関西ニュースKANSAI

「仲間内だから大丈夫」利用者の油断が招く情報漏洩 自治体・銀行などでSNS通じた“流出”相次ぐ Z世代激増の写真動画共有アプリ「BeReal.」を検証【専門家解説】

05/07 11:30 配信

 自治体や金融機関で、SNSを通じた情報漏洩が相次いでいます。気軽に投稿でき、見ることができるSNS。リスクを避けるためにはどうすればいいのでしょうか?

 国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一教授に詳しく聞きました。

【五月病】大人も子どもも気を付けたい環境変化のストレス 連休明けは要注意 不調のサインを見逃さないためのポイントを精神科医が解説

自治体などで相次ぐ情報漏洩 Z世代を中心に人気を集めるSNSの特徴

 神奈川県川崎市では4月、新入職員が研修の資料をLINEのオープンチャットに投稿し、市長が「こんなことまで注意喚起を促さなくちゃいけないのかと正直驚きを隠せない」と苦言を呈する事態になりました。

 また、西日本シティ銀行でも先週、山口県内の支店の行員が、7人の顧客の名前が映り込んだ動画などを撮影し、SNSに流出する事案が発生。

 北海道岩見市の市立総合病院でも、女性職員が患者20人の名前や主治医などが書かれたモニター画面を撮影し流出する事案が発生しました。

 このうち、銀行と病院内の撮影に使われたのは、フランス発の写真動画共有アプリ「BeReal.(ビーリアル)」です。

 利用者の約80%が20代で、2023年8月時点で利用者数は10万9000人ほどでしたが、去年8月には113万人と2年間で937%の増加となっています。

 「BeReal.」の特徴としては1日1回、ランダムな時間に通知が届き、投稿することで友達の投稿も閲覧することができるようになります。

 また、通知から2分以内に投稿するとボーナスを獲得。追加投稿のチャンスがゲットできます。スマホの内側のカメラと外側のカメラで同時に撮影するので、フォルダ内の写真を投稿することはできず、“映えない・盛らない”写真共有アプリとしてZ世代を中心に人気を集めています。

 山口教授によると、仕事中でも通知が来ないかチェックしてしまったり、短時間での撮影を求められるので注意がおろそかになってしまったり、広範囲の撮影で自分が意識していない範囲も映る可能性があると指摘します。

なぜ情報漏洩は起きるのか “閉鎖的”という意識が生み出す利用者の油断

 山口教授によると、こうしたSNSを通じた情報漏洩が起こる背景として、「仲間内でシェアしているだけだから大丈夫」という利用者の油断があるということです。

 例えば「BeReal.」は承認したフォロワーのみと共有でき、次の通知が来たら投稿は消去されます。また、LINEのオープンチャットは匿名で趣味などについて会話できるサービスで、チャットに参加した人のみが閲覧可能となります。

 しかし、山口教授は「ネットにアップした時点で“閉鎖的”ということはありえない」と注意を促します。

山口教授
「今の若い人たちは様々な形で情報漏洩や炎上しているので、一見すると気をつけてないのかなと思いますが、そんなことはありません。オープンな発信について後ろ向きな傾向が強くなってきています。その代わり、友達同士でやるものが受け入れられていて、非公開アカウントしか持ってない人も非常に多いです」

「しかし、誰かの投稿をスクリーンショットに撮って他にアップすることはすぐできますし、インスタグラムのストーリーズの動画を別の共有サービスに転載することも多いです。いつでも公開される可能性があるという意識を持って使うことが大事です」

 また、「ひと言に“流出”と言っても、少し前のものとは投稿者の意識が違う」といいます。

 過去には、飲食店のアルバイトが店の冷蔵庫に入ったり、客が店の醤油差しを舐めるといった不適切動画がSNSに投稿されたことがありました。しかし、山口教授によると、その裏には「悪いことをして注目を集めたい」という意識があるといいます。

 しかし、最近の“流出”は「日常を見てほしい」「親しい人に共有したい」という気持ちで、悪いことをしているという意識はなく、ただ日常を映している中で自然に情報漏洩してしまっているということです。

山口教授
「最近はアプリを使うことが日常になっていて、その延長で『通知が来たから職場だけどちょっと撮影しちゃおう』という感覚です。そこには特別な意識がないので、日常の中で自然に情報漏洩してしまっているところが一つ非常に大きなポイントです」

子どものSNS利用に規制強化の動きも

 子どものSNS利用をめぐり規制強化の動きもあります。

 インスタグラムやX(旧ツイッター)、TikTok、YouTubeの利用規約では13歳以上という年齢制限がありますが、自己申告なので13歳未満でもアカウントの作成が可能となっています。政府は、年齢確認の厳格化も検討していますが、年齢による利用制限は見送る方針です。

 SNS利用の厳格化はどのように進められるのでしょうか。山口教授に聞きました。

山口さん
「技術的には、例えば利用履歴からAIによって年齢を推測するなどの技術を導入してるサービスもありますし、あるいは身分証明書を確認するなど様々な方法が検討されていますが、結局はバランスです。未成年の個人情報を大量に収集して漏洩してしまうと大問題なので厳格化すればするほど、実はリスクが高まっていきます。しかし、良い落としどころを見つけて厳格化できたら、より良い環境に資するのではいうことで論じられているところです」

 海外ではすでに子どものSNS規制が進んでいます。

 スペインでは2月3日、16歳未満のSNS利用禁止を発表。フランス国民会議では1月26日、15歳未満のSNS利用禁止が可決されました。ドイツでは2月21日、14歳未満のSNS利用を禁止する決議を採択。

 オーストラリアでは去年12月10日に“SNS禁止法”が施行され、Facebookやインスタグラム、YouTubeなど10のサービスについて16歳未満は利用が禁止とされています。

スマホのトラブルから“子どもを守る” 重要なのは…

 スマホやSNSのトラブルから子どもを守るために重要なポイントを山口教授に聞きました。

・課金…スマホに搭載されているので、アプリ内課金の制限などを行う。
・発信リスク等…SNS事業者が年齢確認や機能制限などを行う。
・違法有害サイト…携帯会社のサービス、あんしんフィルターなどを活用
・使いすぎ…利用可能な時間帯や1日あたりの利用時間など家庭内のルールを決めておく。

山口教授
「重要なのは技術的な対策と、家庭のルールを合わせてやることです。私が総務省と行った調査では、両方を実施している家庭では、子どものネットトラブルが少なくなる傾向が見られました。また、親が一方的に押し付けたルールは破られやすく、子どもと話し合って作ったルールは継続性が高いということがわかっています。しかし、こういう話をすると『私より子どもの方が詳しいから放っている』という保護者もいますが、ぜひ子どもと一緒に学ぶ姿勢を持ってほしいと思います。子どもはリスクや適切な対応について必ずしも詳しいわけではありません。また、新しい状況がどんどん生まれてきますので、保護者と子どもが一緒に学んで、適切な利用をしていく視点を持ってほしいと思います」

(「newsおかえり」2026年5月5日放送分より)

最終更新:05/07 11:30

関西ニュースヘッドラインKANSAI

もっとみる