月〜金曜日 18時54分〜19時00分


神戸港 

 幕末の開国によって開港された神戸港は、神戸の国際貿易都市への第一歩となった。阪神工業地帯をひかえて貿易量も横浜港を抜いて国内一位になった時代もあった。ブラジル移民船第1号の「笠戸丸」も神戸港から出港した。阪神淡路大震災の被害からもようやく立ち直り、貿易量や出入国船も震災前に戻りつつある神戸港を訪ねた。


 
旧居留地  放送 7月7日(月)
 幕末の安政5年(1858)徳川幕府と欧米5カ国は結んだ修好通商条約を結んだ。
慶応3年(1868)神戸港が開港され神戸には修好通商条約の規定により外国人居留地が設けられた。
 居留地は東西が現フラワーロードから鯉川筋(大丸百貨店西側通り)、南北が国道2号(海岸通り)から大丸北側の通りまでの約26ha。全体を126区画に分け、人道と車道を分けた道路、公園の設置、下水道の整備など、初めから計画的な都市づくりが行われた。居留地には欧米各国の領事館や貿易会社などの洋風建築が建ち並び、経済、文化の中心地として近代神戸の礎となった。

開港当日の神戸港(神戸市立博物館)

(写真は 開港当日の神戸港(神戸市立博物館))

「居留地68番地」標石

 居留地には初めコロニアル(植民地)風の木造建築が建っていたが、その後、レンガ造りや石造りの重厚な洋館に建て替えられ、整然と区画された街並みへと変わっていった。これらの建物の中には、現在もオフィスビルや商店として使われている洋館が、いくつも見られ異国情緒にあふれている。そうした中で神戸市立博物館、商船三井ビル、旧居留地十五番館、旧居留地三十八番館などが名建築として知られている。
 アメリカ領事館として建てられたコロニアル様式の旧居留地十五番館は、阪神淡路大震災で大きな被害を受けたが、旧館の部材を生かして復旧された。現在はカフェとし生まれ変わり神戸が発祥と言われるハヤシライスが名物。

(写真は 「居留地68番地」標石)

 旧居留地にある神戸市立博物館は、正面に6本のドリス式半円柱が並ぶギリシャ様式の美しい建物。昭和10年(1935)に建てられた外国為替専門の横浜正金銀行神戸支店だった。この建物を昭和57年(1982)に増改築、神戸市立南蛮美術館と神戸市立考古館を統合し「国際文化交流−東西文化の接触と変容」をテーマに、神戸市立博物館としてオープンした旧居留地のランドマーク的存在。
 館内には200分の1の模型で居留地の昔の町並をしのぶことができる。神戸から出土した桜ケ丘銅鐸・銅戈(国宝)や国際都市神戸ならではの南蛮美術品など珍しい展示品がいっぱい。

商船三井ビル

(写真は 商船三井ビル)


 
メリケンパーク  放送 7月8日(火)
 昭和62年(1987)に神戸開港120年記念事業として、メリケン波止場と中突堤の間を埋め立ててメリケンパークが誕生した。メリケン波止場は神戸開港後の明治元年(1868)に政府が作った波止場で、“メリケン”の由来は波止場の近くにアメリカ領事館があり、それが訛ってメリケンと呼ばれるようになった。
 メリケンパーク内の神戸ポートタワーや神戸海洋博物館は、みなと神戸のシンボル的建築物となっており、潮風に吹かれ、港に出入りする船を眺めながら公園内の施設を巡りながらの散策も楽しい。

神戸海洋博物館

(写真は 神戸海洋博物館)

メリケンシアター

 みなと神戸のシンボル・神戸ポートタワーは高さ108m、真っ赤なパイプで作られた鼓の形をしたタワーで、昭和38年(1963)に完成した。展望台からは神戸港はもとよりポートアイランド、ハーバーランド、六甲の山並みなど360度の眺望が楽しめる。
 公園南端のメリケンシアターのモニュメントは、明治20年(1887)に神戸で活動写真、すなわち映画が日本で始めて公開されたのを記念して建てられた。モニュメントの四角い窓は映画のフィルムの1コマをイメージしている。

(写真は メリケンシアター)

 建物の外観が帆船の帆と波をイメージした、白いスペースフレームのデザインの神戸海洋博物館は、遠くからでも目に入る。メリケンパーク完成と同時に「海・港・船」に関する総合博物館としてオープンした。神戸港の開港を祝福するため来航した外国艦船の中の英国艦船「ロドニー号」や菱垣廻船の模型、神戸港の歴史や航海術などの資料を映像やマルチスクリーンで紹介している。
 平成7年(1995)の阪神淡路大震災では、神戸港も大きな被害をこうむった。
メリケン波止場の被災部分のうち約60mをそのままの形で保存、神戸港震災メモリアルパークとした。埋没した岸壁、傾いた街灯などが震災のすさまじさを伝えている。

