境遇

インタビュー -Interview-

#01 後藤良隆役
岸部一徳さん インタビュー
人間の心の中にある両極端な二つの要素を、同じ境遇で育った二人に分けて表現している。そこがとても面白いなと思いました。
岸部一徳
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―― まずは脚本を読んでのご感想・印象をお聞かせ下さい

二人の女性の境遇がテーマですが、僕が面白いなと思ったのは、二人の女性がある意味、一人は天使で善だとすると、もう一人は嫉妬やあらゆるものを含めた人間の欲望という、人間の心の中にある両極端な二つの要素を、同じ境遇で育った二人に分けて表現しているところですね。それを主人公の天使的な人間がまたひとつにする、という捉え方で見ると、とても面白いなと思いました。

―― 今回演じている後藤に対して、どんな印象をお持ちになりましたか?

ある意味、典型的な地方の政界にいる選挙のプロですよね。先代から仕えていて、息子がそのあとを継いでからは、その息子を応援して当選させていく。中央の政界だけではなくて、地方にはそういう人たちがたくさんいるんだろうなと。ドラマの中で政治資金問題という話が出てきますが、やはりいろんな方法を使ってでも、自分はこの人を当選させるんだという使命感を持ってやっているんだと思います。それが、自分の地位を築くことにもなっているんでしょうね。

陽子に対しては、政治家の妻らしいこと、内助の功を要求したりはしますが、正紀がどれだけ彼女を大切にしているかということはわかっているので、それを引き離すようなことは考えていないと思います。

―― その陽子を演じた松雪さんの印象は?

松雪さんとは『フラガール』という映画でご一緒しましたが、ひと言で言うと真面目で一生懸命な人ですね。今回の役は、そういう意味でとても彼女らしいという感じがします。

―― 今回は若松監督が演出を担当され、単発ドラマながら約一ヶ月の期間をかけ、
オール地方ロケという映画なみの撮影でしたが、そんな現場に参加されて、いかがでしたか?

映画とドラマの混成スタッフチームだと思いますが、監督の頭の中やカメラマンのポジション取り、照明の作り方は映画にとても近いなという感じがします。僕は映画の仕事も多いので、監督が映画監督だったり、カメラマンが主に映画をやっている方というのは、安心感や馴染みみたいなものを感じますね。

ロケーションが松本というのはとてもいいですね。地方議員、地方政治の世界を表現するには、こういう場所でロケをしていることが、ある意味リアリティを持てるんじゃないかなと思います。東京の郊外で撮るのとはまた感じが違いますよね。地方でのロケだと、早く撮影が終わる日が何日かあるので、その土地の食べ物、こちらで言えば、お蕎麦や山菜などの美味しいものを堪能できて、よかったです。

―― 放送を楽しみにしている、視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします

不幸な生い立ちや境遇が似ている二人の女性という、そこから始まる話ですけれど、ただ可哀そうな境遇に同情して観るだけでなく、そこから力強く生きて行く二人の姿を通して、人間の持っている奥深いものを感じ取っていただけたらいいなと思います。60周年記念ドラマですから、他のものとは違う作品になっていると思いますよ!

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