関西ニュースKANSAI
全国で250億円の被害、データ管理会社「クリアースカイ」の経営陣は6年前にも民泊ビジネスの大型破綻劇に関わっていた 警察や政治家をPRに起用する巧妙な手口
06/19 18:00 配信
「サーバーの所有権を購入すると高額の利息をつけて返す」。そんな甘い言葉で全国から約250億円もの資金を集めたのが、データ管理会社「クリアースカイ」です。
しかし、事業は突如停止しました。取材を進めると、巧妙な手口や経営陣の驚くべき過去が浮かび上がってきました。
【巨額投資トラブル】「サーバーを購入すると高額の利息をつけて買い戻す」 全国から金集め突如事業停止 弁護団「5000人の計250億円戻らず」 クリアースカイ社"国策"データサーバー
「国策事業」と信じて600万円を投資…戻らぬ大金
「すばらしいこと」と信じて投資した
大阪市内に住む会社経営者のAさん(48)。およそ2年前、知人から紹介された人物の勧誘を受け、京都市内にあったある会社の事業に合わせて600万円を投資しました。
Aさんは投資した事業について「これはインフラを構築していく事業で、国策の事業なんですと。国策事業として展開されてやっていく、すばらしいことだなと思った」と語ります。
しかし、投資した600万円は1円も戻ってきませんでした。
事業説明会で熱弁する代表のX氏
Aさんが投資した会社の代表、X氏は事業説明会で「僕たちがご提案させていただいているのは、いわゆる国なんですよ。当たり前にドローンで郵送物が来る時代、空飛ぶクルマに乗る時代とか、そういう時代が当たり前に来るんですよ。そういう世の中を僕たちは少しでも支えたい」と熱く語っていました。
データ管理会社「クリアースカイ」とは
「国」との関わりを強くアピール
Aさんが投資したのは、京都市内に本社を置くデータ管理会社「クリアースカイ」。代表は20代の男性、X氏でした。
X氏は会社の事業説明会などで「国」という言葉を何度も使い、熱く語っていました。
X氏は「クリアースカイは、世界一安全なデータ保存を提供しています。ひとつの国がこの事業を応援していると思っていただいても嘘じゃない。それぐらい国が注目している技術。本当に国、世界、政治家たちと一緒にこれから国をつくっていく会社なんで」と説明し、国との関わりを強くアピールしていました。
3カ月で10%の利息がつく投資スキーム
クリアースカイが顧客に説明していたビジネスの仕組みは、顧客がデータサーバーの所有権を購入し、クリアースカイがそれを第三者にレンタル。そのレンタル料を元手に、3カ月後に10%の利息をつけて顧客から所有権を買い戻すというものでした。
「データセンター」の実在をアピール
クリアースカイは、大阪府内の3カ所にサーバーを収容するデータセンターを構えたと説明していました。
関係者が撮影した映像には、実際に稼働しているかのような多数のサーバーラックが映し出されています。
約束の期日に入金はなく、説明会も開かれず
約束の返金がされず…代理店とのやりとりは
しかし、Aさんが出資してからおよそ1年半後、事態は急変します。約束の期日になっても入金はなく、会社からの説明会も開かれませんでした。
Aさんは「(今年2月に)まず100万円が戻ってくるはずだったんですね。銀行口座を見たら入ってないから(クリアースカイの)代理店に確認したんです。『確認します、待ってください』という感じで。えっ?と思っていたら、すぐに『クリアースカイが説明会を開くので』ということで待っていたんですけど、その説明会も開かれず…」と当時の状況を振り返ります。
顧客宛てのメールには「経営陣の生命に危害」
クリアースカイから顧客に一斉に送られてきたメールには「経営陣の生命身体に危害が及ぶ重大な行為がありました」「専門家や警察等と相談を行い、一時的に保護された状態となっております」「WEB説明会を一時中止せざるを得なくなりました」といった内容が記されていました。
「投資は自己責任」悔しさをにじませる被害者
Aさんは「非常に悔しい気持ちになりましたね。『投資は自己責任』って言われたら、それまでかなって思いますけど、『まさか自分が』って…」と悔しさをにじませました。
クリアースカイをめぐっては、投資トラブルに巻き込まれたと訴える人たちが次々と現れ、今年4月7日、京都地裁へ破産を申し立てました。
被害者弁護団によると、被害者は全国で約5000人、被害額は250億円の規模になっています。
警察職員が講話、投資家を信用させる手口
セミナーの聴衆は全てクリアースカイの顧客だった
「いつも警察とコラボレーションしてセミナーをしていたんですね。クリアースカイは」と話すのは、兵庫県に住む会社員のBさん(40)。彼女もまた、クリアースカイの投資話に乗り、合計800万円を投じましたが、その全額が返ってきていません。
Bさんが写したセミナーの映像には、驚くべき内容が映し出されていました。
Bさんが参加したセミナーは、サイバーセキュリティを専門とする一般社団法人の主催でしたが、聴衆は全てクリアースカイの顧客だったといいます。セミナーのスライドには「京都府警察サイバー対策本部」の文字がはっきりと映し出されています。
