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「出光丸」がホルムズ海峡を通過 “両国の友情の証” 背景には73年前の日章丸事件 しかし・・・他の日本船舶が「同じ扱いを受ける保証はない」 今後のイラン情勢の見通しは?【専門家解説】
04/30 19:04 配信
戦闘終結への道筋も見えず事実上の封鎖状態が続くホルムズ海峡。そんな中、日本時間の29日未明、出光興産の原油タンカー「出光丸」がホルムズ海峡を通過し、日本へ向け航行していることが明らかに。封鎖後に日本企業が管理する船舶が海峡を通過したのは今回が初めてです。出光丸が海峡を通過できた背景には何があるのでしょうか。慶應義塾大学大学院の田中浩一郎教授の解説です。
政府関係者によると、日本政府がイラン側との交渉に関与したということです。通過にあたって通航料は支払っておらず、これまでの働きかけを含めて「一連の外交努力の成果だ」としています。
通過直後 駐日イラン大使館はSNSを更新。73年前の出来事に触れつつ「両国の友情の証」だと投稿しました
「1953年に行った歴史的な任務は、両国間の長きにわたる友情の証であり、そのレガシーは今日においても極めて大きな意義を持ち続けています」
イランが原油を輸出できないようイギリスが海上封鎖をしていた1953年、出光興産の創業者・出光佐三氏は日本政府の意向に反してイランにタンカーを派遣し原油を輸入しました。出光氏の決断で実現した、この「日章丸」事件はイラン国民を沸き立たせ、日本とイランの親密な関係を象徴する出来事として語り継がれています。
出光丸の目的地は名古屋と表示されていて、5月中旬に到着すると予測されています。
Q.日章丸事件は今回の海峡通過に影響している?
(田中教授)
「プラスの作用が大きいと思います。イラン側が送っているメッセージは非常にクリアで、『善意は善意をもって報われる』という一言に尽きます。日本以外の船舶も含めて色々なところから通航に関しての打診や申し入れがあると思われますが、その中で出光興産に関係していて、歴史的に見れば日章丸の後継にあたる船舶であるということ、これが大きな要因になっています」
Q.他の日本関係の船舶はホルムズ海峡を通過できるようになる?
(田中教授)
「日本に関係している船舶ということで、プラスに作用することはあるかもしれません。しかし、この出光丸のような扱いを受けるかどうかを保証したわけではないので、引き続き交渉してみないと分からないということになります」
Q.停戦がいつまで続くかなど、今後の見通しは?
(田中教授)
「楽観できないと思います。現在、アメリカは原子力空母3隻体制を敷いていますが、そのうちの1隻のジェラルドフォードはかなり無理をして、航海を引き伸ばしています。その船をまだ張り付かせているということは、近く大規模な空爆を仕掛けることの予兆ではないかと思っています。今の戦闘が停止されている状態がいつまで続くのかについては、私はかなり不安視しています」
Q.現状、交渉をまとめるのは難しそう?
(田中教授)
「お互いの言っていることが平行線をたどったままです。アメリカ側から出てくる内容というのは、物事が進んでいないにも関わらず、あたかも協議が進行しているように見せるための、いい加減な話が多い。そこから考えると実際のところでは何も進んでいない。しかし、原油価格は上がり、アメリカ国内でのガソリン価格も上がる。そのことを嫌って沈静化させるための情報操作であるという感じがします」
(『newsおかえり』4月30日放送)
最終更新:04/30 19:04


