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1クラスに担任が3人!? 神戸の小学校で「チーム担任制」試験導入 教師は負担軽減も生徒たちは?見えてきた課題も

05/18 18:37 配信

 神戸市灘区にある摩耶小学校。ここで6年生を受け持つのは、大路明徳さん38歳です。この学校に赴任してから2年目のこの春、「チーム担任制」により子どもたちの学び場が大きく変わろうとしています。

 通常、小学校では1人の担任が全教科を指導する事がほとんどですが、大路先生は1組での朝の会を終えると、2組の教室へ移動し、1限目の社会の授業を始めました。

(大路先生)「区民からの税金でこの年470億円。1人なんぼ払ってるんやろ?算数みたいになってきたけど、何があったら分かるかな?」
(児童)「市民の数」
(大路先生)「そう足立区民の人数でわかるよな」

 授業が終わると再び移動。今度は1組で社会の授業を始めます。

 この小学校では、2クラスある6年生について、担当教科を3人の教員で分担しています。さらに、担任は固定されておらず、週単位の交代制です。

 この仕組みは「チーム担任制」と呼ばれ、今年4月から神戸市の4つの市立小中学校で試験導入されています。

(大路先生)「きょうわたしは1組の担任をしていますが、来週は2組の担任をします」
「(チーム担任制は)すごくいいですね。小学校なんで、ほんとは全教科教えるんですけど、国語もしませんし、理科もしませんので、その分社会と算数に授業については倍以上の時間がかけられます」

 子どもたちも抵抗は少ないようで…
「1週間ごとに先生が変わるので、その先生と仲が深まったりして、いいかな」
「(Q.(先生が)入れ替わっても問題ない?)「ないっす!」

 『チーム担任制』の導入から1ヵ月半。業務分担による負担軽減などメリットもある一方で、徐々に課題も見えてきています。

(大路先生)「子どもたちの不安として、自分のクラスだけの先生ではないという意識があるんじゃないかなと思う。放課後、どれだけ子どもたちの様子を、ほかの6年の担任団と共有できるかが重要と思います」

 子どもたちが帰った放課後、職員室を覗いてみると…。

(大谷先生)「体育の時間、○○さん座っていたけど、足は大丈夫ですか?」
(大路先生)「急に身長が伸びたから、膝の曲げ伸ばしが痛いって」
(大谷先生)「肉離れとかではない?」
(大路先生)「ではない」

 子どもたちのためにも、日々こうした情報共有が欠かせません。

(浦下愛先生)「ほんの5分10分休みとか掃除の時間とかに、『さっきこんなことがありました』と会う度に共有してっていうのが大事になってくるかと思います。最初は不安のほうが多かったけれど、やってみるとすごく楽しいし、やっていてよかったなと思う」
(大谷亜美先生)「今まで(児童と)深めきれていた部分を埋めていくことは、教師1人1人が意識しないといけないと思います」

 固定した担任を置かない大胆な取り組み。今後、神戸市は試験導入した学校や保護者などの意見などをとりまとめ、広げていきたいとしています。

(神戸市教育委員会学校教育課・森康博課長)「教員同士が連携し補完し合うことによって、各教員の資質、指導力の向上に繋げていきたい。ただ、最も大きいところは、『チーム担任制』によって、児童生徒がどのように育っていくかというところです。『じりつ』ですね。自分で律すると書く『自律』と自分で立つという『自立』。そういう成長を促していくことに繋げていきたい」

最終更新:05/18 18:45

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