診察室
診察日:2007年10月2日
私なら治せる!絶望から患者を救う名医&芸能人が自ら病を警告!芸能人症例スペシャル
テーマ:『本当は怖い微熱〜静かな爆弾〜』
『本当は怖いぽっこり出たお腹〜腹に巣くう悪魔〜』
『頑張り屋の悲劇〜増田惠子さんの場合〜』
【私なら治せる!絶望から患者を救う名医スペシャルブロック】

『本当は怖い微熱〜静かな爆弾〜』

S・Kさん(男性)/29歳 工場勤務
20歳の時、急な腹痛に襲われ病院に行ったところ、食中毒で負担がかかり、肝臓が少し腫れていると診断されたS・Kさん。しばらくすると、37度の微熱が出ましたが、風邪でもひいたのだろうと市販の風邪薬を飲んで済ませていました。しかし、その後も微熱は下がらず、これが平熱なのだと慣れっこになっていたS・Kさん。それから7年後、新年早々に風邪をこじらせ、病院でインフルエンザとの診断を受けます。数日後、再び高熱に見舞われたため、今度は総合病院を訪れると、またもやインフルエンザとの診断。さらに、肝臓が腫れていたため、詳しい検査を受けることになったのです。医師ははじめ、ウィルス性の肝炎を疑いましたが、エコー検査の結果、専門医は全く聞いたこともない病名を告げたのです。
(1)微熱
(2)度々風邪を引く
バッド・キアリ症候群
<なぜ、微熱からバッド・キアリ症候群に?>
「バッド・キアリ症候群」とは、肝臓と下大静脈を結ぶ肝静脈や、下大静脈そのものが閉塞してしまう病気。通常、心臓から送り出された血液は動脈を通じて体中を巡った後、肝臓に戻り静脈を通って再び心臓へ送られます。この肝臓から心臓へと続く静脈が閉塞することで、流れ込む血液が肝臓に滞り、パンパンに腫れてしまうのです。やがて肝臓の機能が低下し、ついには肝硬変に。その結果、感染症や肝性脳症など様々な合併症を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。S・Kさんを襲った微熱や、度重なる風邪の症状も、肝臓の機能が低下したために体力が落ち引き起こされたと考えられます。100万人に1人か2人という極めて稀な病で、いまだ発症の詳しいメカニズムは分かっていません。病気が発見されたとき、S・Kさんの場合は下大静脈が3センチ閉塞。さらに肝静脈3本のうち2本が閉塞していました。そのため肝臓も肝硬変一歩手前の状態。しかし、S・Kさんは全く病気に気付きませんでした。実は、肝臓は沈黙の臓器とも言われるほど、病が重くなるまで目立った症状が出ません。そのため、平均10年以上も病気に気付かない人が多いのです。そして、この病気で最もやっかいなのが、非常に珍しい病気のため、治療法が確立していないという事。S・Kさんの場合も、病院で様々な治療法が検討されましたが、結局これといった治療方針が決まらず、S・Kさんは、出口のない闇の中で死をも覚悟しました。しかし、妻が見つけた一つの論文が運命を変えることになります。そこに書かれた治療法を行っているのは琉球大学医学部。早速訪ねたS・Kさん夫妻に、「手術できます。問題ない。」と言ってくれた医師こそ、琉球大学医学部、國吉幸男教授。心臓血管の専門医として、数多くの手術を手がけてきた血管手術のエキスパート。先代の教授、古謝景春教授が確立した治療法を受け継ぎ、バッド・キアリ症候群に苦しむ患者の命を救ってきました。國吉教授が行なう手術は、閉塞した下大静脈を切開し、詰まった部分を取り除き、再び縫合するというもの。手術中に静脈から大量にあふれ出てくる血液は、秘密兵器である人工心肺を使い、出血した血液を人口心肺で吸引し動脈に戻していきます。そして、もう一つの問題、切開した下大静脈を縫い合わせるための血管部分には、人工血管の代わりに心臓の心膜をはがして使い、下大静脈の切り開いた部分を塞ぐように丁寧に縫合します。こうして9時間にも及ぶ大手術は無事終了、S・Kさんの下大静脈は見事復活したのです。
『本当は怖いぽっこり出たお腹〜腹に巣くう悪魔〜』
F・Tさん(女性)/54歳 元小学校校長
2003年春、お腹がぽっこり出始め、その後、突然の腹痛に襲われたF・Tさん。病院で診察を受けたところ、盲腸かも知れないと言われた彼女は、すぐに入院し、検査を受けながら薬で散らす治療を受けました。その際、レントゲン検査で「大腸の横に水が溜まっている」と言われたものの、痛みが治まったため退院したF・Tさん。翌年の人間ドックで「肝臓に影のようなものがある」と言われた彼女は、大学病院で再検査を受けたところ、聞いたこともない病名を告げられました。
(1)ぽっこり出たお腹
(2)お腹が急激に膨れる
(3)お腹がパンパンに腫れる
(4)食べた物を吐く
(5)食後にお腹が激しく痛む
腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ)
<なぜ、ぽっこり出たお腹から腹膜偽粘液腫に?>
