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「女を偽装」「お前は男、男、男、それもマッチョ」誹謗中傷のSNS投稿に対し トランスジェンダー公表の町議会議員が損害賠償求めた裁判はじまる

06/10 18:28 配信

 トランスジェンダーを公表している町議会議員の女性が自身の性に対しての差別的なSNS上での投稿により精神的苦痛を受けたなどとして、投稿をした50代の男性に損害賠償を求めた裁判が10日、始まりました。

「男同士で引っ付くことはよくないこと」男性を必死に演じた学生時代

21歳のころの河上町議

 大阪府島本町議会議員で自身がトランスジェンダーであることを公表している河上りささん。小さい頃は秘密基地を作ったり、缶蹴りをしたり活発な男の子でした。しかし、物心ついたころから自分の性別に違和感を抱きました。

(河上りさ議員)
「男同士で引っ付くのは、何か良くない、気持ち悪いとか。何かそういうふうに周りにちょっと気になってた子に拒絶されたみたいなことがあって、それはよくないことなんだって学習した」、「女の子を好きになってみたいな。そういうもんなんだみたいな、自分も何かそれにしっかり合わせていかないと、多分いじめられる」

 学生時代は自分の気持ちが女性であることがばれないように必死に演じて過ごしたと河上議員は話します。その後、高校を卒業し、女性(このときはまだ戸籍上男性)として生きるようになり、21歳のころに性別適合手術を受け、22歳に性同一性障害特例法に基づき戸籍上女性となりました。

「女を語る筋肉男が女の議席を奪う」「諦めの悪い女装変態男」 トランスジェンダーであることを公表して町議会議員に立候補するも誹謗中傷が

SNSでの誹謗中傷投稿

 河上さんは2025年4月に島本町議会選挙に初めて立候補を表明しました。

 トランスジェンダーであることを公表して、選挙活動をする河上さん。しかし、選挙期間中に河上さんのSNSの投稿に対して「お前は男、男、男、それもマッチョ」「女を語る筋肉男が女の議席を奪う」「諦めの悪い女装変態男」などと1日に何件もアイデンティティを否定するコメントが投稿されたといいます。

(河上議員)
「ただの悪口とかじゃなくって、これまで自分が生きてきた証そのものも、ぶち壊された」
「元気な時ならまだはねのけられたかもしれないですが、それでもやっぱり心に傷は負う。いっぱい(誹謗中傷のコメントを)寄せられることでそれが蓄積されて、最終的にそういう誹謗中傷が致命傷となって自分自身を追い詰めるようになった。」

町議として住民対応する河上さん

 誹謗中傷のコメントは選挙に当選して島本町の議員になった後も続き、その後の政治活動にも影響が出たと話します。

 10日に大阪地裁で開かれた第1回口頭弁論で河上議員は「生きることを否定され、人間としての存在を否定された気持ちになりました」、「この現状を放置することはトランスジェンダーが政治にチャレンジすることを困難にし、その声を政治に反映することを不可能にしてしまう。」と述べ、SNSに投稿した50代の男性に対して200万円の損害賠償を求めました。

会見で誹謗中傷投稿について訴える河上町議

 一方、男性側は、河上さんの請求を棄却するよう求める答弁書を提出し、争う姿勢を示しました。

 裁判の後の会見で河上議員は「トランスジェンダーに対する誹謗中傷はその先で当事者に対する誤解と偏見を強固なものにする。実社会にある差別をなくすために当事者への誹謗中傷はダメなことだとしっかり社会に共有されることを求めます」と話しました。

 弁護士によると、民事裁判では「中傷投稿」に対し同調するコメントや拡散させる行為でも訴えられる可能性があるとのことです。

なくならないSNS中傷と裁判の課題 「いいね!」で賠償命令の過去も

相次ぐSNSでの誹謗中傷投稿

 SNSでの誹謗中傷投稿は後を絶ちません。

 過去には、当時22歳で亡くなったプロレスラーの木村花さんについて、木村さんの死亡後にSNSで誹謗中傷したとして男性に約129万円の賠償が確定しました。
 また、ジャーナリストの伊藤詩織さんを中傷する投稿に「いいね!」をした杉田水脈元衆院議員には、55万円の賠償が確定しています。

 しかし、裁判にはコストや時間の面で負担が大きく、SNSでの誹謗中傷がなくならない背景の一つといえます。
 コスト面では、慰謝料より弁護士費用など裁判の関連費用が高くなることがあります。木村さんの裁判では、2021年に長野県の男性に対し約129万円の賠償が命じられました。約129万は慰謝料50万円に弁護士費用など約79万円を加えた額です。しかし、裁判によっては情報開示請求に弁護士費用がかかることなどもあるため、訴えた側の持ち出し分が多くなってしまうケースもあります。

 また、投稿者を特定するための発信者の情報開示は、SNSを運営する事業者のデータ保存期間が3~6カ月ほどで消されるケースもあるため、「時間との戦い」にもなります。

最終更新:06/10 18:42

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