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「本当にこの6年半は必要だったのか」 京都大学吉田寮の立ち退きめぐる訴訟 学生と大学が和解 来年3月末で退去へ
08/25 19:45 配信

1913年に建設され国内最古の学生寮とされる京都大学の吉田寮に住む学生らに大学側が老朽化を理由に立ち退きを求めていた訴訟で、25日、2審の大阪高裁で和解が成立しました。
吉田寮を巡っては老朽化した「現棟」の補修を巡り学生側は建物を生かした耐震工事を提案しましたが、大学側は多額の費用がかかることを理由に全面的な建て替えを求めて折り合いがつかず2017年に、大学側が学生に退去を求める訴えを起こしました。
2024年、1審の京都地裁は判決で「大学側が老朽化を理由に退去を求めることができるという規定が存在しない」として17人中14人の学生が勝訴し、大学側が控訴していました。
今回成立した和解の条件は、8つの項目にわたります。主な条件は、「被告となった学生らが吉田寮のうち現棟を来年3月末までに明け渡すこと」、そして「大学側が5年以内に耐震(建て替え含む)工事を完了させること」というものです。退去した学生らには、大学側から吉田寮と同額の家賃で代わりの宿舎が提供されます。
和解成立後に会見に臨んだ吉田寮の学生の1人は、今回和解に応じた理由について「現棟をこれからの人に残したいという思いから難しい決断だった」と話しました。そして、裁判を終わらせることができたことは評価しつつも、和解の条件となった現棟からの退去などは「(訴えを起こされる前に)我々が提案した骨格とほぼ重なっている。本当にこの6年半は必要だったのか」と複雑な心境を語りました。
また和解条件の一つである現棟の工事は、「耐震(建て替えを含む)」と表現されていて、今の建物を残して耐震工事をするのか、全面的な建て替え工事をするのか、今後、現棟の建物がどうなるのかという詳細は分かっていません。和解条件の中には大学側に「可能な範囲で工事計画を公表すること」という条件も含まれていて、現棟がどのような形で工事されるのかが注目されています。
和解の成立を受けて京都大学は、「耐震性能が不足する現棟に居住する学生の退去が実現する見通しとなったことは、大きな進展であると受け止めています。耐震工事(建替工事を含む)について検討を進めて参ります」としています。
最終更新:08/25 19:45