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【徹底取材】観光名所・宇治で異変?? あまりの数に「きらい・・・」「かゆくなる!」 春~夏に大量発生する“やっかいもの・トビケラ”の正体は・・・ 実は「生態系を支える縁の下の力持ち」だった!?専門家とともに大量発生のルーツを調べると意外なターニングポイントが・・・
06/16 06:37 配信
大量発生するトビケラ
世界遺産・平等院や源氏物語ゆかりの地として知られる京都府宇治市。
国内・海外から多くの観光客が訪れるこの美しい街が、春から夏のこの時期、ある昆虫の大量発生に悩まされています。
虫の正体は「トビケラ」。
観光客や地元住民からは「やっかいもの」と敬遠される一方、専門家によると「宇治川の生態系に不可欠な存在である」であるとも。
なぜ宇治市で大量発生しているのか、そのルーツと、宇治市などが探る「共生」の道などを取材してきました。
「服につくからきらい…」地元住民も観光客も悲鳴の声? 観光名所・宇治を悩ます「トビケラの大群」
集まって飛ぶ習性があり「群飛」と呼ばれる
京都府宇治市では、毎年5月から6月にかけて「トビケラ」という昆虫が大量発生し、観光客や地元住民を悩ませています。
川沿いの遊歩道や街灯、さらには木の葉の裏までびっしりと覆いつくすその光景。
河原の草にちょっとでも触れると大量に飛び立つこともあり、観光客も思わず足を止めてしまいます。
地元の住人からは、「洗濯が屋外で干せない」「自転車に乗っていると背中にくっついてくる」「服とかにつくから嫌い…」という声も聞かれます。
トビケラはガに似た見た目の昆虫で、毒はなく人を刺すこともありません。
しかし、その圧倒的な数から、洗濯物を外に干せなかったり、店の窓ガラスに虫除けコーティングを施したりと、地元住民や事業者は毎年対策に追われています。
ある住民は「5月6月はとにかく多い。毎年なので、我慢するしかない」と語っていました。
トビケラは「綺麗な川にしか住まない」川の水質判断の指標にも!? 大量発生の転機は1964年にできた“ある建造物”か
綺麗な川で流れが速いところにしか住めないトビケラ 宇治川の今の状況は「最適」
なぜ宇治市でこれほどトビケラが大量発生するのでしょうか。
京都大学防災研究所の小林草平准教授によると、トビケラは「急流でしか住めない」「水質が綺麗なとこしか住めない」という特徴を持つ昆虫だということです。
宇治川は今は流れが速く、さらに水質が綺麗で、約20種類ほどのトビケラが生息しているといいます。
大量発生の背景には、約60年前の出来事が関係していました。
1953年、京阪神を台風13号が襲い、淀川水系の川で大洪水が発生。
この被害から治水などを目的として、1964年に「天ヶ瀬ダム」が完成。
現在も治水や京阪神の水がめとして、欠かせない役割を果たしています。
ところがダムは上流からの土砂もとどめてしまうため、宇治川には上流からの土砂が流れて来なくなり、さらに流れも速いため、川底にあった細かい砂が流され、大きな石がむき出しになりました。
砂地に産卵するアユなどの川魚が減る一方で、トビケラはなぜ数を増やせたのか。
川の中を調べると、石に「テント状」の巣がびっしり。
小林准教授によりますと、トビケラの幼虫は石に巣を張りますが、小さい石だと流されることもあり、そのまま死んでしまうといいます。
ところが、宇治川の川底には流される心配のない大きな石が増加。
格好の「安定したすみか」となり、繁殖しやすい環境が生まれたのだといいます。
「生態系にとってすごく重要な役割」ツバメやコウモリ、クモの餌にも…トビケラの意外な役割
小林准教授「研究者に取っては嬉しいが、ただ数が多すぎる・・・」大量発生を前に思わず苦笑いも
住民を悩ませるトビケラですが、実は宇治川の生態系において重要な役割を担っている、と小林准教授は話します。
京都大学防災研究所 小林草平准教授
「成虫になったトビケラを食べるために、ツバメなどの鳥やコウモリ、クモといった多くの生き物が集まってきます。エネルギーを伝えていくという点で生態系にとっては非常に重要な役割です」
本当に「やっかいものトビケラ?」 「親しみ深いトビケラさん」の可能性も 「共生」の未来は?
宇治市も数の「コントロール」に日々対応 様々な対策実験も
数が多すぎるために迷惑な存在として扱われるトビケラ。
宇治市もこの問題に頭を悩ませています。
電撃殺虫機などを使用し、数を減らす対策を進める一方で、川の生態系を支える側面も考え、市の担当者は「共生の道」を探っているといいます。
宇治市・環境企画課 永池孝二課長
「トビケラが住んでいるということは河川の環境がいいという考え方もある。
ただ減らすのでは無く、発生数をコントロールする、「共生」の方法はないかと考えている」
市や天ヶ瀬ダム・宇治川などを管理する国土交通省近畿地方整備局などは2014年から対策を考える関係者会議を実施。
近畿地方整備局は、ダムの土を下流に還流する、「置き土」工事を始めています。
主な目的は、土砂が川底に戻ることによって川魚の数の回復を図るなど、河川環境の改善にありますが、波及効果でトビケラの数の抑制につながるのではないかという期待も集まります。
住民の中にも、一部、「季節のもの」「逆に(トビケラが多いことを)アピールしてわかってもらった方がいいんじゃないかな」などと、共生の考えを受け入れる声も出始めています。
滋賀県の大学生らは「おおきにトビケラさんプロジェクト」を立ち上げて、トビケラが川の生物に与える影響や、無毒な虫であることなどを漫画やグッズを制作。
正しいトビケラの理解を広めようと活動を今も続けています。
「やっかいもの、トビケラ」なのか、「親しみ深い、トビケラさん」なのか。
その答えを出すには、いまは数が多すぎることもあり、もう少し時間がかかるのかもしれません。
最終更新:06/16 06:37


