関西ニュースKANSAI

土壇場で変更された「副首都法案」 自民と維新のせめぎ合いを記者が解説 住民投票の行方は?

06/24 19:19 配信

 維新肝いりの「副首都法案」について23日、高市総理は維新の原案に修正を求めました。
 これを受け法案は提出直前で修正が加えられました。なぜ住民投票の対象は「大阪府民」から「大阪市民」に限定されたのでしょうか。その背景にある与党内の駆け引きと、過去2度の住民投票から見える市民と府民の意識の違いを高橋大作記者が解説します。

「総理は都構想に賛成」は本当? 吉村代表のアピール戦略の裏で、注目されたくない“付則削除”【記者解説】

維新案に「待った」 そもそも副首都法案とは?「都構想」とどう違う? 

副首都構想とは

 22日、自民の高市総裁と維新の吉村代表が党首会談に臨み、高市総理は「副首都法案」をめぐり維新側が主導して作成した原案に条件をつけました。
 それは「都」への名称変更と特別区設置の是非を同時に問う場合、住民投票の範囲を道府県全体に広げられるという「付則」の削除です。
 これを受け維新は23日、緊急の全体会議を開催し、いずれの修正案にも賛同することを決めました。

 
 「副首都構想」と「大阪都構想」は、正確には同じではありません。「副首都構想」とは、災害時に首都機能をバックアップする体制を整え、東京一極集中を是正することを目的としています。このため、大阪以外の地域も副首都になることが可能です。

 副首都になるための要件は大きく2つあり、県と政令市が「連携協約」を結ぶか、「特別区」(※制度化された場合は特別市)を設置するかのいずれかを満たす必要があります。
 北海道、愛知、福岡などは「連携協約」によって副首都になることに関心を示しています。一方で、維新が目指す「大阪都構想」は、後者の「特別区」の設置にあたります。

 維新は、大阪市を廃止して複数の特別区に再編し、名称も「大阪府」から「大阪都」に変更することを目指しています。

高橋大作記者

高橋記者
「連携協約というのは、例えば北海道だったら道と札幌市の間で協約を結び、役割分担などを定める形を指します。一方で、特別区を設置するのは、政令市を解体し、市と道府県の枠組みを根本的に変えるものです。知事がトップとなって、誰が主導権を握っているのかをはっきりさせる。維新はこの方法で『二重行政が解消できる』と主張しています」

「付則」が焦点に 名称変更と特別区設置の同時実施で道府県の住民投票は不可に

副首都法案とは

 今回の「副首都法案」では、住民投票の対象範囲を定めた「付則」が大きな焦点となりました。維新の原案では、特別区の設置と「大阪都」への名称変更について同時に住民投票を行う場合、その対象を「大阪府民」全体に広げることが可能とされていました。

 しかし、法案提出の直前になってこの「付則」が削除・修正されました。この変更により、特別区の設置に関する投票対象は「大阪市民」に限定され、「大阪都」への名称変更は府議会の議決で可能という内容に変わりました。

高橋記者
「吉村代表によると、直前に変わったということです。法案の内容は維新と自民の実務者協議でほぼ固まっていました。私も今月初頭ごろに取材したところでは、ほぼ維新案でまとまりそうだということでした。ただ、なかなか自民が首を縦にふらなかった。そして、この3週間ほどで、大阪の自民党議員を中心に付則の問題点を指摘し、最終的に大阪以外の議員も含めた少なくとも40人の部会の全員が、この付則に反対の方針を固めました。これを党内がまとめられないという形で総理が飲んで、直前の修正に至ったという背景があります」

 自民党内で反対意見が強まった理由について、高橋記者は地方自治の原則に反するという見方が強かったと解説します。

高橋記者
「大阪市のことが、大阪府民の投票で決まってしまうのは地方自治の原則とは違うんじゃないかという主張がありました」

過去2回いずれも否決 市民からは大阪市が解体されることへの危惧拭えず 

住民投票のこれまで

 「都構想」をめぐる住民投票は、2015年と2020年の2度にわたり、いずれも僅差で否決されています。
 大阪維新の会が独自に行った世論調査では、対象を「市民」に限定すると反対が賛成を上回る一方、「府民」全体に広げると賛成が反対をわずかに上回るという結果も出ています。
 「市民」と「府民」の意識の違いはなぜ生じるのでしょうか。
高橋記者
「まず、2回も投票しておきながら、また3回目をすることの意義が、伝わりきっていないというところです。もう一つは、大阪市が解体されるということへの危惧です。維新側は解体ではなくて合併だと表現しますが、市民の中には大阪市の持っている権限を離されることへの懸念があります。市民生活がどうなるのかという心配が生じたときに、今のままで良いという思いが働いているのだと思います」

 ただし、府民に投票対象を広げれば必ず可決されるわけではないとも指摘しています。

高橋記者
「直近の周辺自治体の首長選挙では、維新が公認するの候補に対して、厳しい数字が出ています。維新内でも、住民投票で賛成多数をとなるのは、簡単ではないという見方があります」

最終更新:06/24 19:19

関西ニュースヘッドラインKANSAI

もっとみる