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飲食店のファストパスはアリ?ナシ? 「タイパ」重視の客には好評でも、通常の待ち時間が長くなるトラブル発生 旅行アナリスト解説

04/29 20:37 配信

 29日、ゴールデンウイークがスタートしました。各地の観光地はにぎわいを見せていますが、そんな中、混雑緩和に向けた取り組みが注目を集めています。

 航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんに詳しく聞きました。

いよいよGWスタート! USJ、清水寺、アドベンチャーワールド…関西の人気観光地の賑わいは

待ち時間の限界は? 飲食店にも「ファストパス」導入

 目的地が混雑していた場合、どれくらい待ち時間を我慢できますか?

 シチズン時計株式会社の調査によると、病院の待ち時間なら30分、役所は15分、コンビニのレジは3分、電話の保留は1分で限界と感じる人が多いようです。テーマパークの人気アトラクションでは1時間までという人が多いといいます。

 待ち時間短縮のアイテムといえば「ファストパス」。手数料を支払うことで行列に並ばずに優先的に案内してもらえる仕組みです。

 東京ディズニーリゾートでは、2022年から「ディズニー・プレミアアクセス」という有料サービスを始めました。時間指定で予約することで、ほとんど待たずにアトラクションなどを体験できる仕組みです。価格は1500~2500円で、アトラクションやショーによって異なります。

鳥海さん
「昔のディズニーリゾートのファストパスは無料かつ先着順でしたが、金額を高くすれば利用者が少なくなる、安ければ殺到するということもあり、上手にバランスをとっています。特に遠方から来ている方は限られた時間の中で効率的に巡るため、時間をお金で買っているということだと思います」

 一方、飲食店の行列は何分まで並べるかという調査では「10~30分未満」が最多で40%、次いで「30分~1時間」が37%、「10分未満」が11%と続き、1時間以内に限界を迎える人が大半を占めました。

 そんな中、飲食店でも「ファストパス」の導入が進んでいます。店頭にある二次元コードや予約ページからファストパスを購入することで、行列を回避して優先的に入店できるというものです。関西でもKITTE大阪のラーメン店「小麦の麺神(めがみ)」は、1人あたり800円でファストパスを販売しています。

 事前予約制の「ファストパス」もあります。

 ミシュランガイド東京に7年連続掲載された、中華そば「銀座 八五」では大行列が常態化し、最大で6時間待ちとなっていました。夏場に並ぶ客の体調を懸念し、現在では午前中は先着順、正午から午後4時は500円のファストパスを事前に購入した人のみ食べられるという形をとっています。

 店側としては、ファストパス代で新たな売上を獲得することができ、原材料が高騰してもラーメンの値段を上げずに営業できているということです。

ファストパスの導入でトラブルにつながることも

 ファストパスの導入で客は限りある時間を有効に使うことができ、店は収益を底上げできるため、鳥海さんは「店も客もWin-Winな関係が作られている」といいます。

 一方で、ファストパスの導入で通常の待ち時間が長くなる懸念もあると指摘します。

 実際にファストパスをめぐるトラブルも起きています。

 都内のある飲食店でファストパスを500円で販売する実証実験を行ったところ、購入する人が続出。ファストパス行列と通常行列が発生し、通常行列に並んでいた人から「一生入れないだろ!」というクレームがあったということです。

 鳥海さんは「ファストパスを販売することで待ち時間が長くなってしまうお客さんへの対策を考える必要がある」と指摘します。

鳥海さん
「ファストパスを導入することによって、同じ客数でありながら、売り上げをアップさせることができます。ただ、通常の列が長くなってしまう懸念はあるので、常連客はファストパスの金額を半額にするなどの対応も将来的な進化として良いと思います。既存のお客さんも大切にしながら、遠くから来た人が入れるというのは、売り上げアップにもつながっています」

観光地で導入進む「二重価格」 増収分は市民への割引の原資などに

 また、観光地の混雑対策として導入が進んでいるのが「二重価格」です。

 オーバーツーリズム対策や観光資源の維持管理費の確保が目的で、例えば兵庫の世界遺産・姫路城では18歳以上の入城料は、姫路市民1000円、市民以外2500円。北海道の青い池では、町営駐車場の利用料金は美瑛町民は無料ですが、町民以外は500円。奈良監獄ミュージアムの入館料は奈良県在住2000円、奈良県以外2500円、海外在住3500円と3段階になっています。

 京都市では市バスに「二重価格」の導入が検討されています。

 現在の運賃は大人230円ですが、市民以外を最大350〜400円に値上げし、市民は200円に値下げする方針です。増収分は、市民への割引の原資にあてるほか、運転手不足を解消するための人件費や高騰する燃料費の補填に使うとしています。

「二重価格」には課題も…“日本人観光客は来なくていい”というメッセージに?

 一方で、懸念と課題もあります。「二重価格」の多くでは、地元住民に割引価格が適用されますが、日本人観光客と外国人観光客は割高となっています。

 鳥海さんは「利益だけ考えると効率的だが、『日本人観光客は来なくていい』というメッセージにもなりかねない。地元住民・日本人観光客・外国人観光客の3者の共存が重要になる」と指摘します。

鳥海さん
「外国人観光客にとって京都市のバス代は安すぎるので、値上げに対して異論はありませんが、京都市民以外の日本人の料金も上げることによって、ただでさえ“日本人離れ”と言われている中で、さらに日本人が京都に行きたくなくなってしまいます。観光地に住んでいる住民が第一ですが、その後には住民と観光客の共存、そして日本人観光客と外国人観光客の共存を考える必要があります」

(「newsおかえり」2026年4月29日放送分より)

最終更新:04/29 21:08

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