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アートを通し受刑者の思いに触れる 奈良監獄ミュージアムが来週オープン 独居房や医務所など刑務所での暮らしが明らかに 「何を感じるかはお客様自身」コンセプトは「問いかけ」
04/21 12:00 配信
国の重要文化財「旧奈良監獄」を活用した博物館「奈良監獄ミュージアム」が、来週27日に開館します。オープンを前に一足早く内部が公開され、その内装や展示内容が明らかになりました。
旧・奈良監獄の歴史や刑務所での暮らしについて学べる「展示エリア」は、3つの棟で構成されています。ミュージアムのコンセプトは「問いかけ」だといいます。
受刑者が外の人と面会する接見所だったA棟。旧・奈良監獄の成り立ちやこれまでの歴史を知ることができます。
病気の受刑者を収容する「病監(びょうかん)」だったB棟。現代の刑事施設における受刑者の暮らしや食事について紹介されています。
受刑者の治療や健康管理をおこなう「医務所」だったC棟。「監獄」をテーマにしたアート作品が展示されていて、刑務所のなかにいる人の存在や社会が抱える課題について感じてもらうのが狙いです。
「規律とくらし」がテーマのB棟では、規律・食事・衛生といった視点から受刑者の暮らしや刑務所内のシステムを紹介します。規律に縛られた刑務所の生活を知り、想像し、客観的に見つめることで自分自身の生き方に通じる「問い」に迫ります。
もともと「病監」だった8つの部屋には、それぞれテーマが設定されています。
たとえば「お金」を解説する部屋では、刑務作業で得たわずかなお金で買える日用品を展示しています。
廊下から見える窓の鉄柵はそのまま残されていますが、天井には耐震工事がされています。重要文化財のため、当時の状態をそのまま残しつつも、将来のために保存しようと取り組んでいます。
C棟には、「監獄」をテーマにした国内外のアーティストによる作品が展示されています。
入ってすぐ目に入るのは、天井に届くほどの大きな白い布。奈良少年刑務所にいた200人の受刑者、1人1人の思いを刺繍でつづられた作品です。さらに、絵の具・色鉛筆・ボールペンなど様々なタッチで描かれた絵が並んでいる部屋もあります。
このブースで責任者を務めるのは風間勇助さんです。大学で「芸術と社会を繋ぐ」をテーマに学んでいたとき、獄中で小説家としても活動をしていた元死刑囚を知り、「罪を犯した人の背景」に興味を持ったといいます。その後、刑事事件の裁判を傍聴するなかで「裁判では語られない気持ち」に気づき、3年前から受刑者の作品を集めた「刑務所アート展」を開いているということです。
風間さん
「手続き上の事実ということで刑罰がきまるが、時間が経過してからあのときこういう思いだったんだと語られることがある。変わっていく、ゆらいでいく思いはアート・表現でしか寄り添えない。司法の手続きの中では拾うことができない声があるというのを知っていただけるものになると良いなと思っています」
法務省などによりますと、一部の刑事施設では、更生の一環で絵の具や色鉛筆を使った芸術活動ができます。受刑者の心の安定やストレスを発散させるのが狙いです。
風間さんのもとには、全国の刑務所からこれまでに300点もの絵が届いています。
風間さんは、アートを通じて刑務所や受刑者について知るきっかけをつくりたいと奈良監獄ミュージアムに期待を寄せています。
風間さん
「どれもこれもとてもクリエイティビティにあふれる作品。日常がすけてみえたり、刑務所の中の人たちのことを知る場所にここがなると思うので、刑務所の中の豊かな想像力を感じ取ってほしい」
奈良監獄ミュージアム 八十田香枝館長
「建物・歴史から自分自身でふと日常をふりかえって、『私こんな気持ちなんだ』『これからどうしたいんだろう』と少し良い意味の空間や隙間というものを持っていただいたら良い。何を感じるかはお客様自身が感じていただきたい」
最終更新:04/21 12:00


