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中学校から部活動がなくなる!? 教員の負担軽減で進む“地域移行” 課題は財源確保

05/29 10:51

 運動部活動の地域移行に関する提言案というものが、先月スポーツ庁に出されました。

 内容をひとことでまとめると「中学校から部活動がなくなる」かもしれない。

 なぜこういったことになるのか。提言案の中にはこう書かれています。

 「2023年度から公立中学校の運動部活動を地域団体に移行する」「指導は教員ではなく、外部指導者が中心に行う」。

 なぜこうなるのか?主な理由は「教員の労働環境改善」。

 大阪市の場合、就業規則では教員の1週間の勤務時間は38時間45分ですが、実際は・・・63時間20分働いていることが、2016年の教員勤務実態調査でわかっています。

 実際に部活動を担当している先生の1日を見てみると、とても多忙。

 朝練のため午前7時半に出勤。

 午後4時まで授業があり、その後2時間の部活動指導。

 さらにその後、提出物のチェックや翌日の準備などで帰るのは午後8時半ごろ。

 部活動の時間がなくなれば、退勤時間が2時間早くなるというわけです。

 教員は平日にいくら残業しても残業代が出ないと法律で決まっていますので、これまで部活動は教員のボランティアに近い形で運営されてきたということです。

 しかし、部活動が地域に移行するとは具体的にどういうことなのでしょうか。

 先行して実施している中学校の部活動をのぞかせてもらいました。

 先週土曜日、岐阜県羽島市にあるグラウンド。

 練習をしているのは、羽島市立竹鼻中学校の陸上部です。

 (外部コーチ)「体幹トレーニングの用意して。1年生は2年生3年生のマネして」「その状態で右手と左足をあげる」。

 指導をしているのは小森博昭さん。学校の先生ではなく社会人の外部コーチです。

 ちなみに選手時代は国体に出場。指導歴も40年以上というベテランです。

 竹鼻中学校では去年から全12クラブで、平日は学校の顧問の先生が、土・日は外部コーチが指導する形になっています。

 そう、スポーツ庁での検討が始まる前から地域移行を進めていたんです。

 移行のきっかけは「保護者の声」でした。

 (小森博昭陸上部外部コーチ)「部活をなんとか保護者の手から放す。少しでも保護者を楽にする方法がないかというようなお話を受けまして」。

 おととしまで、お茶の準備や練習スケジュールの連絡など、保護者が当番制で部活動に参加していて負担になっていました。

 この解消方法を検討した結果「どうせなら生徒たちのプラスになる改革を」となり、土日の指導を専門的な指導者がいる外部のスポーツクラブに依頼。

 保護者の負担もすべてなくしたのです。

 (小森博昭陸上部外部コーチ)「保護者の方も、それから子どもも、非常に満足していると」「子どもがしっかり練習できるようになったと。それから指導もしっかりしていただけるようになったということですね。保護者の方々については、保護者当番というのが少なくなったので負担が少なくなくなったと」。

 先生たちの労働環境についても、大きく改善したと校長先生は話します。

 (森山健竹鼻中学校校長)「(先生方は)土日のシフトでは、自分の生活を見直せるようになった。時間的なところでも非常に有意義に働いています」「一番大きいのは、それぞれの種目の専門性が担保できることです。先生で剣道を教えられないとか、バスケット初めてという人たちがいて、そこで部活動を一生懸命やる子どもへの指導が課題になるんですけれども。そのところで専門性が土日については持っていける」。

 生徒、保護者、先生と三方良いことづくめ、のように見えますが・・・。

 (羽島市スポーツ推進課・中尾聡係長)「財源の確保という部分が大切なことになってくるかなというふうなことを思っています」。

 こう話すのは、羽島市の部活動地域移行をリードしてきたスポーツ推進課の中尾さん。

 竹鼻中学校の元先生で、剣道部の顧問でした。

 現在、保護者の負担は年間6800円。

 指導者の報酬は1回2~3時間の指導で1000円です。

 (記者)「1回1000円ではさすがに安すぎるのでは?」

 (羽島市スポーツ推進課中尾聡係長)「社会人コーチの昨年度のアンケート結果では、お金という部分よりかは子どもたちの成長を近くで見られていることに関して『ありがたい』という指導者の方々が非常に多いという部分で・・・。ですが、今後は少しずつ見直していくということも、指導者の方にも十分説明はさせていただいていると聞いています」。

 【取材をしている小城記者の解説】

 羽島市立竹鼻中学校の例は、全国の自治体でもモデルにできる好例だと思います。

 ただ、スポーツ庁は今後土日だけではなく、平日も地域に移行したいとしています。

 これが「中学校から部活動がなくなる」といわれる理由です。

 果たして、それ相応の数の指導者を確保し、それなりの報酬を支払うことはできるのでしょうか。

 実は竹鼻中学校でも、現状では会費だけでは人件費を賄えず、羽島市内の様々なお店から協賛金を得ています。

 これ以上、報酬を上げようと思えば会費を上げるしかありません。

 ただ、部活動はこれまでお金のかからない活動だったこともあり、いたずらな会費の高騰は保護者の理解を得るのが難しいでしょう。

 竹鼻中学校のケースで最も優れているのは、地域移行が「生徒たちのプラスになる改革」としてスタートしていることではないかと思います。

 地元の人たちが協賛金を出してくれるのも、「地元の子どもたちのためだったら・・・」という地元愛です。

 教員の労働環境改善も大切ですが、地域で子どもたちを育てようというのであれば「子ども中心の改革」であるべきだと思います。

 お金がなければスポーツができない、経済格差=スポーツ格差とならない改革をめざしてほしいと思います。

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