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みんなの家庭の医学 <番外編> 今週の名医!ここだけのハナシ

番組に登場した名医・専門家が、放送では伝えきれなかった病の治療法や解消法をコミコミクリニック限定で詳しくお話しします。

カビのアレルギーを疑ったら… アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の解決法国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部 部長 谷口正実 先生

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の解決法

早めの診断が大切です!

 カビは、ダニや花粉、ペットとともにアレルギーの原因物質(=アレルゲン)となりますが、他のアレルゲンよりも肺や気管支を破壊する反応を起こしやすく、アレルギー症状も重症化しやすいことが知られています。特にアレルギー体質の方の約20%に何らかのカビにアレルギーが、さらにそのうち約60%の方にアスペルギルスというカビに対するアレルギーがあります。

 アスペルギルス(特にアスペルギルス・フミガタス)は、カビの中でも最も危険なアレルゲンです。このアレルギー検査(IgE抗体検査)は、ほとんどの医療施設において血液検査が可能で、アスペルギルスを含め一度に13種類までのアレルゲン検査ができます。また、保険が適応されますので、費用は3割負担の方で約6000円程度です。この時、アスペルギルスが検査項目に入っていない場合がありますので、医師に事前に確認してください。アレルギー疾患にとって、もっとも重要な治療の第一歩は、ご自身のアレルゲンを知って、それに対する対策をとることです。アレルギー体質の方で、ご自身のアレルギーの原因をご存じない方は、まず検査をお勧めします。

もし、アスペルギルスに対するアレルギーが見つかったら?

 アスペルギルスに対するアレルギーがあった(陽性の)場合、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(※以下ABPA)の可能性が数10%あるため、さらに検査が必要です。それには、IgE抗体検査に加え、アスペルギルスIgG抗体(沈降抗体)という「組織を破壊する物質」があるかどうかを血液検査で調べます。ただし、この検査は保険が適応されないため、自己負担となります。

アスペルギルスに対するIgE抗体とIgG抗体の両方が陽性だった場合は、たとえ症状がなくとも、ABPAの可能性が高く、呼吸器内科などの専門医で肺のCT検査などを受けることをお勧めします。

治療法

 ABPAの方は、換気が悪い、もしくは湿気が多い環境で、過去に(もしくは現在も)生活した方がほとんどです。したがって、今後もそのような環境で生活すると抗体の値が上昇し、アレルギー症状が悪化します。まず、身の回りのアスペルギルスの量を減らすことが最重要です。職場や住居、特に寝室の換気や湿気対策を十分にしましょう。また枕やエアコンにもアスペルギルスは繁殖することが知られています。こまめに掃除や洗濯をした方が良いでしょう。

さらにABPAを発症した方は、吸入ステロイド薬や抗真菌薬の長期使用で状態が安定化します。ぜひ環境対策と薬物治療の二刀流でABPAを打ち負かしましょう。

(2011年6月)

※アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)とは…

一種のアレルギー疾患。アスペルギルスというカビを長期に吸い込むことで、気管支の粘膜の表面で炎症が起こり発症する病。この状態が続くと、アスペルギルスは組織を破壊する物質の生産を開始。徐々に気管支や肺の機能を、失わせていく。最悪の場合、呼吸不全を起こし、死にいたる場合もある恐ろしい病。

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