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東大寺「東塔」の高さは当時最大級の68メートル 平安時代に焼き討ちで消失 奈文研が復元めぐり調査結果

04/25 17:00 配信

 奈良市の東大寺にかつてあったという2基の塔の復元に向け調査を進める奈良文化財研究所(奈文研)は、2基のうち「東塔」と呼ばれていた塔の高さが約68メートルだったという調査結果を発表しました。当時としては最大級の塔だったとみられています。

 奈文研によりますと、東大寺では奈良時代に大仏殿の南に2基の七重塔が東西に建てられました。

 そのうち東塔は平安時代に焼き討ちで消失した後、鎌倉時代に再建されましたが、1362年に雷で再び焼け落ちました。現在は、塔を支えていた壇の高まりだけが残っています。

 東大寺は東塔の復元を目指していて、2015年に周辺の発掘調査を始め、2018年に奈文研へ復元研究が委託されました。

 奈文研は25日、6年に及ぶ調査研究の報告書をまとめ、ウェブサイトで公開しました。

 東大寺に伝わる文献などを調査した結果、奈良時代に建てられた東塔の高さは約68メートルあり、鎌倉時代に再建された塔も96メートルあったことがわかったということです。

 奈文研はいずれも当時、国内では最大級の高さだったとみています。

 奈文研の目黒新悟研究員は「現存しない七重塔の復元を、より精緻な検討を重ねて実証的に行ったほぼ初めての事例であり、古代東アジアの木造塔を考える上で貴重な一事例となる」と話しています。

 今回の調査結果について、日本古代史を研究する東大寺史研究所所長の栄原永遠男さんは、「文献と発掘調査と構造解析という3つが組み合わされた研究はこれまでなかった。報告書は今後、古代の研究の基礎的データになる」と評価しています。

 東大寺は「東塔の姿を知りたいという思いに一つの答えをいただいた」とした上で、「東塔の復元研究における新たな論点が示された。史跡の整備や伽藍の復興を進める上で考慮すべき重要な研究成果である」と期待しています。

最終更新:04/25 17:00

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