマ『ムキムキ』
- 賢太が脚本を担当した国ドラのタイトルで、主演は向山カレン。
ひ弱な少女が筋トレを頑張るサクセスストーリー。
- エゴサ(エゴサーチ)
- SNSで自分に関する情報を検索すること。賢太の日課。
- ミチル
- グループホーム(地域小規模児童養護施設)で生活している小学1年生。
朝子と賢太がボランティアでミチルの通学をサポートしている。
- 映画『夜山家の人々』
- 賢太の映画企画。朝山家の実生活を赤裸々に描いた内容で、この作品で賢太は初監督をやりたいと思っている。
- 自主映画
- 大手による商業映画ではなく、個人資金で製作する映画。
- フルキャストオーディション
- 有名な俳優にオファーをするキャスティングではなく、オーディションによってすべての出演者を選ぶこと。
- 顔合わせ
- 映画やドラマの撮影が始まる前に、キャスト・スタッフが一同に会する行事。