2020/01/31

高騰するパリの不動産

こんにちは、パリ支局の工藤です。

パリでは今、不動産への投資が過熱しています。もちろん居住用としではなく、賃貸物件、資産運用が目的です。パリを含むイルドフランス地域圏では2019年の不動産購入のうち投資目的の割合が22%超で2年前から10%近く上昇し、件数ベースでも50%程度増えています。

理由は色々とあるようですが、第一に安定的な投資先として注目を浴びています。銀行の金利が低くローンが組みやすいことや、政府の免税プログラムができたことなどが理由の一つに挙げられています。

エッフェル塔周辺の住宅街。パリでも家賃が最も高いエリアだエッフェル塔周辺の住宅街。パリでも家賃が最も高いエリアだ

また日本と違い、パリでは新築の物件はほとんどありません。改装工事はされていますが、100年以上前に建てられたものもざらにあります。フランスでは新しい物件が必ずしも評価されるわけではなく、「古さ=歴史」が価値を持つことも少なくなく、不動産は大きな値崩れはないと考えられているようです。実際にここ20年というスパンで見れば、パリの不動産の価格は数倍になっています。

加えてパリの住居数は、その街の規模に比して圧倒的に少ないとされています。それゆえアパートを借りる際に自身の希望や条件に適った物件に巡り合うのはかなり難しい状況です。加えてパリは世界有数の観光都市です。同時多発テロで一時その数は落ち込みましたが、すでに過去最高を記録するまでに観光客は戻ってきています。ホテルも相当な数ありますがやはり値段は高いため、民泊の人気が高まってきています。

さらに2024年にはオリンピックを控えていて、あらゆる状況が不動産投資を後押ししてる状況です。一部専門家からは「バブル」と指摘されるほどの過熱ぶりになっています。フランス人だけでなく、アメリカやロシアなど海外の投資家も多いようです。

不動産会社の店頭に掲示された「売り物件」や「貸し物件」不動産会社の店頭に掲示された「売り物件」や「貸し物件」

そうなると心配なのは家賃の上昇です。懸念したパリ市が、区ごとに家賃の上限を決める「法律」のようなものを去年作りました。(といっても、パリ市内はどこも元々相当に高いですが…)。ただ、現場では必ずしもこの上限規則が守られてはいないようです。

こういった状況、実はパリだけではなく、ヨーロッパのいくつかの主要都市でも見られています。

バルセロナの街並みバルセロナの街並み

例えば、日本人観光客にも人気のスペインのバルセロナ。海外投資家による大規模な買い上げや民泊利用のため、不動産価格も家賃も上がり続けました。もはや普通のスペイン人は住むことができないと言われるまでの状況になりました。2019年の段階で5年前から平均50%近く家賃が上がったとの統計があるほどです。

ドイツの首都ベルリンでは5年間家賃上昇を禁止する法律の施行が決まりました。10年で約2倍にまで家賃が上昇し、地元住民らが大規模なデモを何度も行いました。法律による家賃抑制は憲法違反との指摘さえある中、市民の声に押される形でベルリン市は法律の導入を決めました。

海外からの投資が集まれば経済的なメリットがあるのは事実です。一方で、その反動を受ける人たちがいるのも間違いありません。そのバランスを行政はどのようにとるのか、どこまで踏み込むのか。難しい課題です。

シャンハイ★Shanghai