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公演情報

エフゲニー・キーシン ピアノ・リサイタル

[ピアノ]エフゲニー・キーシン

日時 2018年11月10日(土) 15:00 開演 14:00 開場
会場 ザ・シンフォニーホール
料金 A 19,000円 B 16,000円 C 12,000円 D 9,000円
一般発売日 2018年5月27日(日)
優先予約日 2018年5月25日(金)
 
チケット販売 ABCぴあ
プログラム ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調
        「ハンマークラヴィーア」op.106

ラフマニノフ:10の前奏曲 op.23より
       1.嬰ヘ短調 2.変ロ長調 3.ニ短調 4.ニ長調
       5.ト短調 6.変ホ長調 7.ハ短調
ラフマニノフ:13の前奏曲 op.32より
       10.ロ短調 12.嬰ト短調 13.変ニ長調
お問い合わせ先 ABCチケットインフォメーション
06-6453-6000

エフゲニー・キーシン ロンドン公演レポート

 実のところ、しばらくキーシンの演奏を聴いていなかった。最後に聴いたのは、コリン・デイヴィス/ロンドン交響楽団とベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を演奏・録音していた頃だったのではないだろうか。その時の印象は、30代に入って天才ピアニストのイメージを脱皮すべくベートーヴェンの大作に取り組み、またオーケストラとの対話を通して音楽家としての自分を深めようと模索しているというものだった。
 それから十年以上たったが、今回のロンドンでのリサイタルでキーシンがメインに据えたのもベートーヴェン、しかもピアノ・ソナタのうちもっとも壮大かつ難曲の《ハンマークラヴィーア》。その演奏には、十年前にはまだなかった大家の風格が感じられ、キーシンが40代を迎えて円熟期にきていることを実感した。若い頃の彼は、神か宿命か、外から突き動かされるかのように弾いていると思うこともあったが、今回《ハンマークラヴィーア》を奏する姿からは、自身のピアニズムをさらに極めようとするキーシンの内なる意思の強さが感じられ、聴衆は最初の和音から彼の気迫に圧倒されっぱなしだった。
 今回改めて驚いたのはキーシンの打鍵の強靭さだ。《ハンマークラヴィーア》の第1楽章の主要主題の輝かしさ、一つ一つのスフォルツァンドのアタックの鋭さ、対位法部分での各声部をくっきりと浮かび上がらせる手腕。それはベートーヴェンを初期ロマン派の詩情からとらえるいわばヒストリカルなアプローチとは一線を画し、時代を超越する大作として、スタインウェイ・コンサート・グランドの輝かしいサウンドをフルに活かしたきわめてモダンなベートーヴェン像なのだ。
 続くスケルツォ楽章はすごいドライブ感で一気に駆け抜ける。個人的にはここはユーモアあるいは諧謔性で一呼吸入れたいところではあるが、キーシンは前進あるのみ。キレッキレのリズムと集中力で脇目も振らず弾き切る。
 しかし、この曲の心臓部ともいえる長大かつ深遠なアダージョ・ソステヌートでは、一転して抒情的な表情を見せ、息の長いフレーズ感と和声感によって曲のエモーショナルな核を掘り下げていく。とりわけクライマックスに上り詰めるところでは並々ならぬ気迫を感じた。そして終楽章ではふたたび強い意思をもってフーガを展開、最後まで息をつかせない圧倒的な演奏だった。
 ほとんどのピアニストがプログラム後半に持ってくる《ハンマークラヴィーア》を前半で弾いてしまうところがキーシンの凄いところだが、後半も十分に重厚感のあるプログラムで、ラフマニノフの《前奏曲集》作品23と作品32のから合計10曲をセレクト。母国を離れて久しいキーシンだが、ラフマニノフを弾く時にはいくばくかの郷愁を感じるのではないだろうか。ロシアの大地を思わせる骨太な響きと力強いタッチで、一曲一曲のキャラクターをダイナミックに描いた躍動感のある演奏であった。個人的には、作品23-3の前奏曲の歯切れの良いリズムと低音域の重厚さ、作品32-12の流れるような右手の分散和音のもとで展開される陰影に富んだメランコリックな旋律が印象に残った。
 これだけ弾いてもまだまだエネルギーたっぷりなキーシンは、聴衆のスタンディング・オヴェーションに応えてさらにアンコール4曲を披露。スクリャービンの前奏曲作品2-1に続いて、キーシン自身作のジャズ風の《トッカータ》——ここではエンタテイナーぶりを発揮してとても楽しそうに弾いていたのが印象的。さらにラフマニノフのポピュラーな前奏曲作品3-2で聴衆を沸かせ、最後はチャイコフスキーの《瞑想曲》で締めくくった。英国の聴衆はカーテンコールでの拍手はわりとあっさりしているのだが、この時ばかりはキーシンが舞台を去ったあともしばらくホールは興奮のうずに包まれていた。(3月29日、ロンドン、バービカン・ホール)

文:後藤 菜穂子(音楽ライター/ロンドン在住)

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巨匠への道を歩む永遠のスター!
エフゲニー・キーシン ピアノ・リサイタル

 1971年、モスクワ生まれ。10歳でモーツァルトのピアノ協奏曲を弾いてデビューした天才も世界的なキャリアを重ね、巨匠への道を着実に歩んでいます。ザ・シンフォニーホールには4年振りの登場。「聴衆のために演奏する時に、よりインスピレーションを感じ」、過去には興に乗ってアンコールが延々続いたという逸話も持つ彼の演奏は、まさにライブならではの魅力にあふれています。並外れた技巧に裏打ちされた解釈と演奏は難曲であるほど真価を発揮しますが今回も魅力的なプログラムが並びました。
 前半はベートーヴェン。昨年発売されたピアノ・ソナタ集でも堂々たるベートーヴェンが聞けましたが、今回は後期の傑作「ハンマークラヴィーア」。全4楽章からなる大曲ですが、後期独特の哀しくも透明な美しさに満ちた第3楽章からベートーヴェンが到達したピアノ音楽の頂点とも言える壮大な終楽章をキーシンさんが弾き切る姿を思うと今から感動的です。
 後半はロシアの香り漂うラフマニノフの前奏曲選集。メロディー・メーカー=ラフマニノフならではの美しい曲から自身が稀代のヴィルトゥオーゾ・ピアニストだからこその超絶技巧曲まで聴き応えたっぷりです。ご期待ください!

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