関西ニュースKANSAI
【参院選】政治学者が読み解く「選挙とSNS」③ 陰謀論を信じやすい人の特徴は? 権力者が「あたかも事実のように発信」で広がるフェイクニュース
07/02 11:27 配信
今月20日に投開票される参議院選挙。XやYouTubeなどSNS上では候補者や支援者の投稿が活発になってきました。
編集されていない「生」の情報に触れられる反面、精査されていない「誤った」情報も同時に流れるSNS。
選挙時に私たち有権者はどう活用すべきか。政治学の博士で陰謀論の研究などを行う、大阪経済大学の秦正樹准教授に話を聞きました。
全3回連載の3回目、テーマは「フェイクニュースと陰謀論」です。
■フェイクニュース・陰謀論とはどのようなものですか?
--「両方とも様々な意図があって生まれてくるもの。フェイクニュースは単純に事実ではないものを発信することで、陰謀論は、何か目に見えない闇の企みがあり、それが現実で起きていると考える思考様式そのものです」
■米トランプ大統領は、自身の発言がたびたび「フェイク」だと大手メディアに指摘されています。
--「トランプ大統領関連のフェイク・陰謀論は、大統領自身が発信して広まっている。一方でQアノン(世界は闇の政府によって支配されているなどと考える陰謀論)は、日本でいうネット掲示板のようなものから始まり、尾ひれがついて広まっている。ほとんどの陰謀論は発信してすぐに消滅するが、インフルエンサーや政治家などが『必ずしも嘘とは言えない』と発信すると、一気に拡大する傾向がある」
■フェイク・陰謀論の広がり方について
--「政治の世界においては、支持政党が支持を広げるためではなく、ライバル政党が相手を落とすために広げている側面が強い。一方、日本では陰謀論はそこまで広まっていない。日本の多くの有権者の党派制がそんなに強くないからだと思っている」
■日本での陰謀論の広まり方
--「日本では、一部の小政党の支持者の間でその傾向が見られる。小政党の支持者は熱量が強い。支持する気持ちがすごい強く、そのパッションが、陰謀論を陰謀論と認識する前に拡散してしまう。それが広がるのは支持者の間だけですが、対立する人がそれを『また陰謀論を言ってる』などと言い、対立の種になってしまう」
■陰謀論に染まりやすい人とは?
--「主なものでいうと、いわゆる『ぼっち』。中高時代に孤独感を感じていた人は陰謀論に染まりやすいというのが大規模な調査で明らかになっている。他にも、ある情報を見たときにしっかり考えてから答えを出す人よりも、脊髄反射的に答える人の方が、陰謀論を信じやすい。収入や性別は関係無く、金銭に余裕がある人物でも陰謀論支持者は沢山いる」
■陰謀論に染まらないための対策はあるのか?
--「皆さん聞かれますが、ありません。なぜなら人間は誰しも陰謀論的思考を持つからです。僕の調査だと、4割程度の人がなんらかの陰謀論を信じている。政治の陰謀論に特化し対策をお話するとしたら、『ほどほど』がキーワードです。自分の意見を持たなくて良いわけじゃないですが、党派的な関心や個別政策に対する関心を、ほどほどに抑えておくのが自衛策だと思います」
--「自分と違う意見を定期的に確認することが大事です。『自分と違う意見なんて、Xを見てもYouTubeを見ても、出てこないよ』という人は、フィルターバブルにどっぷりはまっている証拠です。」
最終更新:07/02 13:05


