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大阪・関西万博 「メトロストップ」で来場者助けた“神対応”のウラ側は・・・? オランダパビリオン スタッフも帰ることが出来ない中“ハッピーになってもらいたい!”朝まで献身続ける

09/01 16:58 配信

 8月13日夜、大阪・関西万博の移動の“生命線”とも言える大阪メトロ中央線がトラブルのため運転を見合わせ、約3万人が足止めになる事態が起きました。

 来場者が「交通手段1つしかないから…困りますよね」「どうしようか本当に…帰る方法がないなという状況です」と嘆く中、運転再開を待ち、多くの来場者が万博会場に朝までとどまったこともあり、“オールナイト万博”ともいわれました。

 記者が状況を取材しに会場に入ると、そこには深夜と思えない光景が。

(高橋大作・万博担当記者リポート)
「かなり重低音の音楽が鳴っています。ポルトガル館ですね、午前2時なんですが、重低音の音楽が鳴り響いています」

 複数のパビリオンや万博協会が、深夜から夜明けまで来場者のためにさまざまなサービスを提供していました。

 そんな中、とあるパビリオンには、深夜の午前2時を回っても、数百人の行列が出来ていました。

■来場者に水やクッキーだけでなく「ミッフィーの耳」を配る!記念撮影まで応じたのがオランダパビリオン

 オランダパビリオンです。

 来場者に水やクッキーを配り、パビリオンを開放。また、いつ配布されるかわからないため、ファンの間では密やかに「レアアイテム」とも言われている“ミッフィーの耳”も配り、「ミッフィー」との記念撮影までサービスを提供していたのです。 

 オランダパビリオンなど、協会だけでなく複数のパビリオンが協力し、会場にいた人々が一丸となって“危機”を乗り越えました。

■「せっかくならハッピーになってもらいたい!」スタッフも帰路に困る中交代で来場者を“おもてなし”

 パビリオン開放のウラ話を聞こうとオランダ館を訪ね、プロジェクトマネージャー補佐のナルディ・ヨンカースさんに話しを伺いました。

話:ナルディさん
「私たちが駅からパビリオンのオフィスに戻り過ごしていると、夜間の警備員が来て、『お客さんが中に入りたいのだがいいか』と尋ねられた。人々は(パビリオンで)クールダウンが必要だと思ったし、のども乾いていると思った。何人かのスタッフと箱に水を詰めてお客さんに届けにいった。
 その際にクッキーもあるんだから中に入ってもらって配りましょう、となった」

 ナルディさんたちもメトロストップを受け、20人ほどのスタッフが残る中、「せっかくならお客さんにハッピーになってもらいたい」と、来場者に涼んでもらうためにパビリオンを開放し、備蓄していた水やクッキーを配ったといいます。

 最初は水とクッキーを配っていましたが、お客さんから「ミッフィと写真撮ってもいいですか?」と聞かれ、ナルディさんたちは「もちろん!」と即答したそうです。

話:ナルディさん
「ハッピーになってもらいたいと思って。そうすると、すぐ10人、20人、100人と列が伸びていった。自然発生的な事でした」

■様々なイベントを経験したからこそ「冷静に」 “神対応”の根幹には過去の経験が活きる

 「災害ではない、誰も予想してなかったことが起きてびっくりした」と話すナルディさん。

 それでも神対応“できたのは、過去に多くのイベント運営に携わった経験があり、「何が起きても常に冷静にいる」ことを心がけていたからだと話します。
 今回の“オールナイト万博”でも、冷静に対処することができたそうです。

話:ナルディさん
「1人がパニックになると連鎖することを知っています。また、今回は偶然ミッフィのような助けもあり、結果的にステキな夜になりました」

 神対応のウラ側でナルディさんは、夜間の対応のため翌日(14日)の開館時間を遅めたり、翌日のシフトが入ってるスタッフを優先して車で帰らせたりと、来場者を楽しませつつもスタッフのケアも怠りませんでした。

 一方、ナルディさんたちオランダパビリオンのスタッフらは、“来場者”に対して感動したことがありました。
 約3万人もの人が地下鉄が動かず会場にいることを余儀なくされたにも関わらず、私やスタッフに誰一人として、「地下鉄はいつ動きますか?」「(運転再開の)何か連絡が入ってますか?」など、来場者にとって一番気になることを聞いてこなかったそうです。
 
 オールナイト万博は運営側だけでなく、来場者側の中にも「この状況を楽しもう!」とした人々がいたのです。

■翌日14日にたくさんの“感謝”の手紙やEメールが オランダパビリオンは今後も変わらず「冷静な対応続ける」

 オランダ館の“神対応”は、来場者の心も癒やしていました。
 感謝を伝える手紙が数え切れないくらい、翌日以降パビリオンに届いたのです。

 Eメールだけでなく、誰かが会場に来て、スタッフに手渡した手紙まであったそうです。

話:ナルディさん
「(どれくらいの数か)わからないくらい。たくさん。
 パビリオンの責任者や多くの同僚にもEメールが届いていて、『ありがとう』と、特別な時間に対する感謝がつづられていました」

 ナルディさんたちオランダパビリオンにとって、今回の“神対応”の評価はどうだったのでしょうか。最後に伺うと。

話:ナルディさん
「ふり返りや今後のために(13日の出来事から)学ぶことはあるが、今回はちゃんと対応出来ていたかと思う。今回のことで多少、例えばワッフルの備蓄を増やすなど、活かすことはあるかもしれないが、準備や対応を今後も大きく変えることはないと考えています」

 オランダパビリオンはもし今後、こういった“危機”が起きても、冷静に“神対応”を続けるとしています。

最終更新:09/01 16:58

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