月〜金曜日 18時54分〜19時00分


阪神のおもしろミュージアム 

 阪神間にはオーソドックスな博物館や美術館のほかに、一般にはあまり知られていない隠れた
おもしろいミュージアムが多い。今回はこうしたミュージアムを発掘して見た。 


 
咲くやこの花館
(大阪市) 
放送 1月19日(月)
 鶴見緑地の「咲くやこの花館」は、平成2年(1990)に開かれた「国際花と緑の博覧会」で、大阪市のパビリオンとして建設されたわが国有数の総合植物館。外観は水面に浮かぶスイレンの花をイメージしており、館の名称は一般公募で決められたが、古今和歌集にある「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花」の歌に由来している。
 館内には熱帯から極地圏までの地球上のさまざまな気候帯の植物2600種、1万5000株が、温室や冷室など8つのゾーンに分けて栽培されている。

熱帯スイレン

(写真は 熱帯スイレン)

パラグアイオニバス

 ジャングルの湿地帯を再現した「熱帯水生植物コーナー」には、熱帯スイレンやオオオニバス、マングローブの主要植物・ヤエヤマヒルギなどが、水温28度前後で栽培されている。「熱帯雨林植物室」にはヤシやガジュマルなどのジャングルらしいイメージの中にランの花が彩りを添えている。
 トロピカルムードの熱帯花木室をのぞくと、ハイビスカスの原種やいろいろな品種のカラフルな花が楽しめる。ほかにエンジェルズトランペット、カリアンドラ、ブーゲンビレアなどの花が咲いており、ハワイやタヒチの雰囲気がいっぱい。寒い季節にはやはり南国の花を見て回るのが楽しく、気分も温かくなる。

(写真は パラグアイオニバス)

 「高山植物室」には青いケシやプリムラなどでヒマラヤのお花畑が再現され、年間を通じて開花状態で鑑賞できるように室温が管理されている。ここではヒマラヤのほかにロッキー、アルプス、日本の高山植物にも気軽に出会える。熱帯の植物とは対照的な「極地植物室」では、南極の昭和基地周辺のコケや北極圏の植物を映像で見ることができる。
 館内では季節ごとの花の特別展やイベントが年間を通じて計画されており、2004年2月3日〜15日まで「バレンタインデーイベント」として、チョコレートはどのような木の実からできるのか、バレンタインデーの歴史、チョコレートのできるまでなどを紹介。2004年3月には春蘭展、洋ラン展が計画されている。

アカバナブラシマメ

(写真は アカバナブラシマメ)


 
インスタントラーメン発明記念館
(池田市) 
放送 1月20日(火)
 今や年間430億食、20世紀の食文化に大きな変革を与えたインスタントラーメンの歴史は、昭和33年(1958)に始まる。
 インスタントラーメン発祥の地・池田市。市役所向かい側の公園に「事始め文化の町池田」の記念碑が立っており、碑には「安藤百福(あんどうももふく)氏開発による即席麺は池田に発祥し、全世界に伝播“食文化 を変革しました」とある。この近くにインスタントラーメン発明記念館があり、インスタントラーメン誕生のエピソードやその苦労話などがいっぱい詰まっている。

インスタントラーメン発明記念館

(写真は インスタントラーメン発明記念館)

昭和33当時の研究小屋再現

 20世紀の食文化の1ページを開いたと言われるチキンラーメンは、自宅裏庭の粗末な小屋で執念の研究を続けていた安藤氏が生み出した。記念館内にその小屋と内部の様子が忠実に再現されている。
 製造器具と言っても手動の製めん機やめん打ち台、めん棒、ガスコンロと蒸し器、七輪、おたま、かつお節削り器など、どこの家庭にでも見かけるものばかり。最先端の機器や研究所がなくてもたゆまぬ創造と発想があれば、世間を驚かすような発明や発見ができることが実感できる。安藤氏は「人間にとって一番大事なのは想像力である」と強調し、この記念館が次世代の子供たちに自由な発想と創造性の芽が育つきっかけになることを期待している。

(写真は 昭和33当時の研究小屋再現)

