この記事は2011年9月時点の医療情報に基づいて書かれています。

名医による 症状別解消法 女性特有の病

月経痛を含む腹痛・腰痛 げっけいつうをふくむふくつう・ようつう 監修:女性特有の病のスペシャリスト 社団法人全国社会保険協会連合会 社会保険 相模野病院 婦人科腫瘍センター長 上坊敏子先生

月経痛を含む腹痛・腰痛とは?

心配のない月経痛を含む腹痛・腰痛

日常に支障をきたさない程度の痛みや、1回の鎮痛薬で済む程度の痛みなら、心配ないと言えるでしょう。

異常な月経痛を含む腹痛・腰痛

女性の中には月に1度のことなので、かなりの痛みでも我慢していたりすることも少なくありません。
病気の早期発見という意味では、がまんは禁物です。

異常な月経痛の程度
  • ■ 痛みで救急車を呼んだことがある
  • ■ 鎮痛薬の量が以前に比べ増えてきた
  • ■ 毎回鎮痛薬を常習して飲んでいる
  • ■ 痛みが徐々に強くなっている
  • ■ 鎮痛剤を飲んでも効かず、寝込んでしまう
  • ■ 月経終了後も痛みが続く

名医の症状別病名チェックのススメ

月経痛で考えられる病気の可能性がわかるチェックを設けました。
安全なものか危険なものかをチェックしてみましょう!

【月経痛を含む腹痛・腰痛】 病名チェック

既にチェック済みの方は、下記の「月経痛で考えられる病気」で詳細をご覧ください。

月経痛を含む腹痛・腰痛で考えられる病気

子宮筋腫

子宮の筋層に、硬い腫瘍ができる病気が子宮筋腫です。子宮筋腫は子宮の代表的な良性腫瘍です。婦人科の病気の中で、もっとも一般的な病気で、ごく小さいものも含めると、35歳以上の女性の3人から4人に1人にみられます。

子宮筋腫の種類

■ 症状

筋腫の大きさや、筋腫ができた場所によって症状は違ってきます。筋腫が小さければもちろん、かなり大きくても特に自覚症状はないことがあります。
よくみられる症状は過多月経、月経痛、不正出血、腰痛、下腹部腫瘤、頻尿、不妊、習慣流産などです。

■ 治療

症状が重く、日常生活に支障があれば治療が必要ですが、そうでなければ経過観察で十分です。
過多月経で貧血になっていたり、不正出血を繰り返す人、月経痛などの自覚症状が強い人、筋腫が急激に大きくなっている人、筋腫が不妊や流産の原因と考えられる人は治療を受けたほうがよいでしょう。
造血剤や鎮痛剤、漢方、低用量ピル※などが有効なら手術を受ける必要はないかもしれません。手術には筋腫だけを取る子宮筋腫核出術、子宮をすべて摘出する子宮全摘出術、があります。
身体の負担が少ない腹腔鏡下手術も増えています。
その他、筋腫に血液を運ぶ子宮動脈をふさぎ、腫瘍を縮小させる動脈塞栓術や、超音波の振動エネルギーを利用して筋腫を小さくする集束超音波治療という新しい治療法もあります。

※避妊と治療に使われている ~低用量ピル~

※避妊と治療に使われている ~低用量ピル~

ピルは本来避妊を目的とした薬です。卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)という女性ホルモンを配合した錠剤で、排卵を抑制しますが、月経は周期的に起こります。
ピルを正しく、のみ忘れなく服用した場合、避妊効果は99.9%と非常に高いものです。ピルには、月経痛を抑える、月経量を減らす、月経周期を整える、にきびを軽く、卵巣がんや子宮がんを予防するなどの副効果もあります。

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子宮内膜症・子宮腺筋症

子宮内膜症の起きるところ

子宮体部の内側を覆っているのが子宮内膜です。内膜は性周期に従って厚くなったり、剥がれ落ちたりします。はがれた内膜と、このときの出血が一緒に体外に出てくるのが月経です。
子宮内膜症とは、この子宮内膜に似た組織が、子宮内腔以外の色々な場所に発生してしまう病気です。その場所は、子宮筋層、卵巣、ダグラス窩、腹膜、卵管、子宮周囲の靭帯や、ときにはお産の時の切開のあとなど様々です。これらの場所でも性周期に伴って出血が起こります。
子宮の内側(子宮内膜)以外の場所では排出される道がないため、行き場を失った血液は少しずつその場所にたまるようになり、炎症を繰り返しながら徐々に大きくなっていきます。そして、月経のたびに激しい月経痛に悩まされたり、臓器が癒着することによって様々な症状が起こることになります。
子宮内膜症は、けしてめずらしい病気ではなく、月経のある女性の10~20%程度の人に発症し、30代~40代の成熟期の女性に多く発症しますが、若い人にも見られる病気です。
子宮内膜症は、発生した場所によって、「子宮内膜症」と「子宮腺筋症」に大きく分類されています。

