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「社会を守りたいと思い…」家宅捜索中に男性に暴行加えけがさせた罪に問われている大阪府警の警察官の裁判 検察は拘禁刑2年6カ月を求刑 弁護側は執行猶予付き判決を求める

12/23 20:05 配信

 家宅捜索中に、捜査対象者に暴行してけがをさせた罪に問われている大阪府警捜査4課(当時)の警察官が、23日の裁判で「社会を守りたいと思って暴行に及んでしまいました」と述べました。

 警察官(休職中)の阪口裕介被告(33)は7月、女性に性風俗店などを紹介するスカウトグループ「ナチュラル」への家宅捜索の際、時長力被告(51)らと共に捜査対象の男性2人に暴行を加え、1人に全治1週間のケガをさせた特別公務員暴行陵虐致傷の罪に問われ、これまでの裁判で2人とも起訴内容を認めています。

 23日、大阪地裁で阪口被告への被告人質問がありました。捜索の主な目的を聞かれると、阪口被告は「ナチュラル」のメンバーが店と連絡をとったり女性の出勤を管理したりするために使っていた「チャットアルファ」と呼ばれる独自のアプリの解析だったことを明かしました。

 アプリには遠隔で中身を消去できる機能があったことなどから、捜査対象者のスマートフォンのパスコードを解除するのが至上命題だったといい、顔認証で解除させるために身体検査令状まで取得していたといいます。

 しかし実際に捜索に入ったところ、捜査対象者は「氏名も言わず、顔認証も目をつむって(解除させないようにして)こちらの言うことを一切聞かなかった」事から暴行に及んだということです。

 阪口被告は「社会にはびこる『ナチュラル』という違法組織を解明して、社会を守りたいと思って暴行に及んでしまいました」「自分のした行為は一線を踏み越えてしまった」と振り返りました。

 一方、弁護側が現場に設置されていた隠しカメラの映像を大阪府警が消去していたことを挙げ、「消したのはあなたですか?」と問うと、阪口被告は「私ではありません」と答えました。

 検察は「捜索目的を成就するためには暴力を加えても構わないというのは独善的な考えで、警察の職務に対する背信行為だ」として拘禁刑2年6カ月を求刑しました。

 弁護側は「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)を壊滅させるという思いや、上層部からのプレッシャーがあった」と執行猶予付きの判決を求めました。

 判決は来月26日に言い渡されます。

 この事件を巡っては、時長力被告の被告人質問が24日に開かれ、同じく捜索にあたっていた警察官4人は11日付けで、特別公務員暴行陵虐の罪で在宅起訴されています。

最終更新:12/23 20:05

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