 インスタントラーメンは時代の申し子とも言われた。高度経済成長期の多忙な時に簡単にすませられるインスタントラーメンは、テレビコマーシャルに乗って大ヒットした。さらに給湯つきのカップヌードル自動販売機が登場し、究極のインスタント食品と言われるようになった。阪神淡路大震災では「チキンラーメン号」が活躍し、寒空の下で被災者の空腹を満たした。こうしたインスタントラーメンの歴史を現物を展示しながらたどっているのが「インスタントラーメン・エポックグラフィティー」のコーナー。
 インスタントラーメン手作り体験コーナーもあり、予約すれば小麦粉をこね、のばし、味つけして揚げて仕上げることができる。チキンラーメンの発明、発見の原点を体験したうえ、自宅に持ち帰って自作のインスタントラーメンの味が楽しめる。

チキンラーメン号

(写真は チキンラーメン号)


 
松下電器歴史館
(門真市) 
放送 1月21日(水)
 松下電器歴史館は松下電器創業50周年を記念して昭和43年(1968)開館、平成7年(1995)に創業者・松下幸之助氏(1894〜1989)の生誕100年を記念して全面改装された。
 昭和8年(1933)この地にあった当時の本店社屋を復元して歴史館の建物にした。館内には戦前に開発された電気器具、終戦後の復興期に新しく生まれた家庭電化製品など、郷愁を誘う懐かしい貴重な展示品がずらりと並んでいる。松下電器の歴史と松下幸之助氏の歴史は、日本の家庭電化製品の歴史であり、世界にその名を馳せた幸之助氏の底力がうかがえる。

松下電器歴史館

(写真は 松下電器歴史館)

創業の家

 歴史館の展示の中心は、幼くして和歌山から大阪に出て丁稚奉公をした後、小さな町工場から松下グループを育て上げた松下幸之助氏の生涯とその人物像にスポットを当てながら、松下電器の歴史、日本の家庭電化製品の歴史をたどっている。
 幸之助氏は大正7年(1918)現在の大阪市福島区大開町に松下電気器具製作所を創立したが、その「創業の家」が歴史館内に復元されている。そこでアタッチメントプラグや2灯用差し込みプラグ、2股ソケットなどのアイデア商品が製作された。
当時、これらの新商品は大当たりして人気商品となり、その後も電池式ランプ、スーパーアイロン、電気こたつ、ラジオなど次々にヒット商品を生み出した。

(写真は 創業の家)

 相次ぐヒット商品で創業地の工場が手狭になり、昭和8年(1933)に本店と工場をこの歴史館のある門真市へ移した。この地を拠点に工場を広げ、斬新なアイデアと先端技術を駆使して新製品を誕生させ、世界の松下電器へと発展して行った。
 幸之助氏は「松下電器はものを作る前に人を作る会社」と言い、人材育成に力を注いだ。また、商いの心も説いた人でもあった。こうした幸之助氏の人物像が映像やパネルで紹介されており、今日にも通じる人づくりの原点がここにあるように思える。
近くには松下電器グループの最新技術約600点を紹介した松下電器技術館もあり、一見に値する資料がいっぱいある。

2股ソケット

(写真は 2股ソケット)


 
神戸らんぷミュージアム
(神戸市) 
放送 1月22日(木)
 人類は「火」の発見によって闇を照らす「あかり」を手に入れた。そして火による「あかり」は長い歴史の中で「たいまつ」や「かがり火」から「行灯(あんどん)」や「ランプ」へとさまざまに変化し、電気の「あかり」へと受け継がれた。
 神戸らんぷミュージアムは関西電力が、旧北野らんぷ博物館・赤木コレクションを引き継いで現在地にオープンしたもので、現代の電気の照明にいたるまでの、長い間の人びとの知恵と工夫の歴史でもある「あかり」の移り変わりを展示している。

江戸期のあかり情景

(写真は 江戸期のあかり情景)

西洋ランプ情景

 館内には神戸旧居留地の街角をイメージした「あかりのミュージアムウオーク」があり、その通りにある小さなミュージアムへ立ち寄るような形で展示室が並んでいる。
 人類が最初に用いた「あかり」は、自然の樹木を燃やす庭火やかがり火、手に持つ手火(てひ)のたいまつだった。そこから「あかり」をともすことに気づき、灯台、行灯、短檠(たんけい)、無尽灯など、油を使って「あかり」を持続させることを発見した。油のほかにろうそくが考案され、持ち運びに便利な燭台、提灯(ちょうちん)などの重宝な「あかり」となった。これらの「あかり」は、平安時代から江戸時代にかけての「和のあかり」で、温かみを感じさせるものである。

(写真は 西洋ランプ情景)

