2020/02/27

フランスワインが危機!?

こんにちは、パリ支局の工藤です。

フランスと言えばワインの国。パリのカフェでは平日の昼間からランチにちょっと一杯、ワインを付けるのは普通の光景です。

10数年前までは高校の食堂にワインが置いてあることもあったそうです(当時は飲酒が16歳からOKだったので。今は18歳以上に法改正されています)。パリは世界で最もワインを消費する都市とも言われています。パリ市民1人当たりのワイン消費量は、東京の約16倍にもなります。そんなワイン大国・フランスのワインが今、ピンチを迎えているんです。

「ワインパリス」の会場。今年で2回目だが規模は国内最大級の見本市。「ワインパリス」の会場。今年で2回目だが規模は国内最大級の見本市。

会場には「中国産ワイン」も。<br>欧州には本格上陸したばかりだそうだが、さてー会場には「中国産ワイン」も。
欧州には本格上陸したばかりだそうだが、さてー

2月上旬パリで大規模なワインの見本市が開かれました。パリのワイン市と言えば、毎秋開かれる「サロン・ド・ヴァン」が有名ですが、今回私が訪れたのは「ワイン・パリス(WINE PARIS)」という見本市で、卸業者や小売店、レストランなどを対象にした、いわばビジネス色の強い展示会です。
フランスを中心に2000を超すメーカーや生産者がブースを出し、3万人以上が来場するイベントでした。

フランスのワインがなぜピンチなのか―。大きく2つの理由があります。

まず1つ目はフランスで若者を中心にワイン離れが止まらないことです。国内の消費量でみると30年前から3割ほど減っています。これはワインだけでなくアルコール全体で見ても同じ傾向で、そういう意味では日本と変わりません。
一方で世界中から色んな種類のお酒が入ってくる時代です。好みも多様化し、『ワインだけ』を飲むという人も減っていっているようです。

2つ目の理由は、貿易を巡る世界情勢の変化です。アメリカとEUの貿易摩擦に伴い、去年10月にアメリカへのフランスワインの輸出に25%の関税が上乗せされました。アメリカはフランスワインにとって2番目に大きな輸出先。
その輸出量が関税の影響で11月には44%も減少してしまいました。他にも、これまで順調に伸びてきた中国への輸出量が横ばい状態に入り、さらにブレグジットを巡りイギリスへの輸出がどうなってしまうのかというも大きな不安材料になっています。

加えて、チリやオーストラリアなどで生産技術が向上し、安価で高品質なワインも次々と登場するようになり、「フランス産」というだけ売れるような時代ではもうないようです。
見本市会場にブースを出していた生産者のジャンフランソワさんは「うちの会社でもアメリカへの輸出は40%減った。政府がトランプ大統領と交渉してくれてるだろうが、正直期待していない。我々にはどうしようもないよ」と、ため息交じりに話してくれました。

販売網の拡大に向け、メーカや生産者は必死のPR。販売網の拡大に向け、メーカや生産者は必死のPR。

ワイン生産者らは激化する競争の中、なんとか世界に売り込んでいこうと見本市では大々的なPR合戦を繰り広げていました。

ただ、苦しい状況のフランスワイン界ですが、質の高いワインを作る生産者たちが大勢いるのは変わっていません。

「フランス人がワインを飲む『量』は減ったけど、ワインに使うお金の総額は変わってないの。大きなメーカーでは売り上げが減っているのかもしれないけど、私たちのように量より質にこだわっているところは、むしろ売り上げは上がっているわよ」。

ナタリーさん自慢のワイン。<br>収穫も手作業で、手間ひまかけたビオワインだ。ナタリーさん自慢のワイン。
収穫も手作業で、手間ひまかけたビオワインだ。

南仏で家族経営の小さなワイナリーを営むナタリーさんはそう力強く話してくれました。

日本でも多くの日本酒メーカーがそれぞれの味を武器に世界戦略に乗り出しています。フランスのワインも同じように、その自慢の味を武器に世界と戦っています。

シャンハイ★Shanghai