診察室
診察日:2004年5月25日
テーマ:『本当は怖い四十肩〜耐える嫁の悲劇〜』
『本当は怖い生理痛〜自覚症状の落とし穴〜』
『本当は怖い四十肩〜耐える嫁の悲劇〜』
A・Mさん(女性)/30歳(当時) 主婦
口うるさくていじわるな姑との同居でストレスがたまる一方だった主婦のA・Mさん。
ある日、布団を干そうと腕を上げようとした彼女の両肩に突然鋭い痛みが走る。
姑から「それは四十肩」と言われ、病院へ行きづらく、痛みを我慢する日が続いた。
しかし、それこそが恐ろしい悲劇の序章だった。
(1)両肩の痛み
(2)指先の痛み
(3)体のこわばり
(4)微熱
(5)口が渇く
(6)モノが歪んで見える
(7)渇いた咳が出る
(8)全身の関節に激痛
関節リウマチ
<なぜ、四十肩から関節リウマチに?>
「関節リウマチ」とは関節の骨が破壊され変形、ひどい時には関節が動かなくなってしまう病。四十肩だと思い込んでいた両肩の痛み、そして指先の痛みや、体のこわばりは関節リウマチの症状だったのです。そして、その痛みは左右対称に全身へと広がり、時には合併症を引き起こしてしまうのです。口の渇きや目の異常も、実はシェーグレン症候群と言われる関節リウマチの合併症。口が渇いたのは関節リウマチの炎症が唾液腺に及んだため。そしてモノが歪んで見えたのも涙腺に及んだ炎症でドライアイを起こしたためでした。さらに肺の炎症が呼吸機能を低下させ、咳や発熱の原因となった。
時には命を落とすこともある関節リウマチの合併症。A・Mさんの場合、死に至ることはなかったものの、進行した関節リウマチの炎症が全身に飛び火。体中の関節を破壊してしまい、自分の力では起きあがれない体になってしまった。現在、関節リウマチの原因は、はっきりと分かっていません。しかし、過度のストレスが発症の引き金になったり、症状を悪化させることが多いと言われています。関節リウマチは決して高齢者だけの病ではありません。全国で100万人と言われる関節リウマチで悩む人の4割を、実は30代以下が占めています。しかもその8割は女性なのです。
『本当は怖い生理痛〜自覚症状の落とし穴〜』
K・Mさん(女性)/35歳(当時) 会社員(コンピューター関係の会社・課長)
小さな会社ながら課長のポストをまかされ、仕事一筋に生きてきたK・Mさん。
そんな彼女に結婚を意識した恋人ができるが、デートだというのになぜか憂鬱。
そう、これまでずっと悩まされてきた生理痛。しかし、今回はどこかいつもと違った・・・
(1)締めつけられるような生理痛
(2)生理の出血量が増える
(3)頻尿
(4)下腹部のふくらみ
(5)不正出血
(6)微熱
(7)咳
(8)生理後も下腹部の痛みが続く
(9)呼吸不全
子宮肉腫
<なぜ、生理痛から子宮肉腫に?>
「子宮肉腫」とは悪性腫瘍が子宮内部の細胞にできる恐ろしい病。子宮に巣食った肉腫は急速に巨大化。膀胱を圧迫、頻尿を引き起こし、下腹部のふくらみとなった。締めつけられるような生理痛、多くなった出血量、不正出血もまた子宮肉腫によるものでした。さらに、肉腫は血管を通って子宮の外へと転移し、結果的に肺にまで到達。病巣をつくり、肺の機能に致命的な打撃を与えた。発熱も、しつこい咳も、すべての症状はK・Mさんの肺に転移した子宮肉腫が原因だった。そして最後には呼吸不全に陥り、帰らぬ人となってしまったのです。子宮肉腫は、よく子宮筋腫(良性)と見間違われるため、その発見が遅れてしまう。自覚症状もほとんど同じ、また、MRI検査をしても見分けが難しいのが現状です。しかし、本当に子宮筋腫(良性)と見分ける方法はないのか?唯一の手がかりは、「生理が終わったあとも下腹部の痛みが続く」、その症状を見逃さないこと。もし、そのようであれば、すぐに病院へ行くことをおすすめします。