子宮内膜症の種類
■ 子宮内膜症
子宮内膜に似た組織が、子宮周囲など子宮筋層以外の場所にできたもの。
腹腔内だけでなく、へそ、腟、外陰部、リンパ節、肺など腹腔外にもできることがあります。婦人科で特に重要なのは、骨盤内に発生する骨盤子宮内膜症です。
■ 子宮腺筋症
子宮内膜に似た組織が、子宮筋層に出来たもの。
■ 症状

内膜症が発生した場所や病巣の大きさによって自覚症状は様々ですが、一番重要な症状は月経痛です。30代~40代の女性が以前と比べて月経痛がひどくなってきた、毎回ひどくなっているなどと感じるときはこの病を疑う時です。
軽い子宮内膜症では自覚症状がないこともあります。骨盤に子宮内膜症ができると、月経時以外の腰痛、性交痛、不妊の原因となることもあります。
子宮内膜症が直腸に発生すると、下痢や便秘、排便痛、下血などが起こったり、まれに肺に発生して血痰、気胸がおこることもあります。
子宮腺筋症では、ひどい月経痛と同時に、過多月経の原因になります。どのタイプの子宮内膜症も重症になると、月経が終わっても痛みが続くようになります。

■ 治療

年齢や妊娠を希望しているかどうかなど、患者さんの状況によって治療方針は異なりますが、代表的な症状である月経痛を治療するには、まず鎮痛薬を使います。これで、痛みがコントロールできれば問題ありません。
次にピルや漢方薬で月経痛を抑えるようにします。これでも不十分なら月経を止めてしまいます。最終的には手術が必要な場合もあります。

卵巣に子宮内膜症が出来たチョコレートのう胞

子宮内膜症が卵巣に発生すると、卵巣内に出血を繰り返すために、古い血液が卵巣にたまってしまいます。このたまったものは溶けたチョコレートのように見えるので、チョコレートのう胞と呼んでいます。これは骨盤子宮内膜症の代表的なものです。
チョコレートのう胞はしばしば破裂して、その中身が腹腔内に漏れ出してしまいます。破裂すると、突然、床を転げまわるほどの強い痛みに襲われます。
またチョコレートのう胞の中には特殊なタイプの卵巣がんが発生することがありますので、経過を観察することが大切です。チョコレートのう胞が10cm以上になった時、閉経後や45歳以上の時に、とくにがん化の危険性が高いといわれています。

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月経前症候群(PMS)

PMSとは Premenstrual Syndromeの略です。
PMSとは月経の前に身体や気持ちの調子が悪くなり、月経の始まりとともに自然に軽快するいろいろな症状の集まりのことをいいます。具体的には、身体的な症状と精神的な症状とに分けられます。それぞれの症状をリストアップしたものが下記の表になります。

■ PMSの代表的な症状

● 身体的症状 1. 下腹部膨満感 2. 下腹痛 3. 頭痛 4. 乳房痛、乳房が張る 5. 腰痛 6. 関節痛 7. むくみ、体重増加、脚が重い 8. にきび 9. めまい 10. 食欲亢進 11. 便秘あるいは下痢 12. 悪心、動悸など● 精神的症状 1. 怒りやすい、反感、闘争的 2. 憂鬱 3. 緊張 4. 判断力低下、不決断 5. 無気力 6. 孤独感 7. 疲れやすい 8. 不眠 9. パニック 10. 妄想症 11. 集中力低下、気力が集中できない 12. 涙もろい など

これらの身体的な症状や精神的な症状は単に本人がつらいだけでなく、家庭内や社会的なトラブルが発生する原因になる事もあります。
例えば、PMSのため仕事を休んだり、在宅願望がおこる人もいます。また、身近な家族、にあたりちらしたり、暴言をはいたりすることもあります。PMSには以上のような症状が単一で出ることは少なく、身体的な症状と精神的な症状が複合して出るのが一般的です。

■ 治療

PMSを治療する上で大切なポイントの一つは、患者さん自身がPMSのことをよく知るということです。患者さん自身を悩ませていたいろいろな症状が月経の1~2週間前から始まり、月経の開始とともに軽減、なくなるという事実を自覚することによって、だいぶ症状が緩和されることもあります。
その他は症状に対しての対症療法がメインになります。
食事や運動、アロマなど自分がリラックスすることが症状をやわらげることにつながります。また薬物療法として、精神症状が強い人は抗うつ薬、抗不安薬の服用が有効な場合があります。また低容量ピルを服用することによりPMSの特に身体症状のかなりの部分が軽減あるいは消失します。
まず試みてもよい一つの方法です。

