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2億円超の現代美術品 地下駐車場で6年保管 大阪府が収集 美術館構想も...財政難で中止のため行き場失う

07/25 19:12 配信

大阪府の行政の中枢を担う咲洲庁舎(大阪・住之江区)。
建物の1階をのぞくと、多くの芸術作品が展示されています。
その地下駐車場に向かってみると…驚きの光景が広がっていました。

「大阪府咲洲庁舎の地下にある駐車場です。こちらの壁際にあるシートの下には府の所蔵する美術作品が保管されています。」(記者リポート)

およそ車30台分の駐車スペースに、ところ狭しと置かれた芸術作品の数々…

価値のあるものも多く、その数は105点。
評価額は2億円を超えるといいます。

「基本は平おきにしている。出し入れも難しい立体作品がほとんど。」(大阪府文化課・北之間秀総括補佐)

一見するときれいに保管されている作品ですが、よく見ると。
シートが剥がれ梱包が丸見えに、中には作品が剥き出しになっているものもあります。

大阪府によると、2017年から地下駐車場で作品を保管しているといいますが、きっかけは今から35年前に遡ります。

1980年代後半、大阪府では美術館を建設する案が浮上しました。
それに合わせ多くの作品を収集しましたが、財政難のため計画は中止。

評価額45億円、約7900点にものぼる現代美術の数々は行き場を失いました。

府はそのまま展示しないわけにもいかず、知事室など府庁の至るところに画を飾るなどしましたが、それもほんのひと握り…。

2012年に新たな展示スペースを作り、大半は収蔵されるも一部の大型作品が入りきらず。

その後、展示されることはなく今の状況に至ります。

ただ、その保管状況は決して丁寧と呼べるものではありません。

作品はフェンスで囲まれていますが、人が簡単に出入りすることができるうえ、作品に対する防犯カメラはありません。

また、過去には配管から水漏れがあり、作品の一部が濡れてしまったことも。

府は“苦肉の策”としていますが、作品関係者は憤りを隠せません。

彫刻家で京都市立芸術大学名誉教授の中ハシ克シゲさんは、自身の作品が解体され、地下駐車場に置かれている姿を目にしたときは、ショックを隠しきれなかったといいます

「湿度、温度を管理する設備があって、美術館保存庫に準ずる保存をしているものだと思っていた。作家に対する、作品を買った人の礼儀だと思う。保存が悪いと、(作家の)生き方がよく見えてこない。それもちょっと汚れてみえる。残念だなと思う。」

最終更新:07/25 19:12

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