神戸震災メモリアルパーク

(写真は 神戸震災メモリアルパーク)


 
遊覧船から  放送 7月9日(水)
 海、街、山が東西に細長く延びる神戸市。六甲山からの市街地や神戸港の眺め、メリケンパークやハーバーランドからの海の眺めを楽しむ機会は多いが、海上から海岸沿いの景観や市街地、六甲の山並みを眺めた人は案外少ないのでは…。
 神戸の街や神戸港を楽しむなら地上からだけではなく、船に乗って眺めると違ったアングルで新しい景色を再発見できるかもしれない。地上では見慣れている風景、建物も海上から見れば新たな感動がわきそうだ。そんな期待を抱かせるのにピッタリの個性の異なる各種の遊覧船が中突堤から発着している。

中突堤

(写真は 中突堤)

ポートアイランド

 予約なしで40〜50分で気軽に神戸港内が遊覧できのが港内遊覧船。中突堤「かもめりあ乗船場」を出発、ハーバーランド、メリケンパークを眺めながら臨海工業地帯へ。川崎重工業、和田岬と三菱重工業の造船所ドックの活気のあふれる姿を海から眺めるのは貴重な体験。
 工業地帯を後にして甲子園球場の240倍の広さを持つ人工島のポートアイランドへ。ホテルや高層住宅が建ち並び神戸港の約60%のコンテナが集まるところでもある。神戸市の中心地とポートアイランドを結ぶ神戸大橋の下をくぐり発着場の桟橋へ戻るのが遊覧のコース。

(写真は ポートアイランド)

 この神戸港内遊覧には「みなと物語」「ポートオブコウベ」「神戸港めぐり」の3社の遊覧船が、一日5〜10便出航しており乗船料は900円。
 もっと豪華なクルージングを楽しみたい人には豪華船が待っている。豪華客船ノルマンディ号をイメージした巨大クルーズ船「ルミナス神戸2」は、フランス料理を味わいながら明石海峡大橋周遊と神戸沖周遊がある。海の真珠という名にふさわしいガラス張りの「パルデメール」は、神戸沖を周遊しながら食事を楽しむ。ジャズやクラシックの生演奏を聴きながら中華料理や鉄板焼きの個性派レストランでの食事が楽しめる「コンチェルト」がある。乗船料は1800円〜3150円(食事別)で予約が必要、乗船場もそれぞれ異なる。

神戸シーバス「ロマン号」

(写真は 神戸シーバス「ロマン号」)


 
ハーバーランド  放送 7月10日(木)
 メリケンパークの海を挟んだ西向側、旧国鉄の湊川貨物駅を中心とした倉庫街が、見事に変身したハーバーランド。「海につながる文化都市の創造」をテーマに、平成4年(1992)に誕生した新しい街だ。倉庫街の名残をとどめる赤煉瓦のレストランなどが、ロマンティックなムードづくりに効果をあげている。
 海に面した開放的な空間に広がる多彩で斬新な発想の大型施設は、今や関西の新しいアミューズメント、グルメ、ショッピングスポットとして人気を集め、にぎわっている。

太陽通り

(写真は 太陽通り)

運河通り

 神戸港中突堤に向かい合う海際の「モザイク」は、60以上の店舗が集まるオープンモールの街並みと、海の見える広場で構成されたゾーンからなっている。ショッピングやグルメ、アミューズメントなど多彩なニーズに応えられる店が、太陽通りや運河通りなどしゃれたネーミングの明るい通りに並び、多くの人たちが行き交い楽しんでいる。
 ショッピングゾーンに隣接するモザイクガーデンには、神戸市街地を一望できる高さ約50mの大観覧車があるほか、さまざまな遊具がそろい子供連れの人たちが集まってくる。

(写真は 運河通り)

 ハーバーランドの南端の元倉庫街の一角に赤煉瓦倉庫を改装したレストラン「KURA 蔵」がある。室内の壁も赤煉瓦で、独特の雰囲気を醸し出しロマンティックな気分に浸れる。メニューも神戸牛、神戸・垂水沖や明石沖で捕れた魚介類、有機栽培の野菜など食材にもこだわった創作和食が中心に豊富。
 このほかハーバーランドにはデパートや大型スーパーも加わり、あらゆる店がそろい手に入らぬものや望みの食事ができないと言うことはない。若者から子供連れの家族など老若男女を問わず楽しめるスポットである。

