月〜金曜日 21時48分〜21時54分


京都・奈良の桜 

 全国に桜の名所は多いが、今回は社寺・史跡・旧跡などとマッチした京都と奈良の特徴ある桜を紹介する。


 
平野神社(京都市)  放送 4月16日(月)
桜園 平野神社は京都市北区の北野天満宮の北西にあり、珍しい形の社殿と桜祭で知られている。4月10日の桜祭は花山天皇が平安時代初期の寛和元年(985)4月10日に行った桜祭の古例にならって行われている。満開の桜の下を花山車(はなだし)やみこしなどの行列が続き、華やかな平安絵巻を繰り広げる。
 平野神社の桜は花山天皇がお手植えになって以来、いろいろな桜が植樹されて桜の名所になり、神社の社紋も桜で、桜に縁の深い神社と言える。現在、45種約500本の桜があり、種類が多いことから花が咲いている時期が長い。桃桜が3月中旬に咲き始め4月下旬まで次々と由緒ある桜が満開になり、桜見物を兼ねた参拝者らを楽しませてくれる。
(写真は 桜園)

本殿 平野神社は延暦13年(794)平安遷都の際、桓武天皇が大和国から今木(いまき)神、九度(くど)神、古開(ふるあき)神、比売(ひめ)神の四柱を勧請して祭ったのが起こりとされている。今木神は外国からの新来の帰化人を意味し、桓武天皇の生母・高野新笠の遠祖・百済国王聖明王だと言う。九度、古開神は朝鮮の王で、かまどの神と言われ、比売神は生母・高野新笠姫。
 本殿は2棟が連結している4殿の珍しい形で「平野造」または「比翼春日造」と呼ばれている。現在の建物は江戸時代に再建されたもので、第1、第2殿が寛永3年(1626)、第3、第4殿が寛永6年(1629)に建立され国の重要文化財。拝殿はクギを1本も使わず、木を組み合わせて作った「接木の拝殿」と呼ばれるもので、三十六歌仙の絵がある。
(写真は 本殿)


 
城南宮(京都市)  放送 4月17日(火)
神苑(楽水苑) 京都市伏見区の国道1号の東側に隣接する城南宮は、洛南の花の名所として人気がある。古くから方除けの神として信仰を集めている。
 城南宮の境内には「平安の庭」「桃山の庭」「室町の庭」の3庭園で構成される「楽水苑」と「春の山」の庭園がある。これらの庭には桜、サツキ、ツツジ、フジなどがあり、春から初夏にかけて華麗な花をつけ、平安王朝絵巻の風情をかもし出してくれる。特に城南宮のしだれ桜はは有名で、巨木に流れ落ちるような花をつけた時は圧倒されてしまう。
 また、それぞれの庭には源氏物語に登場する100余種の花が植えられており「源氏物語花の庭」とも呼ばれている。春と秋には平安の庭で「曲水の宴」が催され、平安貴族の雅な遊びを再現する。
(写真は 神苑(楽水苑))

城南宮 城南宮の創建ははその昔、神功皇后が軍船に立てる御旗を納めたことに始まると伝えられ、後にこの地の城南寺の鎮守社であったとも言われているが諸説があって定かでない。
平安時代中ごろに白河天皇が鳥羽離宮を造営、城南宮がその域内に入って栄えた。平安時代に上皇や貴族らが熊野や吉野に詣でる時、道中の安全を祈って身を清め祈願したことから、方除けの神として信仰を集めるようになった。今でも普請、造作、転宅、旅行など際の方除けの神として祈願する人が多く、篤い信仰を集めている。
(写真は 城南宮)


 
又兵衛桜(奈良・大宇陀町)  放送 4月18日(水)
又兵衛桜 奈良県のほぼ中央に位置する大宇陀町は、かつては城下町であり、江戸時代以後は伊勢街道の宿場町、薬草や和紙、吉野葛の市場町として栄えた。今も旧街道沿いには古い商家の町並みが見られ、松山城西口関門、別名黒門が城下町をしのぶ唯一の建物として残っている。
 大宇陀町の西部、本郷地区にある「滝桜」、別名「又兵衛桜」と呼ばれるしだれ桜は有名だ。樹齢300年、幹周3m、高さ13mの巨木。戦国時代の武将・後藤又兵衛がこの地に落ちのび、僧侶となって一生を終えたと言われ、後藤家の屋敷跡にあるので又兵衛桜と呼ばれるようになった。このしだれ桜が見事な花を咲かせる4月初旬から中旬にかけて、毎年数万人の花見客でにぎわう。地元ではライトアップしたり桜祭りを開催して花見客を迎えている。
(写真は 又兵衛桜)

