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“素人”だからこそ凶悪化する危険性 「トクリュウ」犯罪が急増 背景に「 暴力団の弱体化」 若者だけじゃない 高齢者が加担するケースも【専門家解説】

05/26 11:30 配信

「トクリュウ」の摘発が急増

 栃木県上三川町の強盗殺人をはじめ、いま相次いでいる「トクリュウ」とみられる犯行。なぜ増加しているのでしょうか。犯罪ジャーナリストの石原行雄さんに聞きました。

 「トクリュウ」とは「匿名・流動型犯罪グループ」の略称です。その名の通り、SNSなどを通じて匿名で集まり、犯罪ごとにメンバーが入れ替わる流動的な組織構造が特徴です。

 現在、警察は特殊詐欺、強盗・窃盗、薬物犯罪などに加え、ヤミ金融、みかじめ料の徴収、さらには悪質なホストクラブも「トクリュウ」の活動の一環として対策を強化しています。

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「トクリュウ」の摘発急増  暴力団の弱体化が背景に

暴力団構成員の数は2004年の約8万7000人をピークに減少

 なぜ「トクリュウ」の摘発が急増しているのでしょうか。その背景に石原さんは「暴力団の弱体化がある」と指摘します。 警察庁のデータによると、暴力団構成員の数は2004年には約8万7000人いましたが、その後減少を続け、去年には過去最低の1万7600人となりました。
 石原さんはこの状況について、「これまで暴力団構成員が担っていた犯罪も、構成員が減ったことで素人を使うようになった」と分析し、「(暴力団が)切羽詰まったことでトクリュウというものが出てきた」と解説します。
 そのうえで石原さんは、多くの「トクリュウ」犯罪には暴力団が黒幕として存在するといいます。

犯罪組織にとって若者は「コントロールしやすい」

 今月、栃木県上三川町で起きた強盗殺人事件は、実行役4人全員が16歳の高校生でした。 一部の少年の供述によると、指示役から「断れば家族を殺す」と脅されていたことが分かっています。

 石原さんによると、犯罪組織にとって10代の若者は「脅しや金でコントロールしやすく、操り人形として使いやすい」存在だといいます。

石原さん
「一定の年齢で社会性を身につけている人間は『高齢者を殴れ』と言われてもためらうが、人間関係などが未熟な若者は命令次第でできてしまう。操り人形として使いやすい傾向にある。また、お金でつられなくても、個人情報を握られ脅迫されることで、断れない状況に追い込まれていく」

“素人”だからこそ凶悪化する危険性

“素人”の強盗犯は恐怖やパニック、興奮状態に陥りやすいということです

 さらに石原さんは「経験が乏しい“犯罪素人”だから凶悪化する危険もある」と警鐘を鳴らします。冷静で合理的な「職業的な強盗犯」に対し、“素人”の強盗犯は恐怖やパニック、興奮状態に陥りやすいということです。

 また、犯罪において経験の乏しい若者は、同調圧力に流される傾向があると石原さんはいいます。

石原さん
「プロの犯罪者は、自分が逮捕された際のリスク、つまり量刑を考えます。例えば、『強盗ではなく窃盗にとどめる』といった計画を立てることが多い。これに対し、闇バイトの実行役は指示役と別人です。指示役からすれば『カネさえ奪えたら、実行役はどうなってもいい』。そのために、凶暴化・凶悪化しやすい構造があります」

 一方で、「トクリュウ」に加担するのは若者だけではありません。高齢者が逮捕されるケースも出てきています。石原さんは「高齢者層にしかできない役があり、一定の需要もある」と指摘します。

石原さん
「例えば銀行員や弁護士を名乗る際、若者がダブダブのスーツを着て行っても怪しまれてしまう。しかし、中高年がスーツを着て行くと一定の説得力を持ってしまい、犯罪が成功しやすくなる」

医者を装う新しい手口も

新たな手口も登場

 特殊詐欺の約半数を占める「トクリュウ」犯罪。従来は警察を装う手口が主流でしたが、警察庁によると、医師を装って金銭を要求するといった新たな手口が登場しています。

 石原さんは、犯罪者たちが世間の防衛意識の高まりを察知し、「常に手口を”チューニング”している」と警鐘を鳴らします。

東南アジアに広がる犯罪ネットワークと海外拠点の実態

海外を拠点に日本の若者などを勧誘

 日本の「トクリュウ」犯罪も今、続々と東南アジアに拠点を置いていると石原さんはいいます。中国系マフィアや日本の暴力団組織幹部が、タイやカンボジアなど複数の国に拠点を構えているということです。

 このような東南アジアの犯罪組織が日本国内の犯罪グループに、日本人のスカウトを依頼し勧誘します。「海外リゾートバイト」といった甘い言葉で誘い出し、犯罪と知らされずに海外へ渡航する若者も少なくありません。現地に着くと待っているのは、暴力と厳しいノルマに支配された監禁生活です。

「トクリュウ」犯罪をなくすためには? 「頂点にいる暴力団組織の壊滅が必要」

犯罪ジャーナリストの石原行雄さん

 では、「トクリュウ」犯罪をなくすためには、どうしたらよいのでしょうか。石原さんは根本的な解決策として、頂点にいる暴力団組織を壊滅に追い込むことの重要性を強調しました。

石原さん
「“トクリュウ”犯罪を支配している暴力団組織を潰しさえすれば、“トクリュウ”の勢いはおさまる。“トクリュウ”自体は素人や半素人なので、大した犯罪はできない。やはり黒幕である暴力団を壊滅に追い込むことが、この問題の解決に向けた希望の光になる」

(「newsおかえり」2026年5月25日放送分より)

最終更新:05/26 11:30

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