 明治維新の文明開化の波に乗って西洋から石油ランプが入り、文明開化の「あかり」がともされた。日本の生活に合わせた国産のランプも作られ、さまざまな座敷ランプ、卓上ランプが登場、実用一点張りでなくインテリアとしての華やかさも重要視されるようになる。そしてガス灯、電気が登場し、ほのかな「あかり」の時代から輝くような明るい「あかり」の時代へと大きく変わった。
 近代の「あかり」の代表と言える電球や電球の上にかぶせたガラス製の電笠なども展示され、蛍光灯時代の現代にはない温もりを感じさせている。

卓上ランプ

(写真は 卓上ランプ)


 
神戸市水の科学博物館
(神戸市) 
放送 1月23日(金)
 水は人類はもちろん、動植物、魚介類の生命にとってかけがえのないものである。
日ごろ何気なく使っている水について「水の性質」「水と人とのかかわり」をテーマに、理解をより深めることができるのが「神戸市水の科学博物館」。科学博物館と言うと堅苦しく考えられがちだが、この博物館は子供たちでも水のさまざまな性質、不思議さを楽しく体験、実感できるように工夫されている。
 ドイツ風の重厚、かつ優美な博物館の建物は、大正6年(1917)建築された神戸市の「奥平野浄水場急速ろ過場」を転用した。

神戸市水の科学博物館

(写真は 神戸市水の科学博物館)

水のサーカス

 水の持つ力をわかりやすく見せるのが「水のサーカス」のコーナー。水の重力で回る水車やアルキメデスのポンプ、水力発電などが遊びながら学べる。超高圧の水流で堅い板も楽々と切ってしまう「アクアカッター」には驚く。水で板が切れるなど考えられないようなことができるのには誰しも驚嘆する。
 乗るだけで体内の水分の量がわかる水分体重計で自分の体内の水分を知り、人間にとっていかに水分が重要な役目を果たしているかを再認識する。ほかにさまざまな水の実験ができる水の実験室、シャボン玉が浮かび続け、さらに凍ってしまう浮かぶシャボン玉のコーナーなどのウオーターサイエンスで水の不思議さがわかる。

(写真は 水のサーカス)

 水と暮らしのゾーンには、水道の送水システムや家庭内の水道の配管がどのようになっているかを、モデルハウスを使って展示している。また、洗濯や歯みがきでどのくらいの水を使うのかもわかるようになっており、貴重な水資源を大切に使ってほしいと呼びかけている。
 美しい映像と音で水と生きものたちとの触れ合いを描き、自分が描いた魚が水槽の中で泳ぎ出す「バーチャルアクアリウム」など楽しい展示がいっぱいある。アクアサロンには水に関するビデオや本がいっぱい用意されており、水に関する知識を得ることができ、水道水とミネラルウオーターとの飲み比べもできる。

水の実験室

(写真は 水の実験室)


◇あ    し◇
咲くやこの花館地下鉄長堀鶴見緑地線鶴見緑地駅下車
徒歩10分。
JR大阪駅から市バス、
近鉄バスで鶴見区役所前下車徒歩10分。
京阪電鉄守口市駅から
京阪バスで鶴見緑地下車徒歩10分。
インスタントラーメン発明記念館阪急電鉄宝塚線池田駅下車徒歩7分。 
松下電器歴史館京阪電鉄西三荘駅下車徒歩3分。 
松下電器技術館京阪電鉄守口市駅、地下鉄谷町線守口駅、
大阪モノレール大日駅下車徒歩15分。
神戸らんぷミュージアムJR東海道線、阪急電鉄、
阪神電鉄三宮駅下車徒歩7分。
神戸市水の科学博物館JR東海道線三宮駅、
神戸駅からバスで楠谷町下車。
神戸市営地下鉄県庁前駅又は大倉山駅下車
徒歩15分。
◇問い合わせ先◇
咲くやこの花館06−6912−0055 
インスタントラーメン発明記念館072−752−0825 
松下電器歴史館06−6906−0106 
松下電器技術館06−6906−4801 
神戸らんぷミュージアム078−333−5310 
神戸市水の科学博物館078−351−4488 

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

(1)・・・ひょうごシンボルルート   
(2)・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
(3)・・・越前戦国ルート              
(4)・・・近江戦国ルート              
(5)・・・お伊勢まいりルート         
(6)・・・修験者秘境ルート           
(7)・・・高野・熊野詣ルート         
(8)・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

◆歴史街道テレフォンガイド

     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
                  TEL:0180−996688    約3分 (通話料は有料)

 

◆歴史街道倶楽部のご紹介

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歴史街道推進協議会