おちゃめ庚申(大願寺) 大宇陀町の中心部にある大願寺に「おちゃめ庚申(こうしん)」と呼ばれる石造の青面金剛がまつられている。江戸時代末の天保14年(1843)奉納の銘がある庚申さんは、漫画的な戯画が浮き彫りされており、そのユーモラスな姿に親しみが持てる。青面金剛は憤怒の恐ろしい顔をしているのが普通で、このようなおちゃめな青面金剛は珍しい。石材は近くで産出される花崗岩を使っており、地元の石工が庚申講から依頼されて製作したと見られる。大願寺には奈良県内では数少ない仏足石もある。
(写真は おちゃめ庚申(大願寺))


 
平城宮跡(奈良市)  放送 4月19日(木)
朱雀門 近鉄奈良線の西大寺駅と新大宮駅の中間にある平城宮跡は、和銅3年(710)元明天皇が藤原京から遷都して以来、74年間、都のあった所でその広さは甲子園球場の約30倍。
 広大な平城宮跡に平成10年(1998)朱雀門と東院庭園が復元された。丹土(につち)色をした壮麗な朱雀門がよみがえり、平城宮跡が世界文化遺産に登録され奈良の観光スポットとして一挙にクローズアップされた。
 その朱雀門から大極殿跡にかけて約1000本の桜並木がある。春には美しい朱雀門をバックに花見が楽しめ、天平人の気分が味わえる桜の新名所として人気を集めている。
(写真は 朱雀門)

遺構展示館 平城宮跡は明治時代から細々と発掘調査が続けられていた。戦後、昭和27年(1952)国の特別史跡に指定され、昭和30年(1955)から奈良国立文化財研究所が本格的な発掘調査を始め、その全容が徐々に明らかになった。平城宮跡の広さは約120haで、その中に第1次大極殿、第2次大極殿、内裏、朝堂院、2官8省などの役所があった。
 発掘調査で出土した木簡などの出土品は宮跡内にある平城宮跡資料館で展示されている。
また、発掘調査で出土した一部の建物の柱穴や溝などに屋根をかけて保存し、出土したままの形で見学できるようになっている所もある。
(写真は 遺構展示館)


 
氷室神社(奈良市)  放送 4月20日(金)
四脚門と桜 氷室神社はわが国で初めて氷の貯蔵法を考案した闘鶏稲置大山主命(つげのいなきおおやまぬしのみこと)を祭る氷の貯蔵所・氷室の守護神。
 毎年5月1日の献氷祭には全国の製氷業者らが集まり、海の幸のタイ、川の幸コイを凍結した高さ1mの氷柱をそれぞれ1基と造花の花氷を神前に供える。奈良時代に朝廷に氷室の氷を献上した故事にちなんで行われている。  氷室神社のもう一つの名物は境内にあるしだれ桜。この巨木のしだれ桜は、ほかの桜より1週間ほど早く咲き、古都・奈良に桜の開花を告げる桜となっている。昼間のしだれ桜も見事だが、ほのかな灯りに浮かぶ夜桜も違った風情がある。
(写真は 四脚門と桜)

拝殿 氷室神社は平城遷都の際、春日山の麓に祭ったのが始まりで、後に現在地に移された。
当時は吉城川の清流を池に引いて厳寒に凍らせ、深さ3mほどの大きな穴を掘った氷室に氷を貯蔵し、夏にこの氷を取り出し朝廷に献上していた。当時、夏期の氷は貴重なもので、各地に氷室が作られ朝廷や貴人に献じられていた。
(写真は 拝殿)


◇あ    し◇
平野神社京都市バス衣笠校前下車徒歩2分。 
京福電鉄北野線北野白梅町駅下車徒歩5分。
城南宮京都市バス城南宮下車。 
又兵衛桜近鉄大阪線榛原駅からバス大宇陀高校前下車徒歩15分。 
大願寺近鉄大阪線榛原駅からバス大宇陀バスセンター下車。 
平城宮跡近鉄西大寺駅下車徒歩15分。 
近鉄西大寺駅からバス平城宮跡下車。
氷室神社近鉄奈良駅下車徒歩10分。JR奈良駅下車徒歩15分。 
近鉄奈良駅又はJR奈良駅から市内循環バス(外回り)氷室神社前又は国立博物館下車。
◇問い合わせ先◇
平野神社075−461−4450 
城南宮075−623ー0846 
大宇陀町観光協会0745−83−2251 
大願寺0745−83−0325 
奈良市観光課0742−34−1111 
奈良国立文化財研究所(平城宮跡)0742−34−3931
氷室神社0742−23−7297 

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

(1)・・・ひょうごシンボルルート   
(2)・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
(3)・・・越前戦国ルート              
(4)・・・近江戦国ルート              
(5)・・・お伊勢まいりルート         
(6)・・・修験者秘境ルート           
(7)・・・高野・熊野詣ルート         
(8)・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

◆歴史街道テレフォンガイド

     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
                  TEL:0180−996688    約3分 (通話料は有料)

 

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