関西ニュースKANSAI

【橋下徹氏が解説】3度目の「都構想」へ、過去2回よりもタイトなスケジュール 今回は“微修正”でいいのか? ヤジ飛び交う大阪市議会で法定協の設置案が可決

05/29 18:00 配信

3度目の“都構想”の行方は…橋下徹が斬る!

 大阪府の吉村知事らが目指す3度目の「都構想」への挑戦。そのためにはまず、大阪府議会と市議会で法定協議会が設置される必要があります。27日には法定協議会の設置案が、大阪市議会で可決されました。

 住民投票の実施に向け、一つ目のハードルを越えた形ですが、過去2回否決されている「大阪都構想」にまた挑戦する意義は果たしてどこにあるのでしょうか。

 かつて大阪市長を務め、最初の住民投票を主導した橋下徹さんと、1回目から長年「都構想」を取材しているABCテレビの木原善隆コメンテーターの解説です。

橋下徹さん「価格は上がることを言わないと」 ナフサ由来の石油製品めぐる政府の情報発信に疑問を呈す

「都構想」3度目の住民投票へ 大阪市議会で法定協設置案が可決

大阪市議会で法定協設置案を可決

 27日、大阪市議会で“大阪都構想”の制度案を作る法定協議会を設置する議案が可決されました。これで3度目の住民投票へと一歩進むことになります。

 維新は当初、3月議会で法定協を設置する議案を提出したい考えでしたが、市議団がまとまらず先送りとなっていました。27日、ようやく法定協設置に向けた市議会の本会議が開かれ、賛否の立場から討論が行われました。

 前回、「賛成」の立場だった公明党は今回、「反対」の立場から討論しました。

公明党・西徳人市議
「市民が2度示した判断をまるでなかったかのように扱うこの姿勢そのものが、民主主義に対する重大な冒涜であると言わざるを得ません。反対という結果が出ても、時間が経つとまた持ち出す。それでは、民意を問うているのではなく、民意を自分たちの結論に従わせようとしているだけではありませんか」

 これに対して、維新市議団はーー。

高山美佳市議
「過去2回の住民投票の結果は、民意として重く受け止めなければなりません。その上で、今、過去2回と大きく異なる局面であるとも考えます。制度を取り巻く前提が変われば、協議すべき観点も、市民の皆さんにお示しする判断材料も変わってきます。新たな局面を迎え、改めて具体化していくための協議として必要であると考えます」

 「副首都構想によって局面が変わった」と主張した形です。

 法定協議会の設置案は、最大会派の維新などが賛成し可決しました。自民・公明・共産などの会派は反対しました。
 
 傍聴席からヤジが飛び交う光景に、自民市議団の幹事長は「過去2回の住民投票の際と同じ雰囲気を感じる。大阪が賛成と反対の二つに大きく分断される」と強く懸念していました。

横山英幸市長

 採決の後、横山市長は取材に応じ、今後も手続きを進めていく考えを示しました。

横山市長
「非常に大きな一歩となりました。一方で、全然終わりではなく、これが始まり。やらないといけないことは山積みですのでまずは着実に一つ一つ協議を重ねていきたいと思います」

 設置議案は大阪府議会でも可決する見込みです。法定協議会は6月中にも設置され、3度目の住民投票に向けた議論が本格的に始まる見通しです。

「最後まで責任を持つのか」と吉村知事に疑念 大阪市議団との攻防

維新市議団と知事の“攻防”

 今回の可決までには、維新の大阪市議団と吉村知事の間で攻防がありました。

 維新の大阪市議団は、前回の選挙で都構想を公約に掲げていなかったことを理由に、「来年春の統一選で信任を得てから住民投票をすべき」と慎重な姿勢でした。

 一方、吉村知事は「5〜6月に設置案が可決されなければ来春の住民投票に間に合わない」とタイムリミットを主張していました。

 市議団は、住民投票を進めるのであれば「代表が先頭に立ってほしい」と、吉村知事に来年の知事選への立候補を強く要求。吉村知事は当初、「ほかのメンバーが出るべき」として自身は国政進出に意欲をみせていましたが、市議団からの要望を受け、来年の知事選に「出馬する」と態度を翻しました。

 ただし、そのための条件として、知事選と統一地方選、そして「都構想」住民投票の同日実施を掲げ、結局、市議団は法定協の設置議案を受け入れる形になりました。

橋下徹さん

橋下さん
「組織のことを考えれば、旗振り役はそのポジションに居続けなければいけないということでしょう。ただ、私は知事を辞めてもいいんじゃないかなと思っていました。それは組織というより個人として。大阪府知事を1期務めるというのは大変ですから」

木原コメンテーター
「もし住民投票で可決されても、実現するのは数年後です。これまで2回の投票時は、当時の知事の橋下さんも松井さんも、実現されるまでは責任を持つと言っていたのですが、今回、吉村知事はそれを言っていなかった。その点に市議団がやきもきしていたため、知事と市議団との間で攻防が生じました。吉村氏が再出馬カードを切ったことで、市議団が賛成に回りました」

3回目の住民投票へスケジュールはタイト 今回は“微修正”でいいのか?