「腹膜偽粘液腫」とは、虫垂にできるガンの一種。しかし一般的なガンと違い「良性のガン」で進行が非常に遅いのが特徴。ただやっかいなのは、そのガン細胞が出すドロドロの液体=『偽粘液腫』。これがどんどん虫垂に溜まっていくのです。やがて限界に達すると虫垂は破裂。今度は、腹部全体に広がっていきます。するとそのガン細胞が、臓器を包む腹膜に転移。再びそこから偽粘液腫を放出し続けるのです。外科手術1万件のうち1,2例あるかどうかという非常に珍しい病。原因不明で治療法も含め、まだ研究が進んでいません。およそ100万人に1人の割合で発症。50代の女性に多いと言われています。そして病気の説明をする医師の言葉に、F・Tさんは耳を疑いました。この病は根本治療は不可能で、できるのは溜まった偽粘液腫をその都度抜き取ることだけ。あらゆる臓器に癒着しているガン細胞と粘液を完全に除去するには、臓器ごと全て摘出しなければならず、生命が維持できなくなるというのです。「進行はとてもゆっくりなので溜まったら抜けばいい」という医師の言葉にわずかな望みをつないだF・Tさん。しかし翌年春、F・Tさんのお腹は急激に膨れ、ついにはまるで臨月のように。そして、食事のたびに胃が圧迫され、もどすようになります。ここに至り、初めての手術を受け、臓器に癒着した偽粘液腫の一部を取り除いたF・Tさん。しかしその後も、粘液が溜まって我慢できなくなる間隔がみるみる短くなり、ついにはお腹が重くて起きあがれず、車椅子無しでは動けなくなってしまったのです。死をも覚悟するほど絶望の淵に立ったF・Tさん。しかし一人の名医との出会いがF・Tさんの運命を変えることになります。腹膜播種支援機構(ふくまくはしゅしえんきこう)代表理事、米村豊先生。彼こそ、腹膜偽粘液腫の患者をこれまで100人以上診てきた日本を代表するスペシャリスト。その評判は世界中に知れ渡り、米村医師は全国を飛び回って、自らが生み出した手術方法で諦めかけていた数多くの患者さんを救ってきたのです。2006年7月14日午前10時、F・Tさんの手術が始まりました。このときF・Tさんの腹部には、水のような粘液が大量に溜まり、胃・肝臓・大腸など、ほとんどの臓器に塊となった偽粘液腫がびっしりと癒着していました。通常の手術の場合、これを取り除くには臓器ごと摘出しなければならず、必要な臓器まで失われてしまいます。ここで米村先生が取り出したのが、ボールチップ型の電気メス。このメスを使えば、表面にくっついた偽粘液腫だけを「はがすように」取り除くことができ、臓器そのものは傷つけずに温存できるのです。午後7時、F・Tさんの体力の限界を考え、1回目の手術は終了。このとき取り除いた偽粘液腫の重さは20キロ。そして2回目の手術で、さらに20キロ。F・Tさんの体重70キロのうち、なんと、40キロ分が「偽粘液腫」という悪魔の体重だったのです。こうして米村先生の手によって偽粘液腫は取り除かれ、手術後F・Tさんの体重は、わずか30キロに。手術から1年たった今では、お腹が膨れあがってくる恐怖に怯えることもなくなりました。
【芸能人が自ら病を警告!芸能人症例スペシャルブロック】
『頑張り屋の悲劇〜増田惠子さんの場合』
増田惠子さん(女性)/39歳(発症当時) 歌手・俳優
70年代後半、スーパーアイドルとして日本中を虜にした元ピンク・レディーの増田惠子さん。当時、彼女はテレビ出演や雑誌取材など1日平均10数本という殺人的スケジュールをこなしていました。そんなピンク・レディーの解散から10年後、増田さんは、映画の撮影中に突然、グラスを持つ手が震え出す異変に見舞われます。すぐに両手でグラスを押さえ、その場を乗り切った増田さんでしたが、その後も更なる異変が彼女に襲いかかりました。
(1)手の震え
(2)異常な食欲
(3)アゴがガクガク震える
(4)大量の発汗
(5)激しい息切れ
バセドウ病
<なぜ、手の震えからバセドウ病に?>
「バセドウ病」とは、喉にある臓器、甲状腺から出る甲状腺ホルモンが、過剰に分泌されることで、全身に様々な障害を引き起こす病です。原因は定かではありませんが、本来は異物を攻撃すべき自己免疫が、自分の甲状腺を攻撃してしまうことで発症すると考えられています。特に多いのは、20代から40代の女性。成人女性の300人に1人が、この病に苦しんでいると言われています。そもそも甲状腺ホルモンは、全身の新陳代謝を促進するいわば元気の素。これが過剰に分泌されると新陳代謝が異常に激しくなり、「食欲の増大」や「発汗」といった症状が出るのです。これらの症状は痛みがないため、たいした事はないと放っておかれてしまいがち。特に増田さんの場合は、ピンク・レディー時代、たいていの苦痛には耐えしまっていた体験と、我慢強い性格から、病の発見が遅れてしまいました。さらに症状が更年期障害と似ていることも、この病の大きな落とし穴。女性がバセドウ病を発症すると、増田さんと同様、更年期障害と思い込み、年だから…と苦しみを抱え込んでしまう人が多いのです。バセドウ病は、治療をきちんと受ければ、症状をコントロールできる病。増田さんもその後、強い精神力で治療に集中し、見事、病を克服。今ではすっかり健康を取り戻し、テレビやステージで元気な姿を見せています。
間違われやすいバセドウ病と更年期障害の見分け方チェック