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みんなの家庭の医学 <番外編> 今週の名医!ここだけのハナシ

番組に登場した名医・専門家が、放送では伝えきれなかった病の治療法や解消法をコミコミクリニック限定で詳しくお話しします。

岩垂純一診療所 院長 岩垂純一先生

痔核(いぼ痔)の治療法

痔核(いぼ痔)の症状は初めの頃は排便の際の出血ですが、進んでくると肛門の外に痔核が脱出する(飛び出す)ようになります。そして脱出は排便後自然と戻っていたのが、今度は指で押し込まないと戻らなくなり、そのうちに歩いていても出てくるようになり、最後は出たままとなってしまいます。

痔核の治療の基本

日常生活で肛門に負担をかけないようにしつつ、出血や脱出などの症状に対して、座薬や軟膏などの外用薬で治療する保存療法です。保存療法でも治まらない場合、注射療法やゴム輪結紮(けっさつ)療法が行われます。

注射療法


画像:マルホ株式会社「痔の知識」より

痔核に硬化剤(5%フェノールアーモンド油)を注射し、痔核を硬くし小さくする方法です。出血を繰り返す痔核には有効ですが、効果は1年程度しか続かず、また脱出には効果がありません。

ゴム輪結紮(けっさつ)療法


画像:マルホ株式会社「痔の知識」より

脱出する痔核に特殊な器具を使いゴム輪をかけ、徐々に痔核の根の部分を締めて脱落させる方法です。痛みを感じない直腸側の痔核(内痔核)には適応がありますが、痛みを感じる肛門側の痔核(外痔核)には強い痛みを伴うため、不可能な方法です。痔核の程度が進んで内痔核だけでなく痛みを感じる外痔核も含めて脱出するようになると、それを治すためには手術となります。

外科手術

痔核に流れ込む血管をしばって痔核を放射状に切除(結紮切除術)しますが、傷ができ痛みを伴うために通常は1〜2週間の入院が必要となります。

痔核の最新治療 「注射治療法(ALTA療法)」


画像:マルホ株式会社「痔の知識」より

最近、脱出する痔核に対する新しい治療法として、新しい硬化剤 “硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸注射液(ALTA、ジオン)”を注射する注射治療法(ALTA療法)が行われるようになってきました。

痔核にALTAを注射すると痔核への血流が遮断され周辺に炎症が生じ、その炎症が治まるにつれ線維化し痔核は小さくなり、肛門の皮膚にくっついて脱出しなくなります。手術と違って注射するだけですから傷も生じず、したがって痛みもほとんどなく、入院しても2~3日で済みます。ただ全ての脱出する痔核に適応とはなりません。注射できる部位は痛みを感じない直腸側の内痔核に限られているため、外痔核の大きなものに対しては適応とならないのです。

また十分に効果を得るためには痔核の性質やできた位置、部位に適した注射の量を加減する「四段階注射法」という特殊な注射手技が必要となります。また、注射液が強いため注意して行わないと直腸の筋層の壊死や直腸の強い狭窄などの合併症が生じる危険があります。そのため四段階注射法講習会という講習会で技術を習得した先生に限定して注射することが許可されています。

ALTA療法は今まで手術が必要とされた脱出する痔核に対して、とても有用な治療の一つになりえると考えられています。

(2012年9月)

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