警察が来たことで信頼感を抱いたというBさん
Bさんは「説明会に行かせてもらったんですけど、その時に警察、京都府警の方が来られていました」と振り返ります。警察の存在が、彼女に信頼感を抱かせました。
警察もサイバー対策の意識向上を訴えていて、クリアースカイの事業と関連がある話だったため、信じてしまったといいます。
有名スポーツ選手や政治家らをPR活動に起用
クリアースカイは、有名スポーツ選手や政治家らをPR活動に起用するだけでなく、警察職員の講話も聞かせ、投資家らを信用させていたといいます。
この手口について、被害者弁護団をまとめる加藤博太郎弁護士は「有名人とか警察とかを使って信用を得ていく、政治家との関係を使って信用を得ていくというのは、よくある手法ではあります」と説明。「ただ今回はすごく巧みで、本当に一緒にセミナーをやっているように思わせるというか。いろいろ箔を付けてきて、非常にきらびやかに見えるんですね」と話します。
京都府警「うちの職員で間違いない」
取材班は京都府警に対し、職員がセミナーに出席していたのかなどを質問しました。
これに対し、京都府警サイバー企画課は「(写真の人物は)うちの職員で間違いない」と認めた上で、「(当該イベントについて)クリアースカイが関係しているとは把握していない。クリアースカイの広告塔に使われたと言われても、関知していないのでコメントは差し控える」と回答しています。
浮かび上がる過去の大型破綻劇…繰り返される手口
父から子へ…経営陣の正体
250億円ともいわれる巨額資金を全国から集め、突如事業を停止したクリアースカイ。その経営陣らについて取材を進めると、今回の事件と酷似した過去の大型破綻劇が浮かび上がってきました。
クリアースカイの代表は20代男性のX氏ですが、その実質的な経営者は父親のZ氏とみられています。
被害者弁護団の加藤弁護士は「いわゆる民泊投資でお金を集めていた。ポンジスキーム(破綻必至商法) ではないかと言われている件がある」と、Z氏の過去に言及します。Z氏は6年前、民泊運営会社「ハンドグローイング」の大型破綻劇に深く関わっていました。
ハンド社の社長Z氏に直撃取材
大阪市に本社があった「ハンドグローイング」は、賃貸の部屋で民泊ビジネスを行い、収益の一部を投資家に還元するという仕組みで、年利10数%以上の還元をうたい全国から資金を集めていました。
しかし、同社は40億円近くの負債を抱えて経営破綻。多くの出資者への返金がされないまま、経営陣は姿を消しました。
このハンド社の当時の社長がZ氏でした。当時のABCテレビの取材に対し、Z氏は「今、再建頑張ってやってますんで」と語っていましたが、その実態はずさんなものでした。
過去の被害者の怒り「腹立ちますね」
当時、ハンド社に700万円を投資し、ほぼ全額を失ったITエンジニアの近藤一正さんは、Z氏が新たにクリアースカイを立ち上げたことを知り、「もうめっちゃ腹たちますね」と怒りをあらわにしました。
当初は、事業が次第に行き詰ったと考えていたそうですが、クリアースカイの件を聞き、「憤りを感じますね。むかついてくる」と心境を語りました。
さらに近藤さんは、ハンド社から被害を受けた自身の知人が数カ月前、クリアースカイの投資話を持ちかけられ、その際に現れたのがZ氏本人だったと証言しました。
Z氏はその場で「あの時は本当にご迷惑をおかけしました。いま皆さんにお金を返すために必死で今やっているんです、この事業を」と語ったといいます。
消えた巨額資金と経営陣
資金ショートと「自転車操業」の実態
巨額の資金を集め、またもや事業を停止したZ氏らの会社、クリアースカイ。その資金はどこへ消え、経営陣らは今何をしているのでしょうか。
クリアースカイは今年2月以降、顧客への連絡をしないまま、投資家らへの配当を止めています。
取材班は、会社の内部事情を知り、顧客の勧誘をしていたという代理店関係者に接触。「(去年の)年末ぐらいから資金が足りない、資金ショートだった」「自転車操業だったと説明がありまして」と証言を得ることができました。
存在しない?数百基のサーバー
クリアースカイは数百基のサーバーを増設していると説明していましたが、この代理店関係者によると、エンジニアの責任者は「1基しか受注を受けたことがない」と話しているといいます。代理店関係者は「そもそも1基だけ作って、ずっと作ってなかったっていうこともあり得るかな」と語りました。
沈黙を続ける経営陣
取材班は、京都駅近くにあるクリアースカイの本社を訪れましたが、応答はありませんでした。
ドアには代表X氏の名前で「正式な通知につきましては、準備が整い次第、代理人弁護士より改めてご連絡申し上げる」 と書かれたお知らせが貼られていました。
X氏の代理人とみられる弁護士は、ABCテレビの取材に「お話しすることは特にない」と述べ、経営陣は沈黙を続けています。
実体のないサーバーを巡る所有権が販売されていた可能性があるとして、被害者弁護団は刑事告訴も視野に準備を進めています。
最終更新:06/19 18:00


