山あいの田舎町、和歌山県紀美野町に大勢の人で賑わう人気のジェラート店がある。旬の野菜や果物を使ったジェラートの美味しさが評判となり、都会から食べに訪れるリピーターも多い。そのジェラートを作っているのが、ジェラート店「キミノーカ」を営むＵターン野菜農家の宇城哲志さん。今回は、地元で活躍するＵターン仲間とともに、田舎暮らしに興味を持つ人たちに向けた体験イベントを開催する宇城さんの奮闘に密着した。
静かな山あいの町で一際、賑わいを見せる宇城さんのジェラートショップ。今なら、和歌山の名産、ウスイエンドウを使ったジェラートや、八朔を絞ったシャーベットなど、季節の野菜や果物を使ったジェラートが食べられる。農業が本業の宇城さんがジェラートを通して知ってほしいのは野菜のおいしさ。野菜に興味を持ってほしいと、これまで、レタスやビーツなど様々な野菜や果物を使ったジェラートを生み出してきた。季節によって様々な種類が食べられるのも魅力のひとつだ。
ジェラートで野菜の魅力を発信する宇城さんは、かつてはサラリーマンとして働いていた。金融の世界で働き、３４歳で脱サラ。故郷に帰り、実家の農家を継いだ宇城さんは、現在、奥さんと子供３人とともに田舎暮らしを楽しんでいる。
宇城さんがジェラートショップをオープンしたのは、農業を始めて５年目のこと。「野菜の違う楽しみ方を知ってもらいたい」という思いがあった。しかし、はたして、山あいの田舎町に人が来てくれるかどうかが心配だったという。そんな宇城さんの迷いを払拭したのが、紀美野町で人気を集めるベーカリーカフェ「ドーシェル」だ。週末には県内のみならず、県外からのお客さんも詰めかける。店主の戸田さんもＵターン組で、彼の成功がお店を始める後押しになったとか。さらに、ジェラートづくりを教えてくれたのも地元のＵターン仲間で、いまや予約の取りにくい人気店となったイタリアン「ステラート」のオーナーシェフ、山本さん。さらに、１９９５年にオープンしたフレンチ「シェみなみ」のオーナーシェフもＵターン仲間であり、地元で活躍している。
様々な人気店のある紀美野町だが、２０４０年に消滅の可能性のある都市ワーストランキングでは全国３９位にランクイン。そんな状況に危機感を覚える宇城さんのもとに、紀美野町に興味を持ち移住しようと考えている加納さんという女性が訪れる。宇城さんは、加納さんに紀美野町の魅力を伝えようと歓迎会を開き、その際に新作ジェラートを披露しようと、新作つくりに取りかかる。宇城さんが選んだ素材はナス。昨年も挑戦したが納得のいく仕上がりにはならず今回再挑戦し、ナスのジェラートを完成させる。