関西ニュースKANSAI
どうなる? 再検討の北陸新幹線・延伸ルート 来月17日までに選定の見通しも・・・交差する沿線自治体の利害と思惑 石戸諭さん「何のための工事か問い直すべき」
07/01 17:00 配信
北陸新幹線を福井県の敦賀から新大阪まで、どのルートで延伸するか――。与党の整備委員会で選定を進めようとしていますが、沿線自治体の意見は割れています。
連立改変で延伸ルートは一転再検討に 与党整備委員会がヒアリング
与党整備委員会が京都府知事・市長にヒアリング
北陸新幹線の延伸ルートを検討する与党整備委員会が30日に開かれました。ヒアリングに招かれたのは、沿線自治体となる京都府の西脇知事と、京都市の松井市長です。
西脇隆俊・京都府知事
「8ルートの検証ということで呼ばれたので、それぞれのルートについて、私どもの現在の立場でお話しさせていただいた」
北陸新幹線の延伸めぐる8つのルート案
現在、福井県の敦賀駅まで開業している北陸新幹線は、新大阪駅までの延伸を予定しています。
その延伸について、自民・公明が連立与党だった時期の整備委員会では、福井県小浜市から京都市の地下を通るルートに決まっていました。
ただ、このルートでは、地下水への影響や建設費の高騰を懸念する意見が上がっています。
そして去年、連立与党の枠組みが変わり、公明に代わって委員会に参加した維新が、小浜・京都ルートに加えて、京都府舞鶴市を経由する案や、滋賀県米原市を経由する案など、乗り入れや乗り換えを含めた8のルート案を提示。一転して再検討することになりました。
京都市長「反対はしないが誘致はしていない」 地下水への影響や財政負担に懸念の声
京都仏教会は地下水への影響を調査するよう求めると発表
議論が大詰めを迎えようとするなか、京都府内の約1100の寺院が加盟する京都仏教会は、29日に会見を開きました。
「小浜・京都ルート」が及ぼす地下水への影響について、京都市に調査をするよう求めると発表したのです。
京都仏教会 長 靜敬・事業部長
「自然環境への影響や財政リスクに『大きな影響はない』という言葉や、判断材料が不十分な状況で覆い隠したまま小浜・京都ルートを推進することは、1000年の都の歴史と未来に大きな禍根を残すものと言わざるを得ない」
さらに、京都市の松井市長は、30日の整備委員会のヒアリングで「小浜・京都ルートに反対はしないが、誘致はしていない」と伝えたことを明らかにしました。
新幹線延伸に期待寄せる自治体も
亀岡市・桂川 孝裕市長
一方、北陸新幹線の延伸に期待を寄せているところも・・・
記者リポート
「北陸新幹線の誘致活動に半世紀以上前から取り組んできた亀岡市。一度は小浜・京都ルートに決まり、あきらめていましたが、活動を再開しています」
8の案に含まれる「亀岡ルート」。このルートの実現を目指す京都府内の自治体は、誘致への機運を高めようと29日に総決起大会を開きました。
桂川孝裕・亀岡市長
「北陸新幹線が、京都丹波の未来の新たな街づくりに大きく影響することは間違いない。思いを一つにして、この決起集会を契機に、より一層アピールをしていきたい」
西村好高・南丹市長
「大阪まで15分で行けるというメリット、これはもう何物にも代えがたい。京都丹波の大きな起爆剤になり得ると思っている」
鴨田 秋津・舞鶴市長
また「舞鶴ルート」を推す京都府舞鶴市の鴨田市長は、市内に近畿の重要な拠点がいくつもあるとしたうえで、こう訴えます。
鴨田秋津・舞鶴市長
「安全保障環境が厳しい中で、日本海側で唯一、海上自衛隊が所在している。これから高い確率で南海トラフが発生すると言われているところで、日本海側の国土軸を形成する必要がある。単なる地域振興を主張しているのではなく、我が国の今後の未来を考えたときに、舞鶴に通すことが国策ではないか」
国交省の試算でみる、各ルートの費用対効果は?
各ルートの費用対効果(国交省の試算)
国交省が19日に公表した試算では、自民党が推す「小浜・京都ルート」の建設費は、将来の物価高騰を含めると、約5.5兆〜5.8兆円です。
費用対効果の計算では、「1」を超えることが着工に踏み切れる目安になります。
東京〜新大阪の総延長をもとに計算する「一体評価」だと「1.1」で目安を超えますが、敦賀~新大阪の延伸区間のみで計算する「個別評価」だと「0.5」に留まります。
一方、維新が推す「米原ルート」は、建設費が1.7兆〜2.7兆円で安く抑えられます。
費用対効果は、一体評価だと乗り入れ・乗り換えの両方式で「1.0」。「小浜・京都ルート」より低い結果になります。
ですが、個別評価だと乗り入れ方式で「0.7」、乗り換え方式で「1.0」となり、両方とも「小浜・京都ルート」の「0.5」を上回っています。
この試算に対し、小浜・京都ルートに反対する京都仏教会は「ルートありきで考えられたのではないか」と述べ、新たな評価基準が持ち出されたことに疑問を呈しています。
10年前は「個別評価」のみの試算でしたが、今回から新たに「一体評価」が加わったことにより「小浜・京都ルート」の方が費用対効果が優れているように見えると指摘しているのです。
絡み合うそれぞれの自治体の思惑
それぞれの自治体の考えは?
延伸ルートを巡っては、関係する自治体の思惑も複雑に絡み合っています。
滋賀県は「財政的負担が極端に大きい」として米原ルートに反対し、むしろ「小浜・京都ルート」を支持する立場です。
福井県は「早期全線開通の一番の近道」として、当初の計画通り「小浜・京都ルート」を求めています。
京都府内ではさらに意見が割れており、亀岡市は「亀岡ルート」、舞鶴市は「舞鶴ルート」の実現を目指して誘致活動を行っています。
一方、京都市は「小浜・京都ルート」が市内を通ることについて、大量の残土問題や交通渋滞、地下水への影響など「五つの懸念」を示し、慎重な姿勢を見せています。
石戸諭さん「利害関係者が多すぎる」 本来の目的に立ち戻る必要も
ノンフィクションライター・石戸 諭さん
この状況について、ノンフィクションライターの石戸 諭さんは「利害関係者が多すぎる」と指摘します。その上で、議論の原点に立ち返る必要性があるとします。
石戸 諭さん
「そもそも何のためにやる工事なのかを問い直さないといけません。それは、あまりにも災害に対して脆弱すぎる東海道新幹線のバックアップをどうつくるか、という話です」
さらに各ルートの課題も指摘します。
「仮に米原ルートなら、リニアを通して東海道新幹線の過密スケジュールを緩和することが前提」
「小浜・京都ルートなら、周辺自治体に対する説得的な解答を示さなければいけない」
災害時には物資輸送の生命線にもなり得るため、安易な決定はできないとの見方を示しています。
様々な思惑が渦巻く、北陸新幹線の延伸ルート選定。整備委員会は今後、大阪府と大阪市へのヒアリングも経て、今国会中の来月17日までにルートを決める方針です。
(「newsおかえり」2026年6月30日放送分より)
最終更新:07/01 17:00


