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発生から40時間以上…いまも車1台が下敷きか 現場では5月にも大雨で土砂崩落 手続きミスで復旧工事に遅れ 気温差24℃で「凍結融解」起きたか

12/25 18:23 配信

 奈良県で発生した土砂崩れ。今も車1台が下敷きになっているとみられ、捜索活動が続いています。現場は5月にも土砂崩れが起きていますが25日、奈良県は復旧工事が手続き上のミスで遅れていたと明らかにしました。

(古川昌希アナ)「大きな重機が見えてきました。その奥は、今なお大量の土砂が山から道路に流れ出ています。右側を見ますと、補強したはずの金網などをそのまま巻き込むようにして、道路に崩れ落ちているのがわかります」

 23日、奈良県下北山村で起きた土砂崩れ。国道169号の斜面で高さ約40メートル、幅30メートルほどに渡って崩落した現場。
 この土砂崩れで軽自動車が巻き込まれました。運転していた53歳の男性は救助されましたが、他にも少なくとも1台が巻き込まれた可能性があるということです。

 今回なぜ土砂崩れが起きたのでしょうか?現場付近ではこの3日間、雨は観測されていません。

 現地を視察した専門家は―
(京都大学 大西有三名誉教授)「まだわかりませんけど、凍結融解の結果じゃないかなと」

「凍結融解」とは、土や岩盤に含まれる水分が寒暖差で凍ったり溶けたりを繰り返す現象です。大西名誉教授によると、凍結融解で地盤が弱くなって土砂崩れが発生したのではと指摘します。

 実はこの場所、過去にも土砂崩れが起きていました。今年5月、大雨の影響で斜面が崩れ、県は仮設の防護柵を設置し、片側交互通行をしたうえで復旧工事を10月に行う予定でしたが…

(県の担当者)「順当にいけば9月くらいに着手出来る予定でしたが、入札契約の手続きで事務的なミスがあり、入札を取りやめることになりました。期間は2~3ヵ月遅れていると」

 遅れていた復旧工事。予定通り10月に始まっていれば事故は防げたのでしょうかー
(県の担当者)「5月に起きた崩落の復旧工事で、今回の崩落が防げたかどうかというのは分からないところです。今後、有識者会議を開いて原因究明をしっかりと行いたいと」

【古川昌希アナ中継】
 国道169号の土砂崩れのあった現場付近に来ています。カーブが続く片側1車線の山道で、大阪・奈良市方向、和歌山県新宮市に繋がる、地元の人にとって非常に重要な生活道路なんだそうです。

 土砂の撤去作業には二次災害の危険があるということで午後4時ごろ、無人で斜面の土砂を撤去できる「ロッククライミングマシーン」という重機が現場に搬入されました。
 まず、遠隔操作で崩れそうな土砂を掻き出した上で、斜面を補強して作業を進めていくということです。
 この撤去作業が終わり次第、巻き込まれたとみられる車の救出作業に取りかかるということです。

 この辺りは気温差が激しかったということで、12月の最高気温は21.6℃と4月並みの気温でしたが、最低気温は-2.2℃と、平年の冬に比べてかなり気温が下がっていたということです。
 この24℃近い極端な気温差によって「凍結融解」が起きてしまったのではないかということです。

最終更新:12/25 19:31

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