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【参院選】政治学者が読み解く「選挙とSNS」② SNSのコメント欄「これが世論」と勘違いの可能性 書き込む人はごくごく一部 コメ欄にあふれる反対意見で「意思表示ができなくなる」
07/02 11:27 配信
今月20日に投開票される参議院選挙。XやYouTubeなどSNS上では候補者や支援者の投稿が活発になってきました。
編集されていない「生」の情報に触れられる反面、精査されていない「誤った」情報も同時に流れるSNS。
選挙時に私たち有権者はどう活用すべきか。政治学の博士で陰謀論の研究などを行う、大阪経済大学の秦正樹准教授に話を聞きました。
全3回連載の2回目、テーマは「コメント欄が与える影響」です。
■SNSの一次情報以外に、YouTubeやYahooニュースの「コメント欄」にも意見があふれています。有権者に与える影響はどのぐらいありますか?
--「YouTubeの動画を見る行為は、元々その動画にシンパシーがないと見ないと思う。興味がない動画を20分見続けるのは地獄なので。なのでコメント欄で意思が変わる事はなく、『こんなに仲間がいるんだ』と思う効果はあるのではないか」
--「Yahooニュースには芸能や政治家の不倫などジャンルが沢山ありますが、僕が見ている限り、外交安全保障に関しては保守寄りな感じがする。実際に研究結果も出ていて、Xですが、保守系ポストの方がリベラル系ポストより3.5倍ほど中間層に届きやすいという研究結果がある。なので中間層の人は、『これが世論なんだ』と勘違いする事があるかもしれない」
■コメント欄の意見に、意思・考えが引っ張られてしまう可能性はあるのか?
--「調べたことは無く、研究してみたいですけども。例えば『沈黙の螺旋』という心理学上の現象があります。コメント欄が『減税に賛成』という意見であふれていた場合を仮定すると、財政規律を大切にしたい方は意見を表明しにくくなる。世論調査でも、いわゆる『増税派、もしくは現状維持派』は一定数いるのは分かっていますが、コメントの流れで『そこそこ規模がある意見の1人』だということが認識できなくなり、意思表示を控えてしまう」
■リアルな世論と、コメント欄の世論は決してイコールではない?
--「絶対違います。ヤフー側もコメント要件を厳しくしたり、AIで専門家コメントを上にしたり、誹謗中傷も消すようにしていますが、その問題に考えを持つ人の意見にすぎない。選挙の投票率から見ても、そもそも参加している人は成人の半分に過ぎず、コメント欄に意見をしている人は、さらにそのごくごく一部に過ぎない」
次回、3回目のテーマは「フェイクニュースと陰謀論」です。
最終更新:07/02 13:05


