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少子化改善のカギは「男性的な働き方をさせないこと」? 国の想定より15年早い出生数の水準に 背景には若者世代の意識の変化やSNS? 専門家が見通しと改善策を解説

06/05 12:10 配信

少子化対策に打つ手は?

 厚生労働省が発表した人口動態統計によると、去年国内で生まれた日本人の赤ちゃんは約67万人でした。

 戦後、第1次ベビーブームの1949年に日本人の出生数は、最多を記録しました。その後、第2次ベビーブームの1973年以降は右肩下がりが続き、今年は、前の年から約1万5000人減少し、10年連続で過去最少となりました。

 いわゆる「子育て世代」の考えは。また、この先も少子化は進行し続けるのか、専門家が解説します。

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要因の一つは晩婚化か 「娯楽が増えたから」?

要因の一つは晩婚化か 「娯楽が増えたから」?

 少子化の要因の1つといわれているのが、昨今の晩婚化です。

(Q.晩婚化の理由は何だと思いますか?)
20代男性
「娯楽が増えすぎたからじゃないですかね」
(Q.結婚をしなくても楽しいことが多い?)
20代男性
「だと思います」
40代男性
「(結婚に)踏ん切りがつくタイミングが、多分世代で変わってきてるのかなと。(結婚に対する)考え方が変わったり、価値観が変わっている部分は大きいんじゃないかなと思う」

 厚生労働省の人口問題研究所が2023年に公表した報告では、出生数が67万人台になるのは2040年と予想していました。国の想定より、15年ほど速いペースで少子化が進んでいることになります。

共働き夫婦は収入面や保育所事情を懸念 「自分の余裕もなくなるし・・・」

共働きの40代夫婦

 ある共働きの夫婦は、できれば子どもをもう1人、と思っているということですが、懸念は絶えない様子です。

40代共働き夫婦
「この4月から育休復帰したんですけど、時短で復帰となると収入面も下がるし、保育所などに預けていて、(病気などで)呼び出しとなると周りに気をつかう。(時短後に)フルタイムに戻せるかと言われたら、自分の余裕もなくなると思うと少し不安」
40代共働き夫婦
「お昼ご飯を食べるとなっても1000円超えるのが当たり前みたいになってくると、なかなか大変。そこを削らないと子どもの何かを買えないとなってくると苦しい」

 経済的な問題と、晩婚・少子化がループしているという指摘もありました。
20代女性
「そのため(結婚・子育て)にお金を貯めないといけないし、てことは仕事を頑張らないといけないっていう感じです」

行政もあの手この手 しかし歯止めはかからず・・・

行政もあの手この手 しかし歯止めはかからず・・・

 大阪府は、少子化ついて「結婚・1人目・2人目」と3つの壁が要因であるとしています。
 
 府は「なにわ縁結び」という結婚相談所を通常より安く利用できる婚活事業を実施しているほか、大阪市は従来のサービスに加え、今年9月からは認可保育所などに通う0~2歳児の保育料を第一子から完全無償化する方針です。

 大阪の自治体は結婚・子育て支援対策に力を入れていますが、女性が一生のうちに産む、子どもの数の指標「合計特殊出生率」は全国と同様に過去最低を記録し、少子化に歯止めはかかっていません。

大阪府・吉村知事
「(少子化で)人口構造が明らかに変わってきますから、その中で現役世代がどんどん負担が多くなってしまう。生活が耐えられなくなる。少子化対策をとりながら、人口構造を見ても少子化になっていくので、それでも耐えられる社会の仕組みというのを作っていく必要があると思います」

少子化は「世界的傾向」 背景に住宅価格高騰とSNS?

出生率は10年連続最少少子化は「世界的傾向」 背景に住宅価格高騰とSNS?

 家族社会学者が専門で少子化問題に詳しい立命館大学の筒井淳也教授は、少子化の加速は世界的な傾向だと述べたうえで、歯止めをかけるには働く環境の整備が必要だと指摘しました。

 まず筒井教授は、世界的に少子化が進む背景について、都市部での住宅価格の高騰やSNSの普及を挙げました。SNSとの関連は明らかになっていないものの、普及が進んだタイミングと少子化が加速したタイミングは一致しているといい、「ソーシャルメディア上で情緒的な満足」が得られるようになった可能性があると言及しました。

 筒井教授は日本の今後の見通しについて、「2030年くらいまでは一時的に安定する可能性はある」としたうえで、それ以降は、出産年齢にある女性の数が大きく減るため出生数が急激に減り始めると予測しました。

筒井教授
「たとえ出生率が多少持ち直したとしても、親となる世代の人口が減少するため、出生数はどんどん減っていくでしょう」

若者世代は「子どもがほしくない」 意識の変化も少子化に影響か

若者世代は「子どもがほしくない」 意識の変化も少子化に影響か

 人口そのものの現象に加え、「子どもをほしくない」という意識の広がりも少子化の背景のひとつです。

 ロート製薬が実施した「妊活白書2025」によると、18歳から29歳の未婚男女で「将来子どもが欲しくない」と答えた割合は、男性で60.7%(2020年47.9%)、女性で64.7%(同39.6%)に上りました。それぞれ2020年調査から大幅に増加していて、調査開始以来、初めて女性の割合が男性を上回りました。

 出産や育児を不安視する理由としては、「経済的な負担が怖い・不安」、「キャリアに支障が出ると感じる」が挙がりました。

 この意識変化について筒井教授は、調査方法による差はあるとしつつ、「子どもが欲しくないという意識が増えているのは間違いない」と語りました。日本では、結婚が子どもを持つための一つの手段だという考え方が非常に根強いため、子どもを望まない意識が強まると、それと連動して「結婚もしなくていい」という非婚化にも繋がっていると説明しました。

出生率がやや持ち直した例も 企業の取り組みがカギ

立命館大学 筒井淳也教授

 先進国で少子化が進むなか、韓国ではやや出生数が持ち直しました。韓国は日本よりも少子化が深刻といわれ、合計特殊出生率は2024年には0.75でしたが、去年は0.80に回復しました。
 
 たとえば、建設大手のプヨングループは、子どもが生まれた社員に1億ウォン(約1000万円)を支給するなど、大胆な策を打ち出す企業も現れました。筒井教授は、韓国は少子化に対する危機感がかなり強く、こうした取り組みが企業のPRにもつながっていると分析しました。

 そのうえで、日本が出生率を上げるには、「男性的な働き方をさせないこと」が重要だと強調しました。具体的には、過度な残業や安易な転勤など「常に家庭をケアする人がいることを前提として働き方」を企業側が強いる仕組みを変えていくべきだということです。
 
 筒井教授は、基本的に男女が肩を並べて働く環境の整っている国の方が出生率が高いと説明します。かつて1970年台ごろは「女性が働いている国の方が出生率が低かった」ものの、各国の両立支援策が進んだ結果、現在ではその関係が崩れているということです。2011年のデータでは、「女性が活発に働いている国の方が出生率が高めに出る」傾向が出ました。

 筒井教授は、少子化の改善に「魔法みたいな方法はない」としたうえで、企業文化を変革すれば、少しずつ少子化は改善されるだろうという見解を示しました。

(「newsおかえり」2026年6月4日放送分より)

最終更新:06/05 12:10

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