診察室
診察日:2007年4月3日
今夜は男子禁制!家庭でできるレディース人間ドックスペシャル
テーマ: 『女性が気をつけるべき病』
「女性が気をつけるべき病・子宮体癌」
「女性が気をつけるべき病・【膠原病】関節リウマチ/シェーグレン症候群」
「女性が気をつけるべき病・痔」
「女性が気をつけるべき病・更年期障害」

「女性が気をつけるべき病・子宮体癌」

Y・Tさん(女性)/52歳(発症当時) 専業主婦
結婚25年、専業主婦としてしっかり一家を支えてきたY・Tさん。半年前から生理がなく、もう自分は閉経したものと思っていましたが、ある日、半年振りの出血に気付きます。3週間後、また突然、生理周期より早い出血があったY・Tさん。以前とはちょっと違う生理に少し引っかかるものがありましたが、友人から「更年期だから生理が乱れるなんて当たり前」と言われ、ひと安心していました。しかし、その後も異変は続き・・・。
(1)半年振りの生理
(2)生理が早く来る
(3)出血が長引く
(4)下腹部の張り
(5)大量の出血
子宮体癌
<なぜ、半年振りの生理から子宮体癌に?>
「子宮体癌」とは、子宮の内面を覆う内膜に発生する癌。今、日本の女性がもっとも気を付けなければならない子宮の病気です。なぜなら、子宮体癌はこの20年でなんと患者数がおよそ4倍近くに急増している癌なのです。その背景には、食生活の欧米化や少子化など、女性のライフスタイルの変化が大きく関係しているといわれています。でも、Y・Tさんは、子宮癌の検査を受け、問題は無かったはず。なぜ、見つからなかったのでしょうか?実はここに落とし穴があったのです。市町村で行う子宮癌検診はたいていの場合、子宮頚癌の検査のみ。子宮頸癌とは、子宮の入り口に出来る癌のこと。奥に出来る体癌とは全く別のもの。体癌を見つけるには、体癌専門の検査をする必要があったのです。とはいえ、自分自身で病に気付くチャンスもありました、それが、あの半年振りの生理と思い込んだ出血や、周期の乱れなどの生理の症状。実は、これらの症状は生理、すなわち月経が原因ではなく、不正出血という子宮体癌の代表的な症状。だからこそ、女性の場合、月経をきちんと見極めることが何よりも大切なのです。そもそも月経とは、エストロゲンという女性ホルモンの刺激によって増殖した子宮内膜が、妊娠しないと不要になり、血液と共に流れ出る現象のこと。ところが、癌が出来ると、癌細胞自体が出血を起こすため、本来の周期以外に出血が起きます。これが不正出血。このサインに気付くことこそ、子宮体癌を見つける最大のポイントなのです。しかし、Y・Tさんの場合、もう一つの落とし穴がありました。それは彼女が更年期であったこと。確かに更年期は、ホルモンバランスが崩れやすく、月経も乱れがち。そのため、Y・Tさんも、自分に起きた異変を更年期だから仕方がないと放置してしまいました。さらに更年期は卵巣機能が急激に衰えるため、この病の発症が最も多い年代。だからこそ少しでも疑わしいところがあれば、勝手に自己判断せず、病院で検査を受けることが大切なのです。検査の結果、転移寸前の段階で病が発見されたY・Tさん。無事摘出手術も成功。子宮体癌は早期に発見すれば90%が治る癌なのです。
3大子宮病セルフチェック
乳ガン セルフチェック
「女性が気をつけるべき病・【膠原病】関節リウマチ/シェーグレン症候群」
U・Sさん(女性)/42歳(発症当時) 無職
頑張り屋で、パートも家事も手を抜かない下町の肝っ玉母さん、U・Sさん。パートで疲れて帰っても自慢の手料理に腕を振るい、本当に忙しい毎日でしたが、ある日、右手の指がこわばって動かしづらいのを感じます。こわばりはしばらくすると消えたため、さして気にもとめなかったU・Sさん。しかし、その後も気になる異変が続きました。
