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原油「そろそろ節約すべき時」専門家が指摘 「足りている」政府主張と企業側に認識のズレ 白黒のパッケージ、工事の遅れ・・・ナフサ不足で広がる影響 工場の稼働率も低下で景気に深刻影響の懸念

05/14 11:48 配信

 ナフサ不足による影響が拡大しています。ナフサが不足すると、多くの業界に影響が及ぶと懸念されています。供給状況について、政府と企業の間で認識の食い違いも生じていますが、実際はどうなのでしょうか。
 原油と経済の関係について詳しい神戸国際大学経済学部の中村智彦教授の解説です。

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「ポテチ」のパッケージ白黒化 印刷への影響広がる

 ナフサは原油を精製してできるもののひとつで、原油を蒸留して得られる無色透明の液体です。プラスチックや塗料、合成繊維、合成ゴムなど様々な製品の原料となるため「魔法の液体」とも呼ばれています。

 このナフサの不足を受け、企業や自治体が対応に追われています。パッケージを「白黒化」するのもその例の一つです。
 カルビーは「ポテトチップス」など14商品を対象に、25日から順次パッケージを白黒に変更します。「石油原料節約パッケージ」という印字も施されるということです。
 日清製粉ウェルナはパスタを束ねるテープを順次無地にします。
 また、大阪府箕面市では、秋ごろからゴミ袋の印字が緑色から黒色に変わります。

 帝国データバンクによると、パッケージのカラー印刷は全体を白く塗ってから色を一色ずつ足しています。白黒印刷にすることで工程が少なくなり、ナフサを原料とする溶剤の使用量を削減できるということです。

供給状況の認識に政府と企業でズレ

 ナフサの供給状況について、政府と企業の間に認識のズレが生じています。
 政府は「日本全体として必要な量が確保されている」とし、高市総理大臣も12日、今月は第3弾の備蓄放出はしないと明言しました。

 一方、企業側は「足りていない」との立場です。
 全国建設業協会は先月30日、建設資材の供給不足や遅延で工事の中止や遅れが避けられないとして政府に要望書を提出しました。

 高知県の印刷会社「フソー化成」では、来月分の溶剤確保の見通しが立たず新規受注を停止する事態になっています。

 帝国データバンクによると、ナフサ不足で国内の製造業4万6741社に「調達リスク」の可能性があります。

「実際に足りていない」と中村教授指摘 「節約を始めても良いのでは」

(Q.政府と企業の認識が食い違っていますが、ナフサは足りているのでしょうか、不足しているのでしょうか?) 
中村教授
「私も4月の下旬に京都で、機械金属関係の中小企業のグループでアンケートを取ったのですが、8割の社長さんが、材料とか原材料の調達に支障が出てきていると答えました。流通の途中で目詰まりが起きているという見方もありますが、石油化学工業会が発表しているデータをみますと、関連工場の稼働率が1カ月で10%近く落ちています。経産省が発表している3月の化学工業の生産量でも、前月と比べると8.6%、前年同月と比べると15%以上も落ちています。このことから、実際に足りなくなっているといえます」
(Q.足りなくなっているのに政府は足りているというメッセージを出しているのはなぜでしょうか)
中村教授
「今諸外国では、節約に舵を切り始めています。しかし、それをすると景気が悪くなる懸念があるので、ギリギリまで『大丈夫ですよ』と言っておいて景気を維持しておきたいという考えがあるのでしょう。しかし、実際に生産量や工場の稼働率は下がっていますから、製品の流通量が減り価格の高騰などで景気が冷えこむことは想像できます」
(Q.原油は節約するべきなのでしょうか)
中村教授
「そろそろ節約を始めても良いのではないかと考えています。諸外国は、かなり厳しい見方をし始めています。たとえばインドは、政府が海外旅行や金の買い占めの自粛を呼びかけました。日本もそろそろ節約を始めてもよいのではないかと考えています」

 これから使う機会が増えるエアコンにも、ナフサ不足の影響が。東京の「栄電気」によると、真夏のエアコン設置が通常なら2~3週間待ちなのが、今年は1カ月待ちになる可能性があるといいます。電気店からは「部品代の値上がりで、工事代を7000円から8000円上げないと割に合わない」との声も。

 またエアコンには、ナフサとは別に「2027年問題」があります。来年4月から、脱炭素社会の実現を目指して家庭用エアコンの省エネ基準が引き上げられることに。家電量販店からはエアコンの本体価格が平均で15~20万円前後変わるんじゃないか、という声も聞かれます。

(Q.ナフサが不足することによって、さらなる物価高につながる可能性もありますか)
中村教授
「これまでも既にいろんな原材料が上がり続けてきました。そこにナフサの問題が重なり石油関係の価格がドンと上がると、企業が耐えきれなくなることが予想されます。大企業は大量に売って大量に儲けるので、ある程度利益を下げても値段を下げられますが、中小や個人事業主は、なかなか値上がり分を負担できません。廃業するところも増えてくるのではないかと心配しています」

最終更新:05/14 11:48

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