“3回目”へのスケジュールはタイト

 法定協議会は来月3日に府議会でも可決される見通しで、その後、都構想の協定書を作成し、府市両議会で可決されれば住民投票へと進みます。

 しかし、今回はスケジュールが非常にタイトです。

 過去の法定協議会は、2015年の投票に向けて約2年で23回、2020年に向けては3年超で37回開催されました。それに対し今回は、来年4月までの約半年で10回程度の開催にとどまります。

 この点について橋下さんは、過去の議論の蓄積があるため問題ないとの見方を示しました。

橋下さん
「第1回が一番しんどかった。そして2回目は1回目の結果を踏まえた区割りの変更などを議論しました。今回は微修正にすぎません」

木原コメンテーター
「そこがまさに問題点です。微修正しかできないんですよ。区割りを考え直す、コストの問題を調整する、反対派の意見を聞く。こうしたより良いものを作るために深い議論をする時間は全く足りていません」

天皇陛下がいらっしゃるところが「都」?

住民投票の対象が市民だけでなく府民に広がる可能性が浮上

 これまで2回の住民投票は、いずれも僅差で否決されています。維新の市議団が独自で行った世論調査では、3月と4月いずれも、賛成よりも反対の方が多かったということです。

 こうしたなか、住民投票の対象が大阪市民だけでなく府民に広がる可能性が浮上しています。吉村知事は先月、「大阪府」を「大阪都」に名称変更する住民投票を、都構想の住民投票と同時に実施すれば、投票対象を府民にすることが可能だと発言しました。

橋下さん
「府域全域での実施案はちょっとせこすぎる。大阪府の名称変更の投票対象を府民にするのは理解できるのですが、『都構想』の住民投票と一緒にするのは手法として問題がある。維新の市議団も同様の見方のようで、正々堂々と市民投票をしようという立場です。吉村知事も、当初は府民投票にもっていきたい意向でしたが、市議団の判断に任せるという判断をするようです」

木原善隆コメンテーター

木原コメンテーター
「『副首都法案』がまだ出ていないので、府域での住民投票が可能になるかどうかはまだわかりません。しかし、大阪に住んでいる人が『大阪都』への名称変更を望んでいるとはいいきれないでしょう。かつて、東京都知事の石原慎太郎さんが『大阪都』のアイデアに対し『都』は天皇陛下がいらっしゃるところなので、複数あることは許されないと意見したことがあります。その点からすると、『大阪都』の名称に対して保守派からの反発は避けられないと思います」

橋下さん
「行政上の『都』は、必ずしも天皇陛下がいらっしゃる場所を指しません。東京もかつてそうでしたが、府と市をあわせたものを『都』と呼んでいます。天皇陛下のことに触れる保守派は勉強不足だと思います」

「副首都構想」と「都構想」どちらを先にめざすのか

福岡も「副首都構想」に関心

 「副首都構想」は、首都機能のバックアップ体制の整備を目指すもので、政権与党が推進しています。

 福岡市の高島市長は、県と市の「連携協約」によって副首都を目指すとしており、「関連法案が成立したらさっさと申請しよう」と意欲的です。一方、大阪は「特別区」を設置する都構想によって副首都を目指しています。

 橋下さんは、「副首都」を目指すなら「特別区」の設置が望ましいと主張します。

橋下さん
「連携協約は、知事と市長がいて、そこで意見が食い違うと揉めてしまいます。『大阪都構想』が実現したなら、権限と財源を一元化できるので、その形が望ましいと考えます」

木原コメンテーター
「維新の議員が心配しているのは、『都構想』は時間がかかるので、その間に福岡が手を挙げて福岡が先に指定されてしまう展開です。そのため、連携協約で大阪も『副首都』の指定を受けた上で、後から住民投票をやれば良いという意見が維新の議員からも出ています」

橋下さん
「もちろんその通りです。大阪も連携協約の枠組みで、副首都に名乗りを上げるプロセスを目論んでいるようです」

(「newsおかえり」2026年5月27日放送分より)

最終更新:05/29 18:00

関西ニュースヘッドラインKANSAI

もっとみる