(1)朝、手の指がこわばる
(2)繰り返す朝のこわばり
(3)反対の手の指がこわばる
(4)手首が動かしづらい
(5)肩のこわばり
(6)肩の痛み
(7)パンが飲み込みにくい
(8)肩に強い痛み
(膠原病)関節リウマチ/シェーグレン症候群
<なぜ、手の指のこわばりから膠原病に?>
「関節リウマチ」と「シェーグレン症候群」。実はこの二つの病には共通の特徴があり、通常一つのグループの病気として捉えられています。それが「膠原病」。膠原病とは、本来は細菌や異物から体を守るはずの免疫システムが何らかの原因で異常を起こしてしまい、身体の様々な場所で、炎症を引き起こす病の総称です。様々な種類がある膠原病ですが、その種類によって、身体に炎症が起きる場所が違ってきます。「関節リウマチ」は関節に炎症が起きることで、その関節が破壊されてしまうこともある病なのです。そして、いったん破壊が進行してしまった後では、現代の医療では、関節を元に戻すことは不可能だと言われています。この関節リウマチを発症すると、さらにもう一つの膠原病を合併してしまうことがあります。それが「シェーグレン症候群」。「シェーグレン症候群」とは唾液を分泌する唾液腺や、涙を分泌する涙腺に炎症が起きる病です。現在、膠原病の患者数は、およそ200万人。そのうち、この2つの病で全体の患者数の3分の1を占め、しかもその7割から8割が女性なのです。U・Sさんの場合は、まず、関節リウマチを発症。初期症状の大きな特徴である、朝のこわばりに襲われ、さらにその後、肩にも痛みが出始めました。そしてこの病の最大のポイントは、こうした症状が出たり消えたりを繰り返すこと。実は、これこそが膠原病の落とし穴。症状が出たり消えたりするため、周囲から見過ごされてしまい、本人も病のサインを見落としてしまうのです。そしてついに、唾液腺に炎症が起こるシェーグレン症候群まで発症。唾液が出にくくなり、いわゆるドライマウスの症状に襲われたのです。そして、気づいたときには、指の関節の破壊が始まっていました。膠原病には効果的な予防法がないのが現状。だからこそ、初期の症状に気付き、早期発見、早期治療をすることが何より重要なのです。
関節リウマチ簡単チェック体操
簡単ドライマウステスト
「女性が気をつけるべき病・痔」
Y・Kさん(女性)/41歳(発症当時) 無職
美人OLと言われて20年、最近ついに理想の男性と巡り合い、結婚を前提とした付き合いを始めたY・Kさん。ひどい便秘症の彼女は、毎日トイレにこもって力んでは苦しんでいましたが、5日ぶりの便通に胸をなで下ろした瞬間、トイレットペーパーに血がついていることに気付きました。その後も、度々排便時の出血が続いたY・Kさん。それは女性にとって最悪の病でした。
(1)排便時の出血
(2)肛門からイボが飛び出す
(3)力むとイボが飛び出す
(4)激痛
痔核(イボ痔)
<なぜ、排便時の出血から痔に?>
「痔」は、その原因が、ライフスタイルと密接に関連していることから、「もうひとつの生活習慣病」と言われる病。大きく分けて三つのタイプがあります。一つ目は、裂肛。一般に「切れ痔」と言われるもの。これは便によって肛門の皮膚が傷つき、切れたり裂けたりした状態。女性がなりやすいと言われています。二つ目は、男性に多い「痔ろう」。便に含まれる細菌により、肛門周辺に溜まった膿がお尻の皮を突き破り、トンネル状の通り道ができた状態のこと。そして最も患者数が多い「痔核」。一般に「イボ痔」と呼ばれ、痔全体の6割から8割を占めています。肛門を閉じたりガス漏れを防ぐクッションの役割を果たしている部分が、なんらかの原因で膨張、イボのように飛び出してしまうのです。