2019/12/20

ノートルダム大聖堂の今

こんにちは、パリ支局の工藤です。

2019年がまもなく終わろうとしています。

火災発生直後。この後、尖塔は私の目の前で崩れ落ちた火災発生直後。この後、尖塔は私の目の前で崩れ落ちた

今年、フランス・パリであった最大のニュースは4月15日から16日に起きたノートルダム大聖堂の火災です。あの日から半年以上たった、今のノートルダム大聖堂のことを少しお伝えしたいと思います。

12月中旬の午前中、ストでほとんどの地下鉄が動いていない中、自動運転のため通常運転を続ける1番線を使い、少し離れた「Hotel de Ville」(パリ市役所)という駅で降りました。市役所の前にある広場は、装飾やイルミネーションに露店も並び、クリスマスムードにあふれています。そこから歩いて5分ほどのノートルダム大聖堂。周囲の建物より頭一つ高く、目印になっていた尖塔は火災で焼失しありません。セーヌ川を越え、大聖堂へと続くカフェや土産店が並ぶ通りに、観光客の姿はまばらでした。

最近の状況について話を聞こうといくつかの店に入り、店主たちに声をかけてみました。どの人たちも「お客は見ての通りだよ。もううんざり」とあまり話もしたくないといった様子です。大型の工事車両が入るときなどには、店を閉めざるを得ないこともあり、営業もままならない状況です。

大聖堂まで100メートルほどつづく店舗は閑散としていた大聖堂まで100メートルほどつづく店舗は閑散としていた

少し話を聞かせてくれた土産店の女性店員によると、観光客は火災前から60%ほど減っている感覚だということでした。

崩落を防ぐように木型での補修がされ、窓のステンドクラスは一時撤去されている崩落を防ぐように木型での補修がされ、窓のステンドクラスは一時撤去されている

大聖堂の近くに着きその外観を眺めてみると、壁面を覆っていた火災の「すす」による黒みは随分と綺麗にされていて、火災前より白いとすら感じる状態です

ただ補修工事が本格的になっていっていることもあり、周囲に並ぶ大型のクレーンの数は増えています。工事がこれから相当な期間続くであろう現実を突き付けられました。

周囲に増える大型のクレーンが被害の甚大さを物語る周囲に増える大型のクレーンが被害の甚大さを物語る

大聖堂に近づくことができないよう、周囲にはフェンスが設置されています。そこでは今、写真展が行われています。火災直後の内部や傷づいた彫像の写真、修復作業の様子がパネルで展示されています。

「Renaissance」(ルネッサンス=復活)への願いを込めた写真展示「Renaissance」(ルネッサンス=復活)への願いを込めた写真展示

火災で損傷した彫像の写真パネル火災で損傷した彫像の写真パネル

大聖堂の歴史と火災の現実を多くの人に見てもらい未来を考えてもらおうと、フォトジャーナリストが企画したそうです。

大聖堂の再建については、火災当初にマクロン大統領が宣言した「5年以内」、2024年のパリ五輪までにという政府の方針は変わっていません。政府の再建担当特別代表も今月、2024年4月16日、火災からちょうど5年となる日に「聖歌を歌う」、つまり再開日にすると発表しました。一方で、焼失した尖塔を再び作るかどうかについては、いまだに結論が出ていません。当初コンクールでの再建案の募集が言われていましたが、今月になりそのコンクールの中止が決定。世論調査と建築の専門家の意見を集めて決めるとされましが、その具体的な方法や、時期は示されていません。

再建に向けた寄付は約6億ユーロ(約720億円)がすでに集まっていて、寄付自体はまだされていないものの、その意向が発表されたものも合わせると8億ユーロ(960億円)を超えています。再建に必要な金額はまかなえているとされていますが、再建方法が決まらない以上、その全容は見えてきません。

2017年のクリスマスイブに開かれたノートルダム大聖堂のミサ2017年のクリスマスイブに開かれたノートルダム大聖堂のミサ

まもなくクリスマスを迎えます。例年、クリスマスイブに行われるノートルダム大聖堂のミサには地元の信者や多くの観光客が訪れていました。今年は当然、ノートルダム大聖堂でのミサはありません。近くの別の教会で、合同で執り行われることになります。

「フランスの魂、パリの心」とまで言われたノートルダム大聖堂。再びあの引き込まれるような美しさを取り戻すには、まだまだ多くのハードルが残っているようです。

観光客はフェンスの外から遠巻きに尖塔のない大聖堂を眺める観光客はフェンスの外から遠巻きに尖塔のない大聖堂を眺める

シャンハイ★Shanghai