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兵庫県の前総務部長が、職員のプライバシー情報を県議らに漏えいし、第三者委員会から「『根回し』の趣旨で漏えいを行った可能性が高い」と指摘されている問題。「根回し」と呼ばれる前総務部長の行為について、県職員や県議らからは「今回の行為は『根回し』とは言わない」「意図が分からない」などの声があがっています。

調査にあたった県の第三者委員会は２７日、前総務部長の井ノ本知明氏が県議３人に対し、斎藤知事らを告発した元県民局長のプライバシー情報を漏えいしたことを認定しました。調査報告書では、情報漏えいについて、「知事からの指示およびこれと同調する元副知事の指示により」「根回しの趣旨で行った可能性が高いと判断せざるを得ない」と結論づけています。

一方、井ノ本氏は、「職責として正当業務を行ったに過ぎない」と主張しています。

報告書に記載されている「根回し」。県職員や県議に聞いてみると今回、井ノ本氏が行った「根回し」は異例の行動だといいます。

ある県職員は、そもそも「根回し」という行動について「根回しは昔からよくあること。常任委員会の委員長や、各会派の執行部に対して、個別に説明するケースが多い。議案や、重要な政策をスムーズに通すため。部長が１人で行くことは珍しいが、ありえないことではない」と、通常業務だといいます。

一方で、別の職員は、井ノ本氏が行ったとされる今回の「根回し」は、業務とはかけ離れた異例の行動だと話しました。「根回しする情報は、大前提として、いずれ公開される情報。だから、今回の件で井ノ本氏が『職責としての正当業務』と主張していることは疑問」「ましてや、プライベートな個人情報が入った資料を持ち歩いて、議員に見せるような行為を『根回し』とは言わない」

また、複数回の当選経験がある県議は、「私は根回しされたことがないし、そんな行為は聞いたことがない。井ノ本氏がなぜ３人の県議に漏えいしたのか意図が分からない」と疑問を呈しました。その上で、「元県民局長の信用を貶めるような、何らかの意図があったと思われても仕方ない」と語気を強めました。

斎藤知事は委員会の聞き取りで、井ノ本氏の漏えいについて、「独自の判断で、議会側との情報共有（いわゆる根回し）をしたものと思う」と説明しています。漏えいの指示については否定していますが、組織のトップとしての責任をとるため、給与カットなどを検討しているということです。