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【政権発足から半年】「人に相談せず独断で決める」”高市スタイル”の行く末は? 防衛装備品輸出ルール変更も基準あいまいなまま・・・ 党内や官邸で孤立 ガソリン、消費税減税で誤れば一気に足元瓦解も【政治ジャーナリスト解説】
04/22 19:58 配信
21日、高市政権は発足から半年を迎えました。
同じ日、政府は防衛装備品の輸出ルールを撤廃し、殺傷能力を持つ武器の輸出を原則可能とすることを閣議決定しました。高市政権下で、日本の安全保障政策は大きく転換することになります。
高市総理大臣は、「人付き合いが苦手」と言われていて、自民党とのコミュニケーション不足が指摘されています。また、「消費税・ガソリン価格」への対応について、今後の総理の手腕が試されています。
見えてきた高市総理の課題。政治ジャーナリスト・青山和弘さんの解説です。
今月18日・19日に実施されたANNの世論調査によりますと、高市政権の支持率は62.3%でした。発足以降、急降下することなく安定して同水準を維持しています。
青山さん
「60%台を維持していることはすごいことだと思います。ただ、‶高市カラー"のある政策がガンガン議題に上ってくるのはこれからなので、今後が高市総理の真価が問われるところだと思います」
こうしたなか21日、防衛装備品の輸出ルールが変更されました。
これまで、輸出は殺傷能力のない完成品(5類型)に限られていました。5類型は、救難、輸送、警戒、監視、掃海の分野で、殺傷能力のある武器は輸出が禁止されていました。
この5類型が撤廃されたことで、日本は戦闘機やミサイル、戦車、潜水艦といった殺傷能力のある武器の輸出が可能になります。
日本は長らく武器の輸出に慎重でした。
1967年4月、当時の佐藤内閣が「武器輸出三原則」を表明しました。
(1)共産圏
(2)国連決議で禁じられた国
(3)国際紛争当事国またはその恐れのある国
「三原則」では、以上のような国・地域への禁輸方針を示しました。
さらに、76年には当時の三木内閣が「平和国家の理念」を掲げ、西側諸国などに対しても輸出を慎む方針を示し、武器の輸出は事実上全面禁止とされました。
そこからは徐々に武器輸出の要件は緩和されていき、2014年には当時の安倍内閣が「武器輸出三原則」を撤廃しました。ただし、「殺傷能力のある武器は輸出しない」として、5類型の条件が付きました。
そして今回、高市内閣が「時代が変わった」などと主張し、5類型の撤廃を決めたのです。
武器輸出には条件が設けられました。全面的に可能となる輸出先は、アメリカ・イギリス・フランスなど協定を締結した17カ国です。
輸出先は国家安全保障会議が決定し、国会議員には輸出決定後に文書で通知することとしました。
また、「武器輸出三原則」の(3)にあたる紛争地域への輸出は今後も原則できないとされますが、「特段の事情」があれば輸出できると改められました。
小泉防衛大臣は「特段の事情」について国会で、「どのような場合が該当するか個別具体的に判断されるため一概にお答えできない」と答弁しました。
青山さん
「紛争地域への輸出については、同盟国のアメリカが紛争当事国の場合、アメリカに輸出できないとするのは難しいというケースを考慮しました。その都度判断する余地を残すため「特段の事情」という曖昧な表現を盛り込みました。これに対し、今までの要件とはあまりにも違うとして野党側の批判も集中しています」
高市総理大臣は、取材対応の少なさと、同僚議員との接点の少なさが指摘されています。
取材対応では、「ぶら下がり」と呼ばれる記者に対応する回数が、過去の石破氏や岸田氏と比べて大幅に少なくなっています。その分SNSでの発信に注力していて、自らの主張を一方的に投稿するスタイルをとっています。
また、麻生太郎自民党副総裁など同僚議員とコミュニケーションを取る機会も少ないと指摘されています。
去年、高市内閣が発足する際には、党内で唯一残る派閥を率いる麻生氏の傀儡政権になると目されていましたが、実際に麻生氏とやりとりすることは少ないもようです。
青山さん
「こんなに会食をしない総理は初めてです。夜の会食とかそういった席がそもそも高市総理は苦手です。また、持病のリュウマチでお酒を飲むと良くありませんし、自宅で夫の介護をしていることも理由の一つです。その分、自分1人で書類を読み込むスタイルです。これは新しいスタイルとも言えますが、いろんな人の意見を聞いたり、交流したりしないマイナス面は否定できないと思います。」
(Q.高市総理は党内で孤立化しているという見方について)
「高市総理はほとんど相談しません。麻生氏にも基本的に相談はなし。『根回し』よりもスピード感を重視し、誰も口を挟めない状況で独断で方針を決めがちです。ただ、自分の考えを通そうとするときには周りの人の協力が不可欠です。根回しを怠ると、いざというときに誰もついてきていないという可能性もあります」
(Q.官邸スタッフとのコミュニケーションは円滑なのか)
「官邸でも孤立しているという話です。高市総理は官僚のレクチャーを自分で聞きません。官僚に資料を置かせ、説明は秘書官に聞かせています。信頼を置くスタッフはいるのですが、木原官房長官らは高市総理に意見を言うタイプではありません。高市総理は意図的に自分の意見に従う人物ばかりを選んでいるのです」
2月の衆議院選挙の公約で自民党は、飲食料品の消費税2年間ゼロを掲げました。2026年度中の法案の成立を目指しています。
しかし今月8日の国民会議で、0%にするにはシステム改修に1年程度かかるというヒアリング結果が紹介されました。1%への引き下げなら3カ月程度で改修可能だということです。
自民党幹部は、早く実現するには1%でやればいいと主張しています。
青山さん
「高市総理にとって消費税ゼロは”悲願”。6月には国民会議で中間とりまとめをしたいなかで、これまでの議論を踏み倒してでも実現させる可能性が大きいでしょう」
ガソリン価格への対応はどうでしょうか。
レギュラーガソリン1Lあたりの全国平均小売価格は、イランで戦闘が始まる前の2月24日には150円台中盤でしたが、3月16日には190円を突破しました。その後、政府の補助金が始まって値下がりし、4月20日には169.5円となりました。
原油の供給が滞り備蓄を開放するなかで、ガソリンを節約する必要性を訴える声も上がっていますが、高市政権は補助金により価格を押し下げる方法を選びました。
青山さん
「ガソリンの節約を呼びかける声は3週間前から党内で上がっていますが、総理は支持率維持のため、節約とは言わないまま5月目前まできた」
「人に相談しない」高市総理の今後の課題について、青山さんは次のように指摘します。
青山さん
「このまま相談しないスタンスを続けていくと支持率が下がってきた場合、党内に反高市の動きが出やすくなります。来年9月には総裁選挙があり、総裁を変えようという動きが活発化する可能性もあります。自民党内には派閥復活のような動きもみられ、ガソリン価格や消費税について党とコンセンサスを取っていなかった場合、失敗があれば高市総理1人の責任になってしまうため、一気に足元が崩れる可能性もあります。」
(2026年4月22日「newsおかえり」で放送)
最終更新:04/22 19:58


