授業風景

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大阪大学

2018年12月4日

授業風景142

授業対象「現代ジャーナリズム論」受講生 23名

写真 今回は通常とは少し趣が変わり、「大阪大学グローバルイニシアティブ・センター公開セミナー」として開催され、国際業務を担当している永野ひかる(総務部)が講師になりました。
このセミナーは、箕面キャンパスで主に外国語学部生を対象にした「現代ジャーナリズム論」の授業でもあり、普段からジャーナリズム、マスコミに興味のある学生や学校関係者が集まりました。

写真 ここ大阪大学箕面キャンパスは四半世紀以上前に私自身が毎日通った学び舎。
かつて自分自身が学生だったときには、よもやここで自分が「教える」立場に立つことになろうとは考えもしませんでしたが、これからの時代を担う後輩たちと直接向き合うということは、私にとって大変貴重な機会でした。

写真 ある統計では、日本の10代、20代のスマホ所持率が90%を超える反面、テレビの所有率はそれを下回り、ともすれば80%台だともいわれています。
目の前の学生たちに尋ねてみたところ、情報収集のツールもスマホ、PCがメインで、「テレビは(電源は)つけているけど見ない」とか「家(下宿)にはテレビがない」とその数字を実証するような声がたくさん聞かれました。

写真 そこで、授業では、この「テレビ離れ」の現状と地上波テレビへの広告費の減少との関係性について説明し、だからこそ日本の放送局が「放送外(国内での放送とは直結しない)収益」をあげようと様々な戦略を立てている話、その中でも海外への進出がカギになっていることを伝えました。

写真例えば、ABCでは、来日したベトナム人(留学生、結婚、技能実習生など)の日常生活に密着する番組を制作しています。この番組は、ABCテレビでの放送のためではなく、ベトナム国内のテレビ番組向けに、彼らの日本での暮らしぶり、余暇の過ごし方などを紹介するものです。
この企画以外にも様々な国と共同で番組制作を行ったり、私たちが日本で放送した番組(バラエティーやアニメ)に字幕をつけたり、言語を吹き替えたりして海外に販売もしています。
また日本で制作した番組を、その国の実情に即してリメイクするビジネスもしています。
最近ではシンガポールに現地法人を設立し、ベトナムに映画製作をする合弁の会社を立ち上げました。
私自身が学生時代に学んだ外国語や異文化体験は、そのような仕事をしていく中で、潤滑油として、大変役立っています。

写真ところで、この大学の外国語学科には、25に及ぶ世界の諸言語の専攻語教育課程が設けられており、言語だけでなく、言語を基底とする地域文化を専門的に学ぶことができます。
今回受講した学生もビルマ語、ロシア語、イタリア語、中国語、ヒンディー語、スペイン語、ペルシア語、インドネシア語、デンマーク語と専攻言語が多岐に渡ります。
そこで、メディア、ジャーナリズムの話とは少し離れて、昨今の日本での災害時の「多言語対応」についてもディスカッションする時間を設けました。
学生たちからは、「公共交通機関では数カ国語の対応もあるが、具体的な情報を共有するために、英語に重点を置いて、より多くのスタッフ教育を進めたほうがよいのではないか?」「留学していたロシアでも電車のトラブルがあって途方にくれた。日本で外国人が同じような状況に出くわしたときに対応が必要だと実感した」などの意見が出ました。

出入国管理法の改正、来春のG20、2025年の万博など、関西では今まで以上に多様な国から、より大勢の人と向き合う機会が確実に増えます。 そのときにどうしたらいいのか?を考えていくのが、外国語を体系的に学んだ彼らにほかなりません。
熱いエールを贈り授業を締めくくりました。

写真 授業の冒頭、自身の在学中の写真を披露して、しっかり後輩のハートを掴んだ永野講師。
外国語学部で学んだ語学を生かして仕事をしている先輩の姿に、受講生たちは憧れの眼差しを向けていました。
また、質問コーナーでは、女子学生から、家庭との両立についての質問も出ました。
ワーキングマザーとしてのワークライフバランスについても、大いに参考になったようです。

みんなの感想
  • 日本はいま、あらゆる業界が『グローバル』を意識していることを実感した。外国語学部の学生として学んだことを活かす、就職活動をしていきたい。
  • 大学で言語を学ぶというのは、周りからしたら『趣味の延長』みたいに捉えられているように感じることもあるが、自分が学んでいることに誇りをもって、将来に活かしたい。
  • テレビ業界は国内向けのイメージが強かったが、そうじゃないとわかって興味がわきました。
  • これから自分のキャリアを考える中で家庭と仕事の両立は大きな問題として立ちはだかると思っているが、永野さんはうまく周りに助けを求め、感謝しながら仕事を続けていらっしゃるのを聞いて、私も力強い社会人になっていきたいと思いました。

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