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食料品減税は家計を救うのか? 近年の物価高騰で「便乗値上げ」の抑制困難に… 4~5兆円規模を確保できる財源も見当たらない!【エコノミスト解説】
05/01 12:00 配信
高市総理の“悲願”でもあり、選挙で公約としても掲げていた、食料品の消費税0%。これを巡り、超党派の「国民会議」が議論を進める中、消費税を1%とする案が急浮上しています。
食料品の消費税ゼロは果たして実現できるのか…。野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんと“深掘り”します。
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なぜ「消費税1%案」が浮上? 背景にはレジシステムの改修問題が…
現在、食料品の消費税については軽減税率となっていて、野菜や肉、テイクアウト食品などの場合は8%となっています。
高市早苗総理はこの軽減税率8%について2年間ゼロにするとしていて、夏までに意見を集約し、秋の臨時国会で関連法案を提出して、今年度中(来年3月まで)にスタートさせたいとしています。
今年度中に食料品の消費税0%を実現することができるのでしょうか。その実現には大きな壁があるかもしれません。
国民会議の実務者協議で、レジメーカーや市場関係者にヒアリングを行ったところ、「消費税0%」の場合、システム改修に1年程度かかるとの意見が出ました。この場合、早くても来年秋ごろに実現ということになります。
その背景には1989年の消費税導入以降、課税を前提とするレジシステムが普及していることがあります。税率を変更することはできても「0%」には対応出来ないため、新たなシステムをつくる必要があるということです。
そこで浮上したのが「消費税1%」の案で、この場合、システム改修にかかる期間は3~6カ月程度とされています。
食料品の消費税1%なら家計の負担はどうなる?
食料品の消費税「0%」と「1%」で、家計の負担はどれくらい変わるのでしょうか。
木内さんの試算によると、4人家族の食料品の平均支出は消費税8%なら1カ月7万5681円。消費税8%から「0%」になった場合は1カ月でマイナス5606円、年間6万7272円の負担軽減になるということです。これに対し、消費税8%から「1%」になった場合は1カ月でマイナス4905円、年間5万8863円の負担軽減になるということです。
消費税1%案について、維新の梅村聡・税制調査会長は「早く国民に届けられるなら100点ではないかもしれないが選択肢としてあり得る」としていますが、木内さんは「どちらにせよ現実的に本年度スタートは難しいのでは」と指摘します。
木内さん
「レジシステムの対応以外にも準備は必要ですし周知期間も必要なので、1%であっても半年以内に実施することは難しいと思います。法律が通るのが秋だとすると、来年3月までというのは苦しいので、年度をまたいでしまう可能性が高いと思います」
外食の税率は「10%据え置き」で懸念の声も…
減税をめぐって、外食業界から懸念の声も聞かれます。
高市総理は外食については軽減税率の適用はなしとしていて、飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)が行った調査によると、306の経営者・運営者のうち7割超が「影響あり」と回答。東京のイタリア料理店からは「外食の割高感が強くなる」、愛知の居酒屋からは「外食への足が遠のく」という声が聞かれたということです。
また、木内さんは「テイクアウトだと言って店内飲食する人のチェックが大変になる。これまでは黙認されていた部分もあったが、0%だとそうはいかない」と指摘します。
木内さん
「今は2%の違いで、あまり大きくないので、値段が変わらないよう調整している大手のファーストフード店もあります。しかし10%または9%となると大きな差になります。テイクアウトと言いながら店食べると一種の脱税にもなって、店側も監視する義務が生じるので、例えば人手を割いてチェックするなど相当の手間になる可能性があります」
物価高騰で“便乗値上げ”の動きを抑えるのが困難に…
さらに、減税後も価格を据え置く“便乗値上げ”の懸念もあるということです。例えば、減税前に税込み200円だった商品について、減税後には185円となるはずが、200円で販売し続けるというものです。
木内さんによると「政府も消費税率の変更が製品価格に転嫁されているかチェックするが、正確な判断ができず“便乗値上げ”的な動きを抑えるのは困難」ということです。
木内さん
「これまで消費税を上げるときは、政府のいわゆる『Gメン』と呼ばれる人が調べていました。しかし、ここ数年はいろんな物価が上がっていて、消費税は下がったけども人件費と原材料が上がっているので、なかなか“便乗値上げ”を指摘するのが難しくなっています。結果として消費税率を下げても、あまり値段が下がらないケースが出てくると思います」
消費税0%は“つなぎ”の政策だが…「政治的な背景で元に戻すのは非常に難しい」「物価高対策としては中途半端」
そもそも、高市総理はこの食料品の消費税ゼロについては2年間としていて、「給付付き税額控除」実現までの“つなぎ”の物価高対策に位置づけています。
木内さんは「一旦下げた消費税率を2年後に戻すことは政治的な背景から非常に難しく、物価高対策としては中途半端ではないか」と指摘します。
木内さん
「政治的には、一旦下げたものを今度上げるときには増税になります。今まで増税を掲げて選挙で勝った政党はないというくらい、選挙で逆風になります。仮に消費税を0~1%に下げて2年後に戻すと言っても、そのころには一時的な措置だと忘れているので『増税だ』となります。増税を掲げて選挙に打って出るのは非常に難しいので、2年間の減税だったはずが恒久的な減税になってしまう可能性が高いと思います」
消費減税の財源はどうする? 木内さん「4兆円5兆円規模を確保できる財源は見当たらない」
財源について、高市総理は赤字国債には頼らないとしていますが、木内さんの試算によると「消費税0%」の場合に減少する税収は年間で約5兆円、「消費税1%」の場合は約4.4兆円となっています。木内さんは「0%か1%かではなく、財源についての議論を進めるべき」と指摘します。
木内さん
「0%にしても1%にしても巨額の財源が必要で、これを賄うのは相当難しい話です。もし2年で終わらなければ恒久的な財源を確保しなくてはなりませんが今、4兆円5兆円規模を確保できる財源はほぼ見当たりません。本当に赤字国債に頼らないのであれば、消費税率をやめるのかどうか。これも不透明なので、まずは財源の議論を早く進める必要があると思います」
ーーQ.木内さんは消費税減税に賛成ですか?反対ですか?
木内さん
「個人的な意見を言うと、財政が悪化するのでやらない方がいいと思います。国債発行というのは将来の人のお金を借りてくるということなので、今の人は良いかもしれませんが、将来の人には負担になります。財政が悪化すると結局、円安や金利上昇が進んでしまって、今の世代の人も打撃を受けるので、当面は補助金や給付金などで対応して、抜本的な物価高対策は給付付き税額控除などで行うべきです」
(「newsおかえり」2026年4月30日放送分より)
最終更新:05/01 12:00


