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「娘を抱きしめたい。生きていてほしかった」俳優死亡問題で遺族側が合意書締結 宝塚歌劇団と阪急阪神HDは14のパワハラ認め謝罪 

03/28 17:54 配信

 28日午後4時から始まった宝塚歌劇団側の緊急記者会見。

(阪急阪神ホールディングス・嶋田泰夫代表取締役社長)「ご遺族の皆様がどのようなご心情であるかを思いまするに、取り返しのつかないことをしてしまいましたことにつきまして、申し開きのしようもございません。改めてこの場をお借りいたしまして、ご遺族の皆様に心より謝罪を申し上げたいと思います。誠に申し訳ございませんでした」

 宝塚歌劇団を巡っては去年9月、宙組に所属する女性が死亡。遺族側は上級生からのパワハラなどが原因だったとして謝罪と補償を求め、歌劇団側と複数回協議を重ねてきました。

(阪急阪神ホールディングス・大塚順一執行役員)
「昨年11月以降、ご遺族代理人と当方代理人を通じて話し合いを継続してまいりました。12月にはご遺族代理人から意見書をいただき、パワーハラスメントに当たるさまざまな行為について、ご遺族の考えをお伺いしました」
「ご遺族の思いを重く受け止め、ご本人に長時間の活動を余儀なくさせ過剰な負担を生じさせたこと、劇団内において厚生労働省の指針に示す職場におけるパワーハラスメントに該当する様々な行為を行ったことによって多大な心理的負荷を与えたこと、劇団に安全配慮義務違反があったことを認めて、本日ご遺族におわびを申し上げました」
「なお、ご遺族代理人が去年12月に発表された際には、主要な行為が15件あるとされておりましたが、ご遺族と様々なお話し合いを重ねてきました結果、最終的に14項目に整理して合意したものでございます」

(宝塚歌劇団・村上浩爾理事長)
「理事長として改めておわび申し上げます。劇団員をはじめとする出演者やスタッフは、時間的にも精神的にも追い詰められた状況に置かれておりましたが、そのような状況を放置し、またその中で行き過ぎた指導叱責がハラスメントに該当する可能性があることや、互いに尊重し合う関係のあり方などについて考えるような、教育研修の機会を設けることをしなかった私どもの責任は極めて重いと考えております」

 一方、遺族側も歌劇団側と同じ時刻から会見を開きました。

(遺族代理人・川人博弁護士)
「『外部の調査チームによる事実解明』という装いを作ってパワハラの存在を否定し、自らの責任やパワハラ行為者の責任を否定した」
「本合意書は、阪急・劇団側の不当な対応を変更させ、調査チームの結論を覆したものであり、その意義は大きい」
「パワハラ行為を行なった者のうち、相当数が個人として遺族に対し謝罪文を提出したことも、個人責任をあいまいにしない意味で重要な意義を持つ」

 会見の最後に、代理人弁護士は遺族の手紙を代読しました。
(遺族の手紙)
「あの日から季節は幾度か変わりましたが、私たちの時間は止まったままです。娘を思わない日はありません。娘に会いたい、抱きしめたい、ここに居てくれたら、と1日のうちの瞬間瞬間に何度も思っています。そして助けれらなかったことを悔い、娘に謝っています」
「パワハラがなかったことを前提に作られた調査報告書は、パワハラは一切なかったという、ひどい内容でした。『証拠があるなら、ぜひお見せいただきたい』と画面越しに挑んでこられた劇団の記者会見は、いまでも鮮明に覚えています」
「言葉では言い表せないたくさんの複雑な思いがあります。娘に会いたい。生きていてほしかったです」

最終更新:03/28 17:54

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