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みんなの家庭の医学 <番外編> 今週の名医!ここだけのハナシ

番組に登場した名医・専門家が、放送では伝えきれなかった病の治療法や解消法をコミコミクリニック限定で詳しくお話しします。

筑波大学附属病院 光学医療診療部 溝上裕士先生

よく使う薬 “NSAIDs(エヌセイズ)” “低用量アスピリン” による
胃潰瘍が増えている!

市販薬でも処方薬でもよく使われる“NSAIDs”とは?

  高齢化社会を迎え、腰痛・関節痛などの整形外科的な疾患や、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの心血管系の疾患が増加しています。そのため鎮痛薬(痛み止め)としての非ステロイド性抗炎症薬(頭文字をとって「NSAIDsエヌセイズ」と言います)や抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)としてNSAIDsの一種である低用量アスピリン(LDA)を飲んでいる患者さんが増えています。
下記を見ていただくとわかるのですが、市販されている薬の中でも皆さんがよくお使いになる薬なのではないでしょうか?それだけに服用の仕方には注意が必要だと思います。

病院で処方される主なNSAIDs:
アスピリン(バファリン®など)、ロキソプロフェン(ロキソニン®など)、ジクロフェナク(ボルタレン®な
ど)、インドメタシン(インダシン®など)、メフェナム酸(ポンタール®など)その他

市販薬の主なNSAIDs:
アスピリン(バファリンA®など)、イブプロフェン(イブ®など)、エテンザミド(ノーシン®,新セデス®など)、イソプロピルアンチピリン(セデス・ハイ®など)、アセトアミノフェン(タイレノール®、小児用バファリン®など多くの市販薬) その他

最近NSAIDsによる胃潰瘍が増えている

  実はNSAIDsは非常に良く効く薬ですが、胃腸障害をおこしやすいという事実が、昔からよく知られていました。日本では欧米に比べて昔から胃炎、胃潰瘍、さらに胃癌が多いとされていましたが、原因はよくわかりませんでした。ところが30年程前にヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)という細菌がオーストラリアで発見され、この菌による感染が原因であることがわかり、それ以降、ピロリ菌とNSAIDsは胃潰瘍の二大原因とされています。5歳くらいまでの幼少期に経口感染すると推定されているピロリ菌ですが、10年くらい前まで多くの日本人が感染していましたが、最近はかなり減っています。その一方で、最近はNSAIDsやLDAによる胃潰瘍や潰瘍出血の割合は増えています。

胃潰瘍になったことがある人は要注意!

  NSAIDsやLDAによる潰瘍は、腹痛や不快感などの症状が少なく、吐血や下血、貧血などの出血関連の症状で発見されることが多いとされています。これらを発症するリスクファクターは、過去胃潰瘍を患ったことがある、高齢、ピロリ菌の感染、そしてNSAIDsの過剰摂取、NSAIDsとLDAの併用、LDAとその他の抗血栓薬の併用、などがあげられています。

薬を把握するためにお薬手帳を活用しよう

  特に過去胃潰瘍の既往がある場合は、ハイリスクですので予防のために胃酸を強く押さえるお薬を飲む必要があります。高齢の方では複数の病気を治療しておられる方が多く、複数の診療科や医療機関から多くの種類の薬が出されています。これらの薬の飲み合わせによっては、副作用が強く出る可能性があります。その場合自分が今どんな薬を飲んでいるのか、知っておくことが非常に大切です。薬局でもらっている「お薬手帳」は医療機関を受診する時や薬局で薬をもらう時には必ず持参しましょう。安全に薬を続けるためにも、是非「お薬手帳」を活用することをおすすめします!

(2012年11月)

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