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排卵痛

排卵のしくみ 卵細胞が育って卵子になると卵胞という卵巣の表面を破って外にとびだす

排卵とは、卵巣で卵子が成熟し、それが卵巣から飛び出してくる現象です。その際に、卵胞液や少量の出血が腹膜を刺激して生じる痛みの事を、排卵痛と言います。

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月経困難症

月経困難症

月経困難症とは、子宮内膜症、子宮筋腫などの原因がない月経痛のことです。

■ 症状

鎮痛剤の使用が第一です。ピルや漢方薬も有効ですから、医師に自分の症状を詳しく話して、適切な薬を処方してもらいましょう。

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月経痛の対処法

自分にあった鎮痛法を選ぶのが一番の解決法。
月経痛は病気ではないからといって、痛みをがまんする必要はまったくありません。
積極的に痛みを緩和し、快適な日常をすごせるようにしましょう。
月経痛の治療法は何通りかあります。自分にあった治療法を選択し、痛みを積極的に解消しましょう。

鎮痛薬

鎮痛薬

鎮痛薬には様々な種類があります。市販のものでも婦人科で処方されたものでも、自分にあって、副作用が少ないものを選びましょう。鎮痛薬は、痛みが強くなってから飲んでも効きにくいので、「そろそろ痛くなるな」と思ったら飲むこと。吐き気を伴って経口薬を飲みにくい人には座薬の鎮痛薬もあります。鎮痛薬は体にはよくないからと、我慢する人もいますが、月に2回3回薬を飲んでも身体に毒にはなりません。もし常用している鎮痛薬の効果が不十分だと思ったら、量を増やすのではなく、鎮痛薬の種類を変えてみましょう。

漢方・ピル

漢方・ピル

月経痛の緩和にはかなり効果を示します。若くてまだ子供がほしくない人は、ピルを使用するのも一案です。ピルで排卵を抑えれば、痛みが軽くなるだけでなく、月経の量が減ります。加えて月経周期が安定するので生活の予定を立てやすくなりますし、もちろん避妊の効果も完璧です。ホルモン剤に抵抗があるなら、漢方薬をためしてみましょう。
値段が高いイメージがありますが、病院で処方してもらうと保険がきくので、だいぶお手ごろです。月経痛に効く漢方薬は何種類かありますので、自分の身体との相性を先生と相談して決めましょう。

月経を止める 偽閉経、プロゲスチン療法

偽閉経療法とは、薬剤投与によって閉経期同様のホルモン状態にして月経を止める治療です。副作用として更年期に似た症状が出るので、最近ではプロゲスチン療法を行うことも多くなっています。

手術

症状が強い場合や薬物療法の効果が不十分な場合は、原因となっている部分(子宮や卵巣など)を取り除く手術を行います。

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卵巣腫瘍の破裂や茎捻転・子宮外妊娠

急激に強く激しい痛みを伴う腹痛から始まる状態を、急性腹症と呼んでいます。急性腹症の原因は様々ですが、婦人科では

  • ・ 卵巣腫瘍破裂(卵巣にできた腫瘍が破裂してしまうこと)
  • ・ 卵巣腫瘍の茎捻転(卵巣にできた腫瘍がある程度大きくなり、卵巣を支える靭帯がねじれてしまうこと)
  • ・ 子宮外妊娠(卵管など子宮以外で受精卵が着床し、その部分が破裂してしまうこと)

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腹痛

婦人科領域であれば、子宮頸がん、子宮体がん、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、卵巣腫瘍、クラミジア感染症※などで腹痛は起こります。しかし婦人科領域以外の病気も広く考えられるので、まずは近くの病院で診察を受けましょう。

※クラミジア感染症

クラミジア感染症は性感染症の1つで、近年急増しています。クラミジアトラコマチスという微生物に感染して起こるもので、特に10~20歳代の女性に多く見られます。性行為によって感染し、症状はおりものの増加・下腹部痛・不正出血などですが、自覚症状が少ないため、感染が広がる傾向が見られます。

■ 治療

抗生物質を服用します。2週間程度で完治します。

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名医の症状別病名チェックのススメ

月経痛で考えられる病気の可能性がわかるチェックを設けました。
安全なものか危険なものかをチェックしてみましょう!

【月経痛を含む腹痛・腰痛】 病名チェック

女性特有の病を監修している名医のご紹介

聖路加国際病院 精神腫瘍科 保坂隆 先生

<女性特有の病のスペシャリスト>
社団法人全国社会保険協会連合会
社会保険 相模野病院 婦人科腫瘍センター長 上坊敏子 先生
専門は婦人科腫瘍学。医学部を卒業以来、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんに代表される婦人科のがんの勉強、診断と治療に明け暮れる毎日。手がけた手術は5000件以上。豊富な経験と知識から多くの女性の命を救ってきた全国屈指の名医です。

性感染症のこと みんなどれくらい知っていますか?