診察室
診察日:2007年7月10日
【しみ】【しわ】【たるみ】…お肌の悩みを一挙解決!美容医学スペシャル
テーマ:
「間違ったスキンケア」

『間違ったスキンケア』

H・Mさん(女性)/47歳(発症当時) 主婦
高校時代はテニス部のエースで、クラスでも1、2を争うモテ組の一人だったH・Mさん。10年ぶりに開かれた同窓会に出席したところ、かつてのライバルだった美術部のマドンナK・Sさんが、47歳とは思えないほど肌にツヤとハリがあるのに比べ、自分には隠しきれないほどのしみやしわ、たるみがあることにショックを受けます。負けず嫌いのH・Mさんは、これからはスキンケアに本腰を入れようと、美白クリームでのシミ対策や入念な洗顔、フェイスマッサージなどに取り組んだ上、どんなに残業で遅くなっても夜のジョギングを欠かしませんでした。そんな生活こそが自分の肌を若返らせてくれると信じていたH・Mさん。ところが1ヵ月後、化粧のノリが悪くなり、洗顔後、肌が突っ張って仕方ないなどの肌トラブルに悩まされるようになります。
(1)しみ
(2)しわ
(3)たるみ
(4)化粧のノリが悪い
(5)肌が突っ張る
(6)顔に粉がふく
(7)顔がむずがゆい
(8)皮膚が赤らむ
⇒「新たな肌トラブル」が続出
<なぜ、熱心なスキンケアが新たな肌トラブルに?>
しみ一つ無いK・Sさんの肌に比べ、いくつものしみに悩まされていたH・Mさん。この差が生まれた原因は、「どれだけ紫外線を浴びてきたか」ということ。美術部のマドンナで、いつも部屋の中にいることが多かったK・Sさんは、大人になってからも、片時も紫外線対策を怠りませんでした。一方、H・Mさんは、高校時代はテニス部で活躍。その後も活動的な彼女は、無防備に紫外線を浴び続けていました。この差がH・Mさんの顔にしみを作ってしまったのです。皮膚に紫外線が当たると、メラノサイトという色素細胞でメラニン色素が大量に作られ、皮膚の細胞に染み付きます。若い頃は肌の新陳代謝、いわゆるターンオーバーが活発なため、メラニン色素が染み付いた細胞は時間と共に押し出されてしまいますが、年をとると、ターンオーバーが低下。色素の染み付いた細胞がなかなか押し出されず、しみとして残ってしまうのです。では、ハリがあるK・Sさんの肌に対し、なぜH・Mさんは、たるみやしわが目立つようになってしまったのでしょうか?実はこの犯人も紫外線。紫外線は破壊力が強く、皮膚の奥まで届き、コラーゲンなどの皮膚の弾力繊維を傷つける力も持っているのです。そのため、皮膚の弾力性が低下。元の形に戻らず、しわとなり、さらにはハリを失った肌は重力に逆らえず、ずり下がり、たるみとなるのです。加えて、H・Mさんは更なる過ちを犯してしまいます。それがしみ、しわ、たるみのために始めた、あのスキンケア。もちろん、クリームや化粧水をつけたり、洗顔やマッサージをすること自体は、何ら間違ってはいません。問題は、そのやり方。そう、彼女はすべてやり過ぎていたのです。しみを消そうと、必要以上に強く、こするようにクリームを塗る。毛穴の汚れを気にする余り、ゴシゴシと何度も強く洗顔。やればやるほど効果が出るだろうと、毎日10分から20分も、力を込めてマッサージ。さらに、肌に水分を与えようと、毎日30分以上もコットンで叩き続ける。H・Mさんの肌トラブルは、こうした肌への必要以上の刺激が原因で起きていたのです。その結果、招いてしまったのが「角質層の破壊」。角質層とは、皮膚の最も外側にあたる部分です。ここには天然の保湿成分が大量に含まれ、皮膚の水分を保つという大切な役割があります。にもかかわらず、この角質層の厚さはわずか0.02ミリ。大変デリケートに出来ています。そのため、H・Mさんのようにこすりすぎてしまうと、簡単に角質層は壊れてしまいます。すると皮膚の水分が失われ、その結果、乾燥肌になってしまうのです。H・Mさんの化粧のノリが悪くなったのも、乾燥肌が原因。乾燥してめくれ上がった角質に、化粧が上手く塗れなかったからです。そして、はがれた角質が粉のように現れた時、さらなる異変が起きていました。この時、H・Mさんの角質層は、さらに乾燥が進んで隙間だらけになり、外部からの刺激で炎症を起こしていたのです。そのため、彼女の皮膚は、化粧水のちょっとした刺激にも過敏に反応。皮膚炎により肌が赤らんでしまったのです。さらに、H・Mさんの生活習慣には、肌トラブルを加速させる、もう一つの原因がありました。どんなに不規則な生活になってもやめなかった、あの夜のジョギングです。人間の体をダメージから回復させる成長ホルモンは、一般的に夜10時から深夜2時の間に大量に分泌されると言われ、このとき肌の新陳代謝も最も活発になります。いわば「お肌のゴールデンタイム」。この時間をないがしろにせず睡眠にあてないと、新陳代謝は低下し、肌の回復力が落ちてしまいます。そう、皮肉にもH・Mさんが肌のために良かれと思いやっていたことは、全て肌のトラブルをより一層悪化させるものだったのです。H・Mさんのようなケースは、決して珍しいものではありません。北里研究所病院・美容医学センターの調査では、肌のトラブルで訪れる患者の、なんと83%が乾燥肌。しかもその殆んどが、誤ったスキンケアが原因であると報告されているのです。
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