授業風景

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大阪市立鶴見小学校

2013年6月10日

授業風景34

スポーツ中継を通して伝えたいこと

授業対象6年生2クラス(55名)

訪れたのは、1990年に「国際花と緑の博覧会」が行われた鶴見緑地公園にほど近い、大阪市立鶴見小学校。6日前に、劇的な本田のPK弾により、日本代表が見事サッカーワールドカップ出場を決めた興奮冷めやらぬ中、テレビのスポーツ番組について勉強しました。


「スポーツ番組の視聴率って凄い!」

まずは、本田圭祐選手のPK弾を鑑賞。心も気持ちも高ぶった所から授業はスタート。何と平均視聴率は、関西33.1%(最高視聴率41.2%)関東38.6%(最高視聴率46.3%)。いかに世間に注目された試合であったかを分かってもらいました。参考までに2012年度の視聴率ベスト10とこれまでのテレビ放送歴代の視聴率ベスト10を表にしてみると、どちらもベスト10の内7本はオリンピックやサッカー、野球などのスポーツ番組になっています。では、スポーツ中継は、なぜこんなにまで人を惹きつけるのでしょうか?
それは、だれもが結末を予想できないその「ドキドキ感」があるからです。

「スポーツ中継から学ぶ」

写真まずは、錦織圭、高梨沙羅、桐生良秀選手など最近ホットなスポーツ選手の映像を見ました。すると、名前だけでは伝わらなかった選手達も、映像を見ると「あっ知ってる!」との声が出てきました。そう、皆テレビで見て知っている選手ばかり。いかにスポーツ中継が、児童達にとって身近であるかがよくわかります。今回講師を務めたのは、25年以上もスポーツ番組作りに携わってきた藤井慎也プロデューサー。講師がこれまで担当した中継の中で最も印象的だった映像を見てもらいました。

『第78回全国高校野球選手権大会決勝 松山商業 奇跡のバックホーム』
3対3同点、延長10回裏熊本工業の攻撃。敬遠策から1アウト満塁。絶体絶命のピンチ。ここでライトの守備に起用されたのが背番号9ながらベンチを温めていた矢野選手。その矢野選手の守るライト方向に大きなフライが飛んできます。誰もが犠牲フライで熊本工業のサヨナラ勝ちを信じて疑いませんでしたが、矢野選手が渾身の力を込めて投げた、山なりのボールは、何とキャッチャーミットにダイレクトで吸い込まれてタッチアウト。スタンド方向から本塁に吹き抜ける甲子園球場独特の浜風に押し戻されたフライ、そして後押しされた送球、全ての奇跡が重なって演出されたバックホームだったのです。その、矢野選手は次の回、先頭打者でヒットを放って勝ち越しのホームイン。松山商業が全国制覇を果たしました。藤井プロデューサーは、その中継ディレクターを担当していた当時を振り返って、最後まで信じ続ける気持ちや日々の地道な練習の大切さを実感しながら放送していたと言います。

「画面を通して伝えよう」

写真 次に児童たちは、画面を通して何かを伝えるという事にチャレンジ。児童は「自分の好きなスポーツ選手」・「好きな理由」などを予め宿題として紙にまとめてきています。それらを元に、6つのグループに分かれて、まずはグループ内で、それぞれが発表。説得力のある発表をした児童をグループで一人選び、実際にカメラの前で発表してもらいました。カメラの前で、原稿を暗記し、カメラ目線で喋る児童。写真そしてその映像が映ると自分のグループの代表を応援する仲間たち。まさに運動会さながらの応援合戦と拍手喝采が場を盛り上げました。テレビモニターに映る、いつもと違った友達の表情は、新たな発見だったに違いありません。さらに、そんなカメラを通して伝える喜びを知ったある児童が、授業後に「歴史学者になりたいけれど、テレビの仕事もいいな〜」と照れくさそうに語っていたのが印象的でした。