煉瓦倉庫レストラン

(写真は 煉瓦倉庫レストラン)


 
ロマンティックナイトシーン  放送 7月11日(金)
 神戸港やその周辺の景色は太陽が輝く昼間も十分魅力的だが、街に灯りがともるころになるとグーンと輝きを増し、ロマンの香りを強く放ち始める。昔から「百万ドルの夜景」と言われた神戸の夜の顔である。
 特に暑い夏には、夕涼みがてらに神戸の夜景を楽しむのは、暑さでたまったストレス解消には最良の方法ではないだろうか。今回は神戸港を中心に輝く神戸のナイトシーンをスケッチしてみた。まだまだ他に素晴らしい夜景のスポットがあるので探索してみるのもよい。

メリケンパーク

(写真は メリケンパーク)

ハーバーランド

 夜の神戸港周辺のベイエリアは、きらびやかに輝く。メリケンパークのライトアップされた神戸ポートタワーや帆船をイメージした神戸海洋博物館は素晴らしい眺めである。ハーバーランドも輝いており、モザイクガーデンの大観覧車やモザイクの商店街もその存在感を誇示している。港に停泊する豪華客船の姿も美しい。ポートアイランドをつなぐ神戸大橋の夜の姿も力強さの中にしなやかさを感じさせる。
 こうした夜のベイエリアをそれぞれの対岸から眺めるのが手軽な方法だが、クールーズ船でディナーと夜景を楽しみながらの夜のクルージングは満足感でいっぱいになる。

(写真は ハーバーランド)

 海からのナイトスケッチから一変して、山から眺める夜の神戸もやはり捨てたものではない。宝石をちりばめたような六甲山山頂からの神戸市街地や神戸港の眺めは定評だが、もう少し間近で神戸の夜景を楽しめる絶好のスポットがヴィーナスブリッジだ。
 諏訪山公園内の遊歩道に架けられた歩道橋兼展望台がヴィーナスブリッジ。目の前に広がる市街地のネオンやビルの窓の灯り、街灯の光り、道路を流れる車のライトの眺めはいつまで眺めていてもあきない。遠く淡路島や関西国際空港の灯りもキラキラと輝いている。若いカップルの夏のデートスポットでもある。

神戸大橋

(写真は 神戸大橋)


◇あ    し◇
旧居留地、神戸市立博物館、
カフェ・ド・神戸旧居留地十五番館、
商船三井ビル 
JR東海道線三宮駅、元町駅、阪急電鉄神戸線
三宮駅、阪神電鉄三宮駅、元町駅下車
いずれも徒歩約15分。
メリケンパーク
(海洋博物館、ポートタワー、
震災メモリアルパーク)
JR東海道線元町駅、阪神電鉄元町駅下車
徒歩15分。
神戸港遊覧船発着場JR東海道線元町駅、神戸駅、神戸高速鉄道
西元町駅下車徒歩15分。
神戸ハーバーランド、タクト(モザイク)、
KURA蔵(煉瓦倉庫レストラン) 
JR東海道線神戸駅、神戸高速鉄道高速神戸駅、
神戸市地下鉄ハーバーランド駅下車徒歩5〜15分。
ヴィーナスブリッジJR東海道線元町駅、阪神電鉄元町駅下車
徒歩約30分。 
JR東海道線三宮駅、阪急電鉄神戸線三宮駅、
阪神電鉄三宮駅からバス諏訪山公園下車
徒歩10分。
◇問い合わせ先◇
神戸市役所観光交流課078−322−5339 
神戸市総合インフォメーションセンター078−322−0220
神戸市立博物館078−391−0035 
カフェ・ド・神戸 旧居留地十五番館078−334−0015
神戸港振興協会(海洋博物館、
ポートタワー、震災メモリアルパーク)
078−391−6751
神戸港遊覧船「みなと物語」078−360−0731
神戸港遊覧船「ポートオブコウベ」078−360−0039
神戸港遊覧船「神戸港めぐり」078−331−6667
神戸ハーバーランド情報センター078−360−3333
タクト(モザイク)078−360−3223 
KURA蔵(煉瓦倉庫レストラン) 078−367−6848

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

(1)・・・ひょうごシンボルルート   
(2)・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
(3)・・・越前戦国ルート              
(4)・・・近江戦国ルート              
(5)・・・お伊勢まいりルート         
(6)・・・修験者秘境ルート           
(7)・・・高野・熊野詣ルート         
(8)・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

◆歴史街道テレフォンガイド

     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
                  TEL:0180−996688    約3分 (通話料は有料)

 

◆歴史街道倶楽部のご紹介

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歴史街道推進協議会