Y・Kさんが患っていたのは、この痔核でした。でも、なぜ肛門の中にイボができてしまったのでしょうか。最大の原因は便秘です。便がなかなか出ず、長時間力んでいると、クッション部分に大きな圧力がかかり続け、うっ血状態になります。すると、うっ血した部分の組織が弱くなり、徐々に拡大。いつしか、肛門の中にイボが出来てしまったのです。そして、このイボに硬い便がぶつかると、粘膜が裂け、出血することがあります。Y・Kさんを襲った「排便時の出血」は、これでした。このように、便秘などの生活習慣から多くの人が痔を発症。潜在的には日本人の2人に1人が、痔の体験者、つまり「痔持ち」と考えられているのです。そしてY・Kさんも、すでに「痔持ち」だったというのに、便秘で力むという、痔にとって最悪の生活習慣を続けていました。その結果、ついに、肛門からイボが飛び出すことに。これは大きくなったイボが、排便時の力みで肛門の外に押し出されたものだったのです。もしこの時点で専門医の診察を受けていれば、すぐ元の生活を取り戻すことができたはず。しかしY・Kさんは、恥ずかしさのあまり病院へ行くことができず、病を悪化させてしまいました。そして、とうとう、イボが皮膚から裂け、Y・Kさんは激痛に襲われたのです。イボ痔の手術から半年後、Y・Kさんは快適な日常を取り戻しただけでなく、人生のパートナーも得ることができました。
痔になりやすい危険な行動チェック
「女性が気をつけるべき病・更年期障害」
奈美悦子さん(女性)/46歳(発症当時) 女優
今から10年前、女優業に加えバラエティ番組にも出演、多忙ながらも充実した日々を送っていた奈美悦子さん。ある日、言いようのない不安に襲われ、なぜか涙が止まらなくなってしまいました。数日後、朝起きると、とてつもないだるさを覚えた奈美さん。芸能界の大先輩・加賀まり子さんから「更年期障害かも知れないから、一度調べてみた方がいい」とアドバイスされますが、「更年期は閉経後」と勘違いしていた奈美さんは、聞き流してしまいました。こうして更年期の罠にはまり込んだ奈美さんは、その後も様々な症状に襲われることになり・・・。
(1)不安感
(2)倦怠感
(3)イライラする
(4)強い不安感
(5)冷え性
(6)顔のほてり
(7)幻覚
(8)激しい動悸
(9)呼吸困難
更年期障害
<なぜ、不安感から更年期障害に?>
「更年期障害」は、女性ホルモン・エストロゲンが急激に減少する、いわゆる更年期に発生しますが、実はこのエストロゲンは、30歳をピークに誰でも徐々に減り始めているのです。そして、エストロゲンが減ると、血管の収縮と拡張の調整がスムーズに行かなくなり、ほてり、足のむくみ、肩こりなど、様々な症状を引き起こします。だからこそ、更年期の前でも、不定愁訴と呼ばれる症状があったら要注意です。早い段階で気付けば、奈美さんのように苦しみ続けなくとも済むのですから。更年期障害と告げたあと、医師は、奈美さんにこうアドバイスしました。「更年期障害は恥ずかしいことではないんですから、隠す必要はありません。まずは身近な人にご自分のことを打ち明けて下さい。」そして、奈美さんは息子、倖大さんにこう言いました。「私更年期障害って言われたの。時々イライラしたり、気分が悪くなったりするかも知れないけど、更年期障害だから、そこんとこ一つよろしく!」自分では大変だと思っていた更年期障害を、何でもない事のように受け入れてくれた倖大さん。そんな息子のさり気なさが、奈美さんの気持ちを一気に楽にさせてくれたのです。以来、奈美さんは、更年期障害と積極的に向き合い、症状に悩まされることも